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『ロシア・ハウス』上下(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫)

*結末まで触れています。


『ロシア・ハウス』上下(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫)

ペレストロイカの頃、モスクワ。英国主催のブックフェアの会場で、
エカテリーナ・オルロヴァという女性がある原稿をニキ・ランダウに託した。
ミスター・スコット・ブレアに必ず渡してほしいと頼まれる。ランダウは
英国に帰国後、ブレアを探すが見つからない。そこで、英国情報部に原稿は
渡り、ブレアが探し出される。出版社の経営者であるブレア。
その原稿は、ソ連の軍事力に関する情報を記したものだった。

てことで、相変わらず名前が最初わからなかった。結局スコット・ブレアは
バーリーなのね。エカテリーナはカーチャなのね。ハリーというのは偽名で
オールド・ポールフリなのね。法務担当。ハリーの告白を聞いた男。最初、
誰かがこれを書いている、というのはわかるけど、誰なんだよハリーって
君は誰なんだ、と思いながら読む。情報部の法務担当。ハンナという愛人と
の関係を心の中で常に苦悩してる男。ポールフリの回想というか記録として
この作品がある。

謎の原稿を託してきた男は、かつてバーリーが飲み明かしたことのある
ゲーテと名乗っていた男。実はソ連の科学者ヤーコフ。ソ連のミサイルは
欠陥だらけ、という情報を渡して、本にして出版してくれ、と頼む。
なんか、まともな文章もなさそうな感じなんだけど、出版してくれ、という
執拗な情熱はなんなんだろうなあ。
ゲーテとカーチャ。
カーチャとバーリー。
カーチャは謎のロシア美女ってことなのね。子どもいるけれども魅力抜群。
バーリーは彼女を助けるために西側を裏切るんだけど、そうなっちゃうか
なあというのがなんだか唐突で、まあ、そりゃ、恋は突然恋は盲目だけど。

ル・カレのことだから、きっとこのバーリーが裏切るんだ。きっと最後には
死んじゃう、殺されちゃう。と覚悟しながらじわじわと読んだ。けど、
なんとバーリーは生きていた。裏切ったけど、生きてたー。びっくり。
バーリーには優しいじゃないか作者。どうしたんだよ。
冷戦後のスパイ小説、というところで作者も模索中なのかもみたいな感じの
解説があったけど、そうなのか。ソ連もペレストロイカ、グラスノスチ。
以前のように血なまぐさいことはしなくなる、という感じか。英国も。

この文庫の奥付は1996年4月発行。冷戦後、といってもまだ間もない頃
かなあ。スターウォーズ計画とかあったよなーと思う。軍縮に向けて確かに
アメリカの上の方はなにかと大騒ぎだったのかなあと思う。
CIAががっつり絡んできて、バーリーはCIAに使われることになる。

英国のロシア・ハウスチーフのネッド。『影の巡礼者』先に読んでいるので
なんか若造のころから知った気分がするんだけど。この作品では凄いデキる
男でハンサムでかっこいい感じ。これで失脚しちゃうのね。途中で一人、
バーリーの裏切りを予見したのに気の毒。。。バーリーめ、という気がする。
裏切るんじゃねーよー。
ネッドのジョーとして教育していく、というのぞくぞくする。厳しく優しく。
洗脳みたいなもんなんじゃないのかなあ。相手の心に強引に入り込んでいく
のって、とってもセクシー。ネッドのことをかなり好きになったので、
裏切ったバーリーが酷いと思う。カーチャを助けたかった、のだろうと思う
けど、けど、なんで。ネッドへの手紙がなんであったのか最後までわからな
くてもどかしい。そこは書いてくれよー作者ー。
そんなこんなの不満はありつつも、面白く読みました。
カーチャはやってくるのかな。ほんとにうまくいったのかな。

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