『密告者のゲーム』(ディック・レイア&ジェラード・オニール/角川書店)
*ネタバレ、かな?
『密告者のゲーム』(ディック・レイア&ジェラード・オニール/角川書店)
FBIとマフィア、禁断の密約
若き特別捜査官、ジョン・コナリーはサウス・ボストン育ち。その街で幼い頃
憧れた青年ホワイティ・バルガー。バルガーは若くして有名なタフなティーンエイジャー。
FBIになったコナリーは密告者が欲しかった。
マフィアを潰すため、対立するバルガーは密告者となって自分の有利を得る。
貴重な情報源を得てのしあがっていくコナリー。
FBIとの繋がりから捜査情報を得て暗黒街で力をつけてゆくバルガー。
二人は法の規制の範疇を越えて親密さを増し、腐敗の道を進む。
ホワイティ・バルガーの弟は上院議員だったみたい。兄は暗黒街の顔役、弟は
立派な政治家。街のヒーロー的な兄妹だったみたい。
コナリーがバルガーに接触し関係が始まったのは1975年。その後いろいろ
明らかになるのは1999年くらいか。この本の終りの時点でホワイティは
捕まっていない。大昔のことじゃなくてつい最近じゃん、と思う。映画みたい
だよねー。映画化の話もあるようだ。だろーなー。ほんとに映画化するのか?
この本発行2001年。
話はあれど実現には時間がかかるものなのか。
ジャーナリストがつかんだスクープからの渾身のノンフィクションだそうで、
小説ではないので、私には読みにくかった。いろいろ現れる人の名前が
覚えられないし(^^;
まあ細かい人物のことはいっか、と、淡淡と読んだ。
悪いマフィアと戦うために、身内にとりこんだちょい悪なバルガーのことは
守ります、ってなっていたのが、だんだんちょい悪どころじゃなくて暗黒街
の大物のためにFBIや警察の情報流す、と、主客逆転するコナリー。
裁判やマスコミにがっつり出ていたらしいコナリー。アメリカじゃ有名な
スキャンダルだったのかな。知らなかった。
街のダークヒーローみたいな感じで俺たちのホワイティ・バルガーみたいな
存在だったような感じでもある。弟のほうもどのくらい知っていたのか、
関わっていたのか、それは証拠もないことなのだろうし明らかにされてないけど
そういうのもますますお話じみている。凄いねえ。
最初はコナリーなりの正義感だったのに、とか、取り込まれていった上司
モリス。結局不遇に落ちぶれたモリスが告発に回るとか、なるほどあるある、
とてもドラマチック。
ぐぐってみたら、2011年に、バルガーは15年にわたる逃亡の果て逮捕
されてるみたい。81歳だそうで。凄いな。今は84歳になるのかな。
逮捕されたから映画化も動いたのかな。
こういう密約や腐敗があったこと、それが明らかにされたこと、両方凄いな。
明らかにならずに逃げきったものもあるんだろうなあ。
暗黒面はすぐ隣にあるかもしれない。面白かった。
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