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中島裕介第二歌集『oval/untitleds』を読み解く会

昨日、中島裕介さんの第二歌集『oval/untitleds』を読み解く会 に、行ってきました。
以下個人的メモ。正確な記録じゃなく私の主観メモ。記憶違いなどあるかもしれません。
何か間違ったこと書いているかもしれません。もし重大な間違い問題がありましたら
お知らせ下さい。削除します。

司会、田中槐。パネリスト、内藤明、佐藤弓生、山田亮太、吉田恭大。(敬称略)

最初は内藤明さんから。
無知なる読者、として、ご自身、辞書をひいたりグーグルで検索したりして読んだ
そうです。この歌集は読むことを遮断し、読む速度を減退させる。
また、サブカル的意味合いの言葉にはりついている意味を、知っている人だけが
楽しめるのか、言葉そのものとして読むか、そういう違いが読者によって出る、ような。
短歌を特権化せず、多面的な世界を価値付けなしに並べているようだ。

内藤さんでもやっぱり辞書ひかなきゃ読めなかったりするんだなあ、と、ちょっと
ほっとさせてもらった。
読む速度のことを言ってもらったのは納得した。すんなり読めない歌集だと思う。
この読ませない、速度を落とさせる歌集、私は読むのつらかったなー。(そして
たぶん中島さんのじゃなかったらもっとざくっと読み飛ばすなあ)

次が佐藤弓生さん。
「雨のランチプレート」の一連が、この歌集の縮図のような一連。
英語と日本語の二声のポリフォニー。
機械の力をかりてやる、「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」。
ちょっと安全圏かな。行為自体を見てください、という姿