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『オール・クリア』2(コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

*具体的内容、結末まで触れています。

『オール・クリア』2(コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

第二次世界大戦下のイギリス。オックスフォードの史学部の学生で、当時の
様子を観察にきていた、ポリー、メロピー、マイケルは、この時代の中に
閉じ込められてしまった。なんとか、未来へ帰る方法を、未来へメッセージを
伝える方法をさぐる。
ついに、ダンワージー先生と再会したポリー。しかし、ダンワージー先生も
また、この時代に閉じ込められていた。回収チームはこない。
この時代に何度か来たことのあるダンワージー先生のデッドラインは近い。
ポリーのデッドラインよりももっと早く。このまま、この時代で果てるのか。
 
どうなるの。どうなるの。どうなるの。どういうことなのっ。
と、もー、めいっぱいハラハラドキドキ、やきもきしまくった物語がやっと、
終わった。ほー。

ほんっとにもう、ご婦人方とか、子どもとか、ちゃんと、もっとちゃんと
人の話を聞きなさいよ!言うこと聞きなさいよ!もう~~~~~っっっ、と
いうのが上手くて上手くて、イライラするっ(笑)
ポリーやアイリーンもそう。マイクも。互いを思いやってのことなんだけど、
でも、隠し事しないでちゃんと話し合ったらいいんじゃないのっ、と何度
思ったことか。ダンワージー先生とやっと会えた!ってなっても、やっぱり
なかなか話をしないし。も~~~っ。

時代があちこちすることも、年代があっちもこっちも、になることも、
さすがにこの巻まで読んでくるとすんなり読めるようになった。それぞれの
年代で使ってる名前とか役割なんかものみこめたし。
マイクが、一度は死んだと思って、でも、その後、ああここにマイクが、と
思って、でも、その後やっぱり死んでしまって、ずっしりきた。マイクも
確かに英雄だよね。

ずれの増大が、そもそもダンワージー先生が40年前にここに来たときから
始まってきているのだ、というのも壮大なお話。このタイムトラベルの話
全体にわたっての話になってるのかな。このシリーズはこれで終わりって
ことか。まあ、これだけ壮大に書き込み作り上げ、終わらせたなら十分か。
歴史はカオス系。
排除ではなく、彼らさえも要素としてとりこみ、連合軍側の勝利という
ぎりぎりのバランスの上での現実世界を実現するための、ズレ。なの、か。
平行世界ってことなのかなー。
負けた歴史もありえたことになってて。でも本来はドイツが負ける、のが
正しくて、そうなるように歴史自身が努力している、って感じ?
うー。微妙な感じ。
うーん。そか。史学部学生がタイムとラベルするようになる筋の歴史には
英国側の勝利が必要だから、その筋の歴史としては今回のような措置が
必要だった、のかなー。

ともあれ、戦時下の英国って、こんなだったのかなあ、と、もちろん
ホントには知らないのだけれども、この上なくリアルに人物一人ひとりに
イライラしたり笑ったり同情したり、そんな時でも生きて、日常があって、
でもすぐとなりに死の非日常があって、というのをたっぷり味わった。
一人ひとりが必死だし、それぞれができることをできるだけめいっぱい、
やって生きるしかないんだなあ、と。

マイクの死も衝撃だったけど、アイリーンがここに残るっていうのも
びっくり。それこそ歴史への関与は大丈夫なのか。でもそれが必要でそれが
事実として繋がっていったんだなあ。
コリンて、アイリーンの子孫ってことなのかな? 明言されてないけど、
そういうことなんだよね?孫?ひ孫?顔が似てたの?
アイリーンが、アイリーンの血が、そうして未来へ帰っていった、それが
彼女たちを救った、ということなのかなあ。そういう旅もあるんだな。
なんて、はるばると。

ホドビン姉弟の最強最終兵器っぷりには参ったよ。切なかった。

そして、オール・クリア。最後にはきっとうまくいく。戦争は終わる。
世界は続く。未来はひらける。
ほんっとすごい、すーっごい大作でした。読み応え満点。面白かったー!

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