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映画「悪童日記」

*結末まで触れています。


映画「悪童日記」

戦時下のハンガリー。双子の兄弟は祖母のところへ疎開させられた。
母親とは二十年疎遠だった祖母は、村はずれに一人、魔女と呼ばれながら
暮らしていた。
必ず迎えに来る、という母と別れ、祖母の仕事を手伝いながら強くなる訓練を
しながら生きる双子。彼らを守ってくれる人は誰もいない。

本を、ずっと前からいつか読もうと思っている。けれど、なんとなく手を付け
られなかったんだけど、今回映画化の写真を見て、うつくしい双子の兄弟の表情
にひきつけられた。強い目。絶望を飲み込んでいるみたいな美しい双子。
ハンガリー中の学校をリサーチして見つけたらしい。演技経験はゼロ。でもこの
双子がただそこにいるだけで成り立つ。
たまにある映画の奇跡。今この作品でこの双子の姿を永遠にとどめてくれて
ありがとう監督。淡々と残酷さ過酷さの中に放り出された双子の兄弟がいる。
時に彼ら自身が死の天使になるけれど、けど、子どもである双子。
大人に捕まれて殴られて引き離されそうになって必死に抵抗してるシーンが
辛かった。全身で抵抗するけれどどうしようもなく子どもでね。辛い。

彼らを守る大人がいない。
世の中から隔絶した祖母の家。祖母も狂ってるし。いや、戦時下、もうすでに
世界全部が狂ってるような。
どのシーンも淡淡と過酷。
でも童話めいたうつくしさも確かにある。祖母が魔女と呼ばれる変人でこわいのも
どこかファンタジックに思わせる曖昧さもあって、不思議。
酷いし、怖いし、哀しいし、悲痛なんだけれども、うつくしい。
どうしてだよ。
父も母も、双子の助けになれない。
最後の訓練は別れる訓練。双子は互いが引き離されることが死ぬほど辛いのに、
別れて生きようとする。
国境をなんで越えていかなくてはいけないのかわからない。けれど、父の死体
を踏み越えて、後にして、別れて生きる決意は、希望なんだろうか。
希望なんて知らない彼らは絶望も知らないのかもしれない。

何も言う言葉はない。
この映画に出てくる人々には名前もない。
ただただ、この映画を見てよかった。
本も、読まねばと思う。3部作らしいので、全部。この絶望の距離と美しさは
本ではどんな風なんだろう。どんな風に彼らは生きているんだろう。
双子素晴らしかった。

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