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『燻り』(黒川博行/講談社文庫)


『燻り』(黒川博行/講談社文庫)

短編集。
この文庫が2002年発行。単行本で1998年に出たものみたいです。
燻りというのは、いっぱしのヤクザもんにすらなれない半端なやつ。
下っ端ヤクザとして兄貴の使いをする途中車が故障して警察に捕まり組からも
干されちゃう、という最初の「燻り」という話からして、あー、悪党にもなれ
ない落ちこぼれ、という感じが哀しくも笑っちゃう。きわめて普通のダメ人間
な人物たちを描いていて面白い。
普通、とはいえ警察沙汰だったりヤクザだったりなので実際普通なわけじゃ
ないよなーと思うけど。
こういう小物を描きながらも面白く読ませる作者がやっぱり上手いのか。

会話がほんといい感じ。私は大阪に住んだことあるのは3年足らずだから
ほんとのニュアンスはつかめてないしわかってないと思うけど、なんかこう
会話のテンポ、リズムの感じが腑に落ちる感じがする。そう思わせるように
描きだしてる作者が上手い、と、なんかやっぱり上手いんだなあと思う。
すごいね。

「腐れ縁」というやつは、パチンコの釘師と知人(つーかなんていうか、
仲間ってほどでも友達ってほどの仲でもないぐだぐだなつきあいのつれ)が
パチンコ屋の裏帳簿みたいなのを盗んで恐喝してやろう、という話。
そのパチンコ屋が「パルテノン」て名前で、ん? と思う。『繚乱』で
競売物件になってどーのこーののパチンコ屋の名前だった。同じ店って
設定かどうかはともかく、なんかちょっと、お、と思って楽しかった。

すいすいと面白く読んで二時間くらいでするっと読み終わってしまった。
『逆さの骨』はちまちま5日間くらいかかった。日本人の日本語の小説は
読みやすいなあ。でもこれもやっぱり黒川博行が上手いのかもなあ。

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