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『逆さの骨』(ジム・ケリー/創元推理文庫)

*結末まで触れています。


『逆さの骨』(ジム・ケリー/創元推理文庫)

新聞記者のドライデンはニュースを求めて発掘現場へいってみた。
イーリーで二輪戦車が発掘されるとすればなかなか大きな記事になる。
だが予想外のものが発見される。かつて捕虜収容所だったそこに掘られていた
トンネル。そこにあった白骨死体。古代人ではないその白骨は、盗品らしき
銀食器や真珠のネックレスを持っていた。

シリーズ三作目か。ドライデンにもタクシー運転手で語学マニアなハンフにも
お馴染み~という感じが出てきてる。
寝たきりのドライデンの妻ローラはパソコンを使ってたどたどしいながらも
メッセージを送るしドライデンの調べものを手伝って今作で結構役に立ってる。
でもぷらいべーとなの、というフォルダを作っていて、ドライデンは自分に
秘密を持った妻に腹を立てる。こういうのなかなか辛い。寝たきりだけど意識
がダメになっているわけじゃない人間を、支え続けるドライデンは辛いけど、
でも、プライベートを持つということに腹を立てるのは。そう、腹を立てたり
するべきじゃないってわかっていても、という複雑さがつらい。聖人君子じゃ
いられないドライデンもわかるし、けど、ローラが一番辛いし。うーん。

と、そういう事件本筋ではないところでも登場人物のあれこれが丁寧に
描かれる。過去を探ってドライデンがあちこち出かけ、出会う人々のぞれぞれの
事情があって。そういう何もわからない状況のあたりは私は結構退屈しながら
読んでものすごく時間がかかってしまう。
けど、終盤にくるとぐっと一気に加速度がついて面白い。その快楽はあるなあ。

戦時中のイタリア兵やドイツ兵の捕虜が収容されていたこと。戦後、イタリア兵
は解放されてそこに居ついた、とか。いろいろあるんだなあ。

あと、今回も霧が凄いんだけど、それが産業廃棄物置き場からの有毒な霧、って
ことで、なんかこわい。そういう環境問題? なんかも書かれている。けど、
だからって環境問題として描くってほどでもなくて、なんかとっても現代な
感じではある。いろんなことがあってでも簡単に解決つくようなことはなくて
なんとなくやり過ごして毎日が過ぎていくんだよな。

途中、ハンフが突然死んだとかってびっくりした!ま、まあ、死んじゃいそうな
不健康な生活してるけどさー。まー助かってよかった。さらっと突然そんなこと
が起こるのが凄い不思議な感じの小説。。。

殺人事件としては男女の愛憎劇、ってことでわかってみればなるほどねという
感じ。章の合間に挟まれる過去の物語がだんだん今に繋がって真相がわかって
くるの面白い。
緻密で退屈ででも読み終わると快楽もあって。うーん、単に面白かった!と
言えないつまんなさ込み。まだ続くのかな。次が出たらでもやっぱり読みたい
と思うような気がする。どうかなあ。

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