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『陰陽師 酔月ノ巻』(夢枕獏/文藝春秋)

*オチに触れているのもあります。


『陰陽師 酔月ノ巻』(夢枕獏/文藝春秋)
 
 銅酒を飲む女
 桜闇、女の首。
 首大臣
 道満、酒を馳走されて死人と添い寝する語
 めなし
 新山月記
 牛怪
 望月の五位
 夜叉婆あ

以上9つの短編集。
晴明と、博雅がゆるりと庭など眺めながら酒を飲んで語り合っている。
そして、妖しの出来事があり、「ゆこう」「ゆこう」そういうことになって
ゆくのである。
安定の黄金の陰陽師の世界だよねえ。しみじみ。ほろほろと、秋の月の中で
酒を飲みながらゆっくり読みたいねえ。
珈琲飲みながらさくっと読んでしまったけれど。

今回は、博雅と晴明と二人じゃなくて、依頼人、というか、ま、困った貴族の
人がやってきて、というのもけっこうあって、「ゆこう」「ゆきましょう」と
晴明さまの口調がちょっと丁寧語になっていたりして可愛い。
二人の力関係は対等、友人、とはいえ身分においては博雅が上で、他人がいる
時にはしれっとそういう慣わしに従ったフリをする晴明さま素敵。

「めなし」の最初。酒を飲みながら、晴明といられるから歳をとるのも悪くない、
みたいな告白を(きゃ。告白だろー//)博雅がすると、「そういう言葉は、いき
なり口にするものではない……」といって照れる晴明さま!何このらぶらぶ!
いきなりじゃなきゃいいのか(笑)どういう顔つきをしたのよ~も~!可愛い。
君たち可愛すぎる。あーこの酒の席に混ざりたい。隅っこで黙って飲んでるから。

「首大臣」は、若き道長が少し登場。かっこよさげで素敵。
首だけになった大臣。首だけになってるのになんか、困ってるし大変なんだけど
なんか可愛かった。こういう語り口好きだなあ。さすが獏さん。

「望月の五位」かわらけでできた人形でしたか。可愛い。そして最後には晴明が
もらいうけて、李白の詩をうたわせて「博雅と酒を飲んだりしているらしい」
という。いいな~。ほんとその酒の席に混ざりたい。可愛い。

道満のお話もけっこうあって、ややブラックとはいえ、道満ももう悪役という
ほどのことはなくてなんだか可愛くなってきている。

これは去年の秋に出ていたのを買ったまま積んでて。一年近くたってしまった。
去年が、陰陽師シリーズ25周年だったようですな。しみじみしちゃう。最初から
読んできているから。まあファン歴も長いのはわかってるけど、改めて25周年!
なんて見ると、あー長いんだなあと思う。
このシリーズは短編がメインで、このゆったりとした平安のスピード感がとても
心地よい。牛車のスピード感?人が歩くほどのスピード感。呪はあれども、火花散る
というようなのはなくて(長編では多少ある)ふわりと風に乗るような動きだったり
して穏やか。情念や鬼はもちろん怖いけれど、それ以上に哀しみの物語だからなあ。
安心して気持ちよく、じんわりと物悲しく感動して満足なのでした。

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