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『しづかに逆立ちをする』(花鳥佰/六花書林)

『しづかに逆立ちをする』(花鳥佰/六花書林)
 

  
著者第一歌集。
  

 
なんだかゴージャス。それが第一印象の歌集である。石井辰彦さんの栞文
に「この歌人は、生活を詠って豪華であり豪快でもあるのだ」とあるよう
に、歌に出てくる小道具がなんだか煌びやかだ。羨ましくてかっこいい。
  

 
夢やイメージの世界が、私には思いもよらないような発想があってとても
面白かった。とてもヘンな感じがするものも多くて、ヘンだなあと思うの
が面白かった。単純なきれいではなくて、奇妙な感触。そういうところ
見るのか!? とびっくりしたりします。
  

 
歌集タイトルからして、「しづかに逆立ちをする」って。何故逆立ちを?
しかも静かに。
  

 
  九月の陽のむごきまで熱き午後なればひとりしづかに逆立ちをする
    (ひ)
  

  
この歌からのタイトルだが、何故。何故逆立ちをするの。わからないけど
なんだか不思議と迫力がある気がする。
 
時に内容が詰め込まれすぎなのかなあ、とか、逆に省略がすぎるのか?
不意に途切れるような歌とか、なんだか定型におさまりきらないような
歌もあって、そこもなんだか豪快なスケール感かと思う。不思議です。
 
桃の歌が目についた。お名前、漢字は違えども「モモ」なので、お好き
なのかなと思う。いいですよね桃。

 
ずっと本が好きで、ミステリーが好きで、小説家であったという花鳥さん。
たぶん花鳥さんとはレベルが違うでしょうが、私も本、ミステリー好き
なので勝手ながらとても親しみを持つあとがきでした。
 
いくつか好きな歌。
()はルビです。
  

 
 
  桃つつむ山梨日日新聞の沢田研二の唇(くち)の濡れをり
 
  失語症のうつはを抱へこころぼそく代官山をのぼりゆきたり
 
  ひたすらになんにもしない幸福に酔ひしれてをり波の音(ね)たかく
 
  あのころの東のスパイになりきつて襟を立てたりベルリンの雪
 
  どんぐりばかり食べておいしくなつたといふスペインの豚称へつつ食む
 
  オオアリクイの長き舌わが鼻を舐む桃の花の下まどろみをれば
 
  さりさりとうたひをりけりわが上の蛇の目の傘に落ちる五月雨
 

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