映画「イヴ・サンローラン」
*ネタバレ? 最後まで触れています。
映画「イヴ・サンローラン」
イヴ・サン=ローランは21歳という若さでディオールのデザイナーに採用された。
ディオール亡きあと、デザインを任されるが、ディオールを引き継いだだけで何の
新鮮味もないと酷評される。
兵役、躁鬱病。生涯を共にするピエールとの出会いと支え。独立して自分のメゾン
を持ったイヴは成功を収めるが、酒や薬、享楽的な楽しみに耽る。追われるように
コレクションのデザインを続けるが、体を壊していく。
残されたピエールの回想する二人の時間の映画だった。
サンローランを演じたピエール・ニネ、今25歳の新星だそうで。
綺麗。
ほんっとーーーーに綺麗だった。
最初の頃、内気で繊細で、人前に出るのに慣れない、神学生のようだと言われる
儚さ。ピエールと恋におちてきゃっきゃウフフする可愛さったらもうっ!!!
孤独、精神を病んでしまったこと。仕事に没頭してもうまくいかない苛立ち。
アイデアに苦しみ、男遊びもやる。どんな姿も素晴らしく綺麗だった。
孤独で繊細で高貴で我儘。天才。
そんな姿が完璧だった。凄い。
そんな、若くして天才、その上うつくしい恋人を持ってしまったら。
ピエールは芸術を愛する、でもそういう才能は平凡な男。イヴを愛し、彼が
つくるファッションを支えるための実務は一手に引き受ける。
愛し合う日々は移ろい、他の男を愛してるなんていうイヴ。
それでも、「生涯の男はお前だ」なんていうイヴ。
この時のピエール・ニネの凄まじい美しさは衝撃。
若くて綺麗~な時から、やさぐれて乱れ、それでもうつくしい、そんなイヴが
素晴らしくて驚く。こんな男と運命を共にしてしまう、ピエール・ベルジュの
業を思ってふるえる。怖い。
華麗なるファッションショーの世界もその裏側も、面白かった。
僕のモデルたち、って、モデルも作品のように大事に綺麗だねっていって愛し
てるようなイヴが素敵。
ヴィクトワールとはピエールに出会う前からの付き合いで、ほとんど恋人の
ようだけど、イヴはゲイで、ヴィクトールは別の男と結婚するのに、でも、
結局は三人での三角関係のようになって。ヴィクトールもピエールも自分の
ものにしておきたいイヴは狡い。でもその二人に裏切られた、と荒れるのも
すごく切ない。辛いね。凄いね。
年を重ね、晩年いつもイヴのそばにいるよというピエール。
そして今も、サンローラン財団を維持してるんだよねえ。ピエール。
凄い。
ディカプリオの「J・エドガー」を思い出したなあ。
いろいろ細かい説明はなくて、察してくれというような感じだった。
でも細々と説明されなくてもいいんだろう。本当のことなんてわからないんだし。
ファッションの映画というよりは、イヴとピエールの愛憎の軌跡みたいな映画。
とてもとてもとても綺麗で圧倒された。美、エレガンス。天才。
素晴らしかったよ、ピエール・ニネ。
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