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『フリッカー、あるいは映画の魔』上下(セオドア・ローザック/文春文庫)

*ネタバレ、結末まで触れています。


『フリッカー、あるいは映画の魔』上下(セオドア・ローザック/文春文庫)

ウエスト・ロサンジェルスの小さな映画館。クラッシック座という名画座は
地下にあった。運営していたのは退役軍人のシャーキーとその愛人クレア。
実質仕切っていたのはクレアだった。
そこで、ぼく(ジョニー・ケイツ)はマックス・キャッスルの映画に出会った。
ドイツからアメリカへ流れてきた名もなき映画監督。B級ホラーの下らない映画
がわずかに知られているだけの監督。だが、偶然発見した彼の作品を見て、
ぼくはその映画に隠された魔にみいられてしまう。ただ目に見える以上の何かが
この監督の作品にはある。
そして、学生だったぼくはやがて母校の教授になり、映画を研究するようになり、
マックス・キャッスルを追ううちに明らかになる謎にますますのめり込んでいく。

98年このミスで一位だったそうです。タイトルになんとなく覚えがあるのは
そのせいか。この文庫本は99年発行。文字が小さくみっしりであー昔の文庫本
て感じ。読みづらかった。。。
ミステリ、なの?
殺人事件が起こりそれを解決する探偵役、というものではなかった。
60年代くらい?のアメリカ、ハリウッドまわりの学生気分から始まって、
終わりのほうは80年代くらいになってるのか。映画というものがどう扱われ
どう堕落していったか、といったお話のようであり。堕落、つか、変遷?
映画の可能性をさぐる昔の努力から、テクニックの変化とか、映画の未来を
嘆いてみせるとか、映画マニアック話がたっぷり。

で、消えた映画監督マックス・キャッスルを追ううちに、謎のカルト教団が
とかやがて人類の終末をたくらみ、とか、まー、壮大なことに。
最初の頃はウブな学生くんが、才気煥発な年上女性に映画をベッドでみっちり
教えてもらい、ってなノリだったのが、キリスト教の歴史の秘密とか、テンプル
騎士団が、とか、カタリ派は今もいるのかとか、嵐の孤児院の孤児たちが今
世界中で密かに暗躍し、頭脳をのばし、2014年の最終戦争、審判のときを
ひきおこそうとしている、とか。
攫われてしまって、気がつけば南の孤島。しかしなんと、そこで、実はずっと
捕らわれの身のまま生きていた、マックス・キャッスルに出会う! って。
すごいなー。
そして残りのページ少なくなって、これ、どういう結末つけるのだ???と
思っていたら、その孤島からボトルメッセージとして流すんだ、メモワール、
回想記を。っていうのが、この作品、と、いうわけ、ですか。むむー。

映画マニアな薀蓄のあれこれは、どのくらいがホントでどのくらいがフィクション
なのか、私ははっきりはわかんない。有名どころは知ってるけど。
謎のカルト教団もまあいいとしよう。しかし、そんな一人や二人、や、もしかして
もっとたくさんの人間? を、孤島に隔離して自分たちの秘密を守るのだ、とかは、
ちょっとどうなんだ。教団の主義として血は流さない、ってことで殺さずに生かす
ってことなんだろうけど、そんなに効率悪いことするかー?殺せよそこは。
と、つい私は物騒なことを考えてしまったりして、素直に面白がれなかった。
みっしり盛りだくさんな詰め込みっぷりは面白かったけど、決着は腑に落ちないと
思った。

映画をめぐる話なのに、映画化はしづらいだろうなあ。映像化してみて欲しいけど、
映像化できない映画のお話。マックス・キャッスルの作品見たいような。特に
最後の老人の狂気のわざの切り貼り映画のコマたちとか。でも絶対実際の映像で
見るとつまんないだろーという。そういう小説ならではの感触は面白かった。

そして今となっては、映像なんてCGでいくらでもどうにかなるんじゃないの、
と思ってしまうのも今読むと微妙に感じるところかもしれない。それでも日々、
新しい映画というのは追求されているんだろうけれども。
映画に隠されたメッセージ、とかも、サブリミナル?とも思いながらも、
そうでもないのか? と、なかなかつかめそうでつかめないもにゃもにゃ。
読みづらさをがんばって読んだほどには満足はしなかったー。
私は映画好きなほうだと思うけど、映画マニアには程遠い。映画の歴史みたい
なのをもっと知ってたらもっとニヤニヤとか発見があるのかもしれないなあ。


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