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『屍界』(五條瑛/双葉文庫)

*たぶんネタバレ。

『屍界』(五條瑛/双葉文庫)


革命シリーズの9作目。文庫書下ろし掌編「ゴッホの血」がある~。

単行本が出たのは2011年の7月。東日本大震災で被害を受けた方へのメッセージ
が巻頭にある。力強いです。ほんとうに震災直後に書いた言葉だよね。

結末に向かって大きく日本の中がうねり、主要登場人物たちの変遷もかなりのもの。
群像劇ではあるけれども、やっぱり亮司が主人公、かなあ。愛されまくりで。
すみれもなんだけど、すみれはやはりどうしたも立場が子どものところだから。
亮司が今ですみれは未来の希望。

今作では櫂くんがいよいよ「赤い季節」に向かって全開って感じ。
ジュリアがほんとうに可哀想。でも、彼女は生き延びた。明奈やもとかの
ところに辿り着いたとわかってほんとよかったねと思う。遠い国で、母子の
穏やかな暮らしを作り上げて欲しいんだけどなあ。

どうしても櫂を見捨てられない亮司。その甘さが招いた事態を利用する大川。
大川から亮司を守りたいリャン。何度読んでもどんなに読んでも、大川が最低に
ゲスくて酷くてたまらん。リャン、殺してやりなよーと思うけど、そういかない
のが大川なんだよなあ。酷い。

「ゴッホの血」は、過去の話なんだね。
まだ若き武藤。先代の彫翔なのか。ただただ夢のようにきれいなだけの絵が
好きだという武藤。毒のある、狂気のぶつけられたようなゴッホの絵を羨ま
しく思い。その才能は破滅へ向かうもの。皮肉にも武藤の中にあったのかも
しれないその狂気の才能は、息子櫂に開かれてしまった。うらやましい、と
無邪気に言う若き武藤が実に酷い男だと思う。きれいなままでいた優男。でも
それは亮司とよく似てるのかもしれない。きれいなままでいて欲しいと、愛され
願われる優男。
はー。
面白かった。この先をもう読んで知っているのに。切なさも倍増で読んで凄く
面白かった。
次が文庫になるのはいつなんだろう。待ち遠しい。書下ろしがつくのかどうか、
気になる。

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『シルバー・オクトパシー』(五條瑛/徳間書店)


『シルバー・オクトパシー』(五條瑛/徳間書店)


東京。台東区。古くは吉原と呼ばれたあたり。その路地裏に看板のない会社があった。
「シルバー・オクトパシー」という表札だけがあるその会社は、入ってみれば
意外に広く綺麗なごく普通のオフィスのようだ。だが、そこが請け負うのはプロ
の仕事。法律をかいくぐり裏口抜け道を駆使しての危ない橋をきっちり渡ること。

脱北者の女をより安全な人権保護がしっかりした国へ送り出して欲しい、という
依頼が、協力者の突然の不審な死から思いがけない厄介ごとへ転がってゆく。

揉め事解決のプロ集団、“シルバー・オクトパシー”
ってことで、これはもしかしてシリーズになっていくんでしょうか。
銀タコって、冗談ぽ(笑)頭が一つで足が8本、てことで、謎の社長と、それぞれ
プロな8人の社員てことらしい。
ゴスロリファッション、自称21歳(サバよみは10歳以上上らしいw)一見可愛い
外見に似合わぬ口の悪さ、暴力も恐ろしいサオリちゃんいいキャラ(笑)
使えない新人鈴木くんもまあまあ可愛い。若手な國くんはかっこよさげ。
今回は顔見せ程度の人物がいたりで、8人の集団としてとか、謎の社長とか
シリーズになっていろいろ出てくるのかなと楽しみ。

話はさすがの五條さんで、脱北者である妊婦、セリの謎、したたかさがぐいぐい
くる。北のかかわり、拉致被害者絡み、政治家や活動家、いろいろな思惑が
絡み合って面白かった。
もちろんフィクションだけど、なんかこういうのありそうなのかもあったら嫌かも
というところ。

そうサクサクと都合よく情報集まるか~? と思うけど、まあ蛇の道は蛇って
感じで事件が起こればそれに関連していろいろ動きは繋がってくるってもんかな。
北の情勢ってねえ。今はどうなってんのかなあ。

