« 『TOUGH!』(岩本薫/ビーボーイノベルズ) | Main | 『夜の片隅で』(ジョン・モーガン・ウィルスン/ハヤカワ文庫) »

映画「LIFE!」

*結末まで触れています。
映画の日、1100円になってたー。増税実感。。。


映画「LIFE!」

雑誌LIFEは廃刊となることが決まった。
ウォルターは写真のネガを管理する仕事をしている。最後の表紙のための、
カメラマン、ショーンの傑作だというネガが一枚なくなっていた。大事な
写真。それを見つけるため、どこを放浪しているのかもわからないショーン
をつかまえるため、推理し手がかりを求め旅に出る。

暗い部屋で地味な作業をしている冴えない男、ウォルター。出会い系?な
ネットサービスに書く自分のPRとなるような経験が何もない凡庸な人生。
だけど、地味でもLIFE誌の仕事に誇りと愛着を持っているウォルター。
写真部で働くシェリルを好きになっているのに、うまく会話を続けること
さえできないウォルター。空想癖がありぼーっと固まってしまうウォルター。
そんな男が一歩踏み出して冒険をする!

音楽がなにかとツボにきた。
スペースオディティを予告で聞くなあと思ってたら、どうやら作中でいい感じ
に使われてるみたい、と知って、やっぱり見にいってみた。
なんかこう、地味な男が冒険して生まれ変わる!みたいな説教臭い話だと嫌だ
なあと思ってたんだけど。

妄想がすんなり突然始まるので、なんじゃそりゃ、と苦笑する感じがあった。
けど、そこは軽くクスクス笑っておけばいいんだと思う。監督も主演も
ベン・スティラー。コメディ俳優って感じの人なんですね。よく知らなかった。
けど、冴えない男の最初から、結構かっこいいなあと思った。イケメン。
でも、妄想癖の人付き合いうまくいかない生真面目くんな感じ。
それが、えいっとヘリに飛び乗ったり海に落っこちたり、スケートボードで
疾走、ヒマラヤに登っちゃったりもして。
すごく景色が綺麗で素晴らしかった。
ワイルドになっていくウォルターはますますかっこよくて、すごい素敵だった。

それでも、またNYに帰ってくる。別人に生まれ変わってるわけじゃなくて、
やっぱりいまいち冴えない男にかえってくる。
そのふわっとさらっとした帰還がよかったなあ。
人生変わりました!みたいな冒険の旅!って大仰なカタルシスにするんじゃ
なくて、凄いことやってきたけどやっぱり母の大事なピアノを売ってしまうしか
なくて、クビになって失業証明かなんかもらいにいって。
そういう地味なところに帰ってくるバランスがじんわりと沁みた。

妄想して心ここにあらず、ってなるウォルターに周りが「トム少佐」って
からかって声かけるの。スペースオディティのね。
も~~~。
それだけで私はうるっときちゃって困るんだけど。
そして、酔っ払いの操縦するヘリに乗るかどうか迷う時に、歌に押されて
駆け出すの。ぐっときたー。
大事な歌として使われててすごくよかった。

シェリルとはいい感じになる。
見つけた写真は実はずっと手元にあった。ショーンはウォルターの仕事を
尊敬していてくれた。
無くしたと思ってた写真、もしかしてウォルターのママかな? って思った
んだけど、ネガをチェックしているウォルターだったんだねえ。それが表紙
になった最後のLIFE。
表には出ない地道な作業をこつこつと続ける裏方あってこその雑誌。
そういうささやかな誇り、みたいなのがとても素敵だった。
私も裏方人生だもんなあ。
まあ映画は映画でおとぎ話で。
グリーンランドにもアイスランドにも私は行けやしない。
妄想、していくよ。

LIFEの表紙や、エンドロールでの写真。
写真がとってもよかった。凄くて、すごくよくって。写真っていいなあと見惚れた。
LIFEは実際廃刊になって今はオンラインになってるのかな。それはそれで
仕方ないんだろうけど。けど。
生きるって、地道でつまんないけど、いいこともあるよね、と思う。
見に行っておいてよかった。

|

« 『TOUGH!』(岩本薫/ビーボーイノベルズ) | Main | 『夜の片隅で』(ジョン・モーガン・ウィルスン/ハヤカワ文庫) »

「映画・テレビ」カテゴリの記事