『慶応三年生まれ七人の旋毛曲り』(坪内祐三/新潮文庫)
『慶応三年生まれ七人の旋毛曲り』(坪内祐三/新潮文庫)
漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代
この七人は生まれたのが慶応三年と同い年。明治の年号と年齢が同じになる。
という発見から、七人並列的にその姿を追いかけて描く、んーと、エッセイ?
評伝? そんな感じです。
子規さんと漱石先生が仲良しなのは知ってた。熊楠が同級なのも。露伴、紅葉、
緑雨のことはあまり意識したことなかったなあ。と思って、この豪華七人を
どう見せてくれるのか楽しみに読んだ。
けど、実際読み始めるとなかなか読みづらかった。私が基本的知識がないん
だよなーというのはもちろんながら、あっちいったりこっちいったりがねー。
あっちいったりこっちいったりの感じで描いているのがこの本のいいところ
なんだと思うんだけど、なかなか慣れず、集中しづらく、かーなり長いこと
読んだりやめたりしながらやっと読み終わり。
語り口というのか、時々作者のコメント、的に出てくるのにもちょっと馴染め
なかった。司馬遼太郎だったら全然気にならなくてむしろ喜んでうんうん、って
読むのに、この場合はなんだか駄目だったなあ。私がこの著者のことを全然知ら
なくてなんの思い入れもないから、ちょっとむっとしてしまって、なんだよ?と
反発覚えるのが駄目なんだと思う。なぜ反発してしまうんだ俺、と、自分に突っ
込みどころだけど、なんか、なんとなく(^^;
紅葉とか露伴とか読んでないよなあ。たくさん作品を引かれてて、時々面白い
と思った。金色夜叉とかむしろ今読むと面白いんじゃないのか。
たっくさん資料というのは残っているもんなんだなあと感心する。それを丁寧に
ひいてきてる作者すごい。好きなんだろうけど、それにしてもすごい。
明治期になると作品や資料が残ってるもんなんだなあと思った。旧仮名でも
まあ普通に読めるしね。活字って素晴らしい。
なんといっても子規さんが好きで、漱石先生が好きで。もっとそればっかり
読みたい。熊楠のことが少なかった。と、私の期待のもちどころが違ったなと
思った。紅葉とかにあまり興味ないんだよねー。作品読んでみないとなあ。
そして、日清戦争にむかう、というところで終わり。
それでも連載の予定は大幅にオーバーしてのことらしいけど、でも、えっ、
ここで終わりか~という気もする。ま。こんなもんですかね。
のんびり読むにはいい本でした。
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