今の所このキャラに惚れ込んだってほどに好きではないけれども、シリーズに
なれば続きはまた是非読みたいと思う。

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映画「複製された男」

*具体的内容、結末まで触れています。

映画「複製された男」


大学で歴史、思想(?)を教えているアダムは、ある日借りてきた映画の中に
自分とそっくりな男を見つける。
調べてみるとその男はさほど売れているとは言えない三流役者。
どうしても気になって調べ、電話をかけて会ってみる。だが、実際に会うと
胸の傷跡まで同じというあまりにも自分と同じ相手に恐怖を覚えて逃げ出すしかなかった。

複製された男、というからにはクローン人間的な、SFめいた感じになるのかと
思っていたらそうでもなかった。ノーベル賞作家が描くミステリー!みたいな
原作の煽り文句もあったけど、ミステリって感じでもないような。幻想文学?
象徴的幻覚的に蜘蛛の姿が現れるんだけど、それはやっぱり妊婦の腹なのか。
女性、母性?に囚われたくない男のあがきなのか。
結局二人の自分は、ドッペルゲンガーのようなオカルトめいた出会いだったのか、
自分自身の幻覚、思い込みの中の出来事だったのか。
自分の幻覚、ってことなのかなあ。
最後に残ったのはアダムのほうで、アンソニーは事故で死んだ、ということだと
思うんだけど、もともとの実のほうがアダムでいいのかな。浮気とかしてたのを
アンソニーっていう別人格のせいにしてた、って感じ?
メアリーっていう彼女は実在してたのか? 妊婦な妻は実際のところアダムの妻
なのかどうなのか、うーん。
はっきりわかんないけど。
最後ヘレンが蜘蛛になってて、うへえ、と思ったところで終り。
よくわからない作品だという評判だけど、なるほど終わった時には、ええー?(゚Д゚)
となって放り出された感じ。
理屈を考えるより感じろ、ってことなのかなあ。

不穏な音楽。妖しい秘密クラブ。退屈な毎日の繰り返し。盛り上がりに欠ける
セックス。ずうっと眩暈の中のような雰囲気はいい感じだった。
主演の二役のジェイク・ギレンホール。とってももっさりしてて、かっこよく
ないけどかっこ悪いわけでもない、不安定な存在感がいい感じだった。

リピーター割引があります、ってことらしいし。ネタバレ感想見たあとに
是非もう一度!ってことらしい。けど。
まー二回目は見に行かないかな。「裏切りのサーカス」の時ほどひかれることは
なかった。
近々本を読むつもり。本だとわかるのかなあ。どんな感じなのかな。楽しみ。


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『ひとりの体で』上下(ジョン・アーヴィング/新潮社)

『ひとりの体で』上下(ジョン・アーヴィング/新潮社)

私の回想、という形。13歳で初めて、学校ではなく町の図書館のカードを
作り、魅力的な司書、ミス・フロストのすすめにしたがって小説を読み始めた
私。ディケンズの『大いなる遺産』を二回読みたいと思い、作家になろうと
思った私。思春期、大人になり、今は老人である私。
ミス・フロストに欲情すると同時に、義父になるリチャード・アボットにも
恋をし、同じ学校のレスリングの選手であるキトリッジにものぼせ上っていた私。
不適切な恋に悩む少年がバイの大人になり、老人になるお話。

ジョン・アーヴィングを読むのは初めて。なんとなく避けてきたけど、これは
ゲイのお話なのかな~と思って読んでみた。バイだった。それだけでなく、
ビアンやトランスセクシャル、トランスジェンダー? なんかまあいろいろ、
人それぞれいろいろあるよね、というお話だった。
少年ビルがすすめられて読む本のこともあり、読書案内だなあと思う。私も
読んでみようと思った。

男子校でのシェイクスピア劇の上演、小さな町の劇場。80年代90年代の
エイズの恐怖。現代、これから女の子になるの、ときっぱり言い切るジー。
いろんなセクシャリティの在り方の変遷も見える。

