« 映画「ヨッシ」 | Main | 『オール・クリア』2(コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) »

『火と水の対話』(塚本邦雄・寺山修司/新書館)

『火と水の対話』(塚本邦雄・寺山修司/新書館)

塚本邦雄・寺山修司対談集。

1977年の本だ。初出みたいなのは特に書いてない。いきなり本のための
対談だったのかしら。なんかすごい。
最初と最後に「塚本邦雄 筆描」「寺山修司 筆描」北嶋廣敏という人が
紹介文のようなのを書いている。最上級に言葉をつくして塚本の知や寺山の
パワーのことを書いている短文。当時すでに巨人だったのね二人とも。
『麒麟騎手』の年譜によると、1973年にこの対談やったらしい。塚本
53歳、寺山34歳。単行本化が遅れたのかなあよくわからないけど。

 第一章 自殺特権論―死について
 第二章 マルとダリ―映画について
 第三章 幻想派月旦―絵について
 第四章 定家と電話帳―短歌について
 第五章 百苦惨々―俳句について
 第六章 ゼロは愚者―賭博について
 附録  新いろは加留多 塚本対寺山

塚本の好みと寺山の好みはずいぶん違うらしいなあと思う。共通して
興味持つこともあるみたいだけど、寺山は自分がやってみるぜやってやるぜ、
って感じなのに対して、塚本は観察者でいたいという感じ。年の差という
ことももちろんあるのだろうけれども。

寺山のほうが水型人間らしい。本人曰く。僕は責任とらない運ぶだけです、と。
塚本さんのほうが火ですね、焼き尽くす、とか言ってる(笑
でも塚本もすんなり納得はしないで、でも話しているうちに「そういわれれば
火のほうが好き」って篭絡されてる(笑)(P107~)

ルイ・マルの映画で『悪魔の発明』を、塚本岡井寺山の三人で見たんだってー。
(P28)いいな~なにその豪華三人連れ!いいな~~。

和歌、短歌の話。

「東京都の電話帳だって純粋客観の散文ではないですからね。法律論文だって
ぼくの考えでは散文を目ざしつつ散文になり得なかったもう一つの文学だとい
う気がします」(寺山)
「塚本 逆説的に言うのではなくて、六法全書はあのままで完璧な韻文詩で
しょう」
「寺山 形式があるからね。天気予報だってそうでしょう。ぼくは、ロートレ
アモンの詩より東京都の天気予報のほうがずっとイメージをかきたててくれる
と思ってる」 (P68-69)
 
てな話があって、そうなのか? とびっくりした。文章と読み手の関係の問題。
定型、形式があれば韻文詩ですか? 会話の勢いでの話しなのか、そうなのか
私にはわからない~。
ちょうど少し前に、中島裕介さんの歌集『oval/untitleds』の中に民法の条文を
使ったようなのがあって、なんでだ、と、私には読めなかったんだけれど、
こういう考え方というのが短歌界にはあるものだったのかなあ。知らなかった。
うーんそれでも私には読めないけど。読み手側の問題ってことか。

俳句について喋ってるのが二人とも楽しそうだった。寺山は俳句やってる時間
の方が長かったし、塚本もこの時百句選ぶというような原稿をやってたみたい。
それを選んでいくのが楽しそう。

手紙の話もあって、塚本はわざと日付を錯覚させるように書いてるらしい。
旧暦の水無月だとか書くんだって。一ヶ月くらいの違いができるのを楽しんで
いるらしい。めんどくさいな(笑)
塚本の手紙は読んだばかりなのでにやにや。「切手ことば」というのがあって
封筒に貼った切手の位置で暗にメッセージを伝えるだとか。塚本は知らなかった
よーってことで、寺山ってばそんなこと知ってるとか乙女かよ!とつっこみたい。
寺山って自分が愛されてることをわかっていながらしたたかって感じが実に
美少年なふるまいでもえる。ひどい。もえるー。
仲よさそう~な感じがする対談でとても面白かった。

附録のいろは加留多でいくつか好きだったもの。

 【ほ】ホックはづしてファック(塚本)
    ほら吹いて花を散らす(寺山)
 【と】蜻蛉蝶蝶もパリ帰り(とんぼてふてふ 塚本)
    遠くの火事近くの情事(寺山)
 【れ】冷蔵庫に恋文隠す(塚本)
    霊界から電報(寺山)
 【ね】寝てから起きるものなあに(塚本)
    猫踏んで里帰り(寺山)

*本では漢字旧字(正字か?)ちゃんと出さなくてごめんなさい。

|

« 映画「ヨッシ」 | Main | 『オール・クリア』2(コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 映画「ヨッシ」 | Main | 『オール・クリア』2(コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) »