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映画「わたしはロランス」

*具体的内容、結末まで触れています。

映画「わたしはロランス」

ロランスは学校の教師。フレッドは映像製作に関わる仕事。二人の付き合いは
2年に及び、互いにかげがえのない相手として強く愛し合っている。
だが、35歳の誕生日のあと、ロランスはフレッドに大事な話を聞いて欲しい
とうちあける。自分の男性の体は間違っている。女として自分に正直に生きたい。
始めはショックで受け入れられないフレッドだったが、時間をかけてそれでも
愛してるからと、ロランスの女装しての出勤を励ます。
だが、女の姿で暮らし始めるロランスは、職場で問題視され、クビになる。
また、同じ頃予期せぬ妊娠に気づいたフレッドは混乱し、妹だけにしか話せず
ロランスとの関係もうまくいかなくなる。

映画が始まる時点が1989年。それから10年にわたる、ロランスとフレッド
の、愛し合いながらも別れたり再会したりの葛藤を描く。上映時間168分。
たっぷりみっしりでした。激しいよ。フランス語よ。素敵。

監督がグザビエ・ドラン。23歳? カナダの気鋭の新人監督だそうで。でもこれ
3作目だそうで。さっすがの若さの激しさなのだろうかと思った。すごいテンション
高いの。激しいの。ぐいぐいくる。
映像も面白くて、アート的、というのかなあと思う。なんでそう洗濯物を撒き散らす
んですか(笑)きれいだけど(笑)色使いも鮮やかで絵になるシーンいっぱい。
音楽も面白かった。激しい。
画面で、音楽で、パワー押し切ってくる感じは、ああ映画ならではだなあと思う。

俳優さんたちも凄かった。
主演のロランスの人、メルビル・プポー。始めはほんと素敵メンズで、女装して
いく奇妙さ悲しさ嬉しさ、素敵だった。母親がまた凄くて。母じゃなくて女だった、
とロランスが言うところもあったけど、母性愛ーとかじゃないのよね。ロランス
との関係の様子がよかった。辛いときママに甘えたくなっちゃうぐしゃぐしゃに
泣くロランス、素敵すぎる。
あのあやしげなローズ一家?わけのわからない、歌手もどきみたいな彼らとか、
なんなんだ。ああいう迫力。ゴージャス。ただもんじゃない感じが凄い。
そしてフレッドを演じるスザンヌ・クレマン。なんか、日本の女優さんで似た人が
いる気がするなあ、って思って気になったんだけどうまくいえない。
単なる美人とは言えなくて、もちろん綺麗にドレスアップした姿なんかは当然
きれいなんだけど、もっとこう、普通に激しくぐしゃぐしゃな感じが凄かった。
カフェ?レストラン?で、女装のロランスに、悪気はないのよ、的にぶしつけに
話しかけてくる店員のババアに怒鳴りあげる迫力ったら!
ロランスを愛してる。でも受け入れられない。再会して喜んだのに。でも、上手く
いってるわけじゃない結婚生活とはいえ捨てるつもりじゃなかった、というズルさ
とかー。もー。
凄いカップル。
なんだろうこの生々しさというのか。肉体というのか。きれいな映画じゃないんだよ。
激しくて、肉体の重さがずしっとくるというか。
きれいでファンタジックな映像世界もあるんだけれども、人間の肉体、皮膚の湿りが
のしかかってくるような。
凄かった。
もうちょっとお互い落ち着いて話し合いませんか?と思うけどねえ。フランス語で
語る男女は激しいものなのか(偏見)。でも妊娠とか絡むと平静じゃいられないのも
凄くわかるので、どうしていいかわからない、というのも、納得なんだけれども。
でも、もうちょっと話し合えれば、と、思ったなあ。

つきあう相手の性別って、そんなに重要事項だろうか?というのがわたしには正直
ピンとこない。大好きになったなら、相手の性別ってその人の構成要素の単なる一つ
じゃないのかな? 好きな人は背が高い人です、とか、髪がちょっと薄いけど愛してる、
とか、痩せてスタイルがいいから好き、とか、ぽっちゃりなのがむしろいいとか、
そのくらいのレベルで男がいいとか女がいいとか、ではいけないのかなあ。
まあもちろん、性別こそが恋愛の最重要項目でそこは外せない、という人もいるんだ
ろうな、とは察するけど。

ロランスが女になりたい、ということがなくても、結局はダメになった二人だと
思う、と、これは回想スタイルなので今のロランスは語る。確かに、どんなに愛し合う
時間があったとしても、ヘテロな男女であろうがなんだろうが、別れるカップルなんて
当たり前にいっぱいいる。
愛していても。愛し合っていても。そのまま二人で末永くめでたしめでたし、に、
なるなんて限らない。

ラスト、二人の出会いのシーンで終わる。ロランス、まだ男性であったロランスが
フレッドに声をかけてお茶に誘う。そう。ごく当たり前によくある恋の始まり。
トランスジェンダーのことがテーマにあるけど、性別どうこうよりも何よりも、
だたの二人の人間の愛の変遷の物語でした。凄かった。

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