読みやすいし面白いし、とても魅力があるんだけど、一気読みする気になれ
なくて、途中何回も何回も中断して読み終わるのにものすごく時間がかかった。
なんでなんだろうこれ。一気読みさせない面白さ?つまらなさ?面白いと
思いながら当時に退屈にも思って次は何読もうかなあとかディケンズ読む
べきかなあとか、ほんっとこの本に集中できなくて自分でもわからない。
うーんうーん。
文体?
ものすごく村上春樹を連想したんだけど村上春樹がこっちによせてきてるのか
村上春樹も訳してるのあるし、うーんうーん。
ほんとに読みやすくて面白かったのになんでこんなに読めないんだろう。
せっかくなのでそのうちまた他の作品も読んでみようと思う。村上春樹訳のも
読んでみようかなあ。うーん。どーなんだろうなあ。。。

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映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」


日本原作、トム・クルーズ主演!
てことで、実はなんかトンデモ映画かな(´ー`)とちょっと思ってました。
トムごめんね、ごめんなさい。すごく面白かった!

原作のラノベ(?)は読んだことないです。漫画化もされてるようですがそれも
知らないです。東浩紀の何かでこれに言及してたやつがあったと思う、それで
タイトルに覚えはあった。ループものというのも、前宣伝でもさんざんやってた。

ウィリアム・ケイジは広告代理店を起業したものの潰れちゃって、今は米軍の
広報担当。本人自ら言うとおり全く軍人じゃない。
ギタイと呼ぶ謎の宇宙からの侵略者と戦う軍隊が、英仏海峡での決戦に備えて
いる最中、最前線で取材しさらなる広報に務めろと命令されるが、一度は断る
ケイジ少佐。
だが、将軍は許さずケイジは捉えられ、脱走兵扱いで新兵として前線に送られた。
慣れないパワードスーツ(?)の機銃の安全弁解除方法すらわからないまま。
作戦が始まると敵は待ち伏せしており、ヘリは墜落。目の前で死ぬ兵士たち。
なりゆきで敵の一体を倒したものの、ケイジもまた爆破。だが、次の瞬間、
ケイジは前日と同じように目覚めていた。記憶にある通りの昨日が繰り返され、
また作戦へ。また死ぬ。また昨日に目覚める。時間のループにはまっていた。

そんなこんなで、戦争シュミレーションシューティングゲームで、プレイヤー
が操作や出来事を覚え経験値を上げて次々ステージクリアしていく、という感じ。
最初はほんっとただのダメダメおっさんなトム・クルーズが可笑しい。
戦場で、最強の兵士であるリタに出会い、リタもまた以前ループに陥っていた
ことがあり、敵のこと自分の状況のこと知りながら、訓練され、どんどん強く
たくましくなっていくトムが中盤からはかっこよくってかっこよくって最高!

意外とコミカルに笑わせてくれる。最初の頃の死に方にはバカバカしいような
のもあり。しかし何百回死んだのだろう。訓練を重ね、到底新兵にあるまじき
迫力を備えていくケイジ。
リタと、仲間と、語り合い自分は相手を知っていくのに、相手にとっては
いつも初対面、たった一日だけ過ごすという違いがとても切ない。
そりゃーリタを愛してしまうよね。
でもリタにとってはよく知らない相手のままなんだよね。
切ない。
ヘリを飛ばしていくかどうか、その前の奇跡的ねというコーヒー。
ミドルネームを教えてくれること。
リタが目の前で死ぬとわかって、リタと一緒に戦いにいくことをやめたケイジ
すごくかっこよかった。一人で戦いに行く顔、気迫。渋い。
最後の最後、リタもケイジにひかれるけど、「もっとあなたのことを知りた
かった」と別れるのがたまらなく切なかった。ケイジのほうは、すごくたくさん
リタを知って、すごく時間を重ねているのに。
J部隊の仲間のことも。最後に誘い出す時にはこまごまとしたいろんなことを
それぞれについて知っていた。
何回も会話して、ケイジのほうは相手をよく知るようになるのに、ケイジの
ことは誰も知らない。信用もしない。
そういうことを、全然ベタベタじゃなく、さらっとさっと、早いテンポの
カットでたたたたっと見せてくのが凄くよかった。
悲痛にドラマチックに、でもテンポは軽快で何百回の死も少しずつのステージ
クリアも、早い。

あの物理学博士?とか、そもそものループとか、謎の敵とシンクロできる
機械とか? いろいろ細かくはわかんなかったなあ。なんか適当に都合よく
やってるよーな気がして、まあ本を読めばもうちょっとちゃんとしているの
だろうな~たぶん~と思う。
ま、とりあえずループして強くなってステージクリアしてってラスボス倒す!
ってことだけで理屈はおいとけばいいか、って感じ。まあ、いいよね。

最後の最後に、ラスボス倒したからって、ケイジはもう終わりかと思ったら、
なんと目覚めた。今までよりはもう少し前の時間に。そして、敵は謎のままに
戦闘不能というニュースが流れ、作戦実行前にして人類が勝利してた、みたい
な世界になっていた。
もう一度、リタを探す。リタに出会う。
笑顔のトムが素晴らしくかっこよかった~~~。
これで、世界は救われて終り、なんだよね。それでいいんだよね?
なんでそこに戻ったのかわかんねえなあと思ったんだけど、だから、また何か
別のループで悲惨なことに???と思ったんだけど、うーん。ハッピーエンド
ということでいいんだろうなあ。

ところで作戦が、まるっきりDデイですよね? ノルマンディー上陸作戦。
これは原作がそういう舞台設定なんでしょーか。ロンドンやらパリやらで
舞台がとっても素敵だった。
本を読んでみたいなとも思ったし、本とはたぶんだいぶ違うんだろうけれども、
すごく上出来なハリウッド映画化なんじゃないかなーと思う。
ありがとうトムあいしてますトム!

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映画「トランセンデンス」

*結末まで触れています。


映画「トランセンデンス」

近未来。
人工知能の研究が進む中、その研究者たちにテロが仕掛けられた。
反テクノロジーを掲げるテロ組織に撃たれたウィル。銃弾にしこまれた毒(?)
で、一か月後には死ぬ、と宣告される。
彼の意識をアップロードすれば、彼を失わずにすむと考えた妻イヴリンは、
友人マックスの助けをかりながらウィルをプログラムに反映させていく。
ウィルの死後、起動した彼の意志は自らプログラムを書きはじめた。

ジョニー・ディップ主演、人工知能が意志を持つのか、みたいな感じかー
SFかなーと思って見に行った。けど、なんか、思ってたのとは違う気がした。
SFというよりはなんか、ファンタジー?
いくらなんでもそれはもう魔法レベルでしょ?と突っ込みたい。。。

なんか、ウィルがコンピューターの中で目覚めてから、マックスは突然、彼は
本当にウィルなのか? とか心配始めちゃうし。いやいやいや、最初からそれ
心配しておきなさいよ、と思うでしょ。株価にアクセスしたい、とか言い出す
のがダメだったらしいけど、なんか、なんか。
反テクノロジーのテロリストたちもなんか適当だし、FBI捜査官?も
一人で頑張ってるみたいな感じだし。
なんか、これ、B級映画? って途中で思い始めた。比較的金のかかったB級。

ウィルがネットで世界を操って、でも結局別になんにも悪いことらしい
悪いことしてないし。怪我人治したりしてるのを、不死身の軍隊作ろうと
している、とか勝手に危険視してったのはFBIだとかのほうじゃない?
とりあえず本格的に悪いこと始める前に潰せ、みたいなのはまあいい、か。
予防予防。でもなー。
妻イヴリンも、だんだんウィルに監視されているのが怖くなって嫌になって、
っていうのはわかるけど、うん、いくらジョニデでも嫌になるだろうけれども、
そもそもあなたが始めたことでしょーーー。

ナノマシンで怪我が治るとか、ナノマシンを大気に放って雨になって世界を
おおいつくし、とか、壊れたソーラーパネルもナノマシンでたちまち元通り、
とか、ナノマシンが万能すぎてコワイ(笑)魔法だったのかナノマシン(笑)

最終的にはイヴリンがウィルスアップするために自爆っつーか。
うーんー。
ウィルの死を受け入れられないイヴリンのせいで全世界が茶番に巻き込まれ、
大停電とかなってタイヘンでした。そんな壮大な肩透かしにあった気分。

まあ、雰囲気眺める分には楽しかったです。
眼鏡もっさり博士なジョニデ、ステキでしたし。
ブキャナン捜査官でキリアン・マーフィが出てたので、わ~い!と嬉しかったし。
出番少ないしなんも活躍してないけど。

ポイント使ってタダで見たので満足です(^^;

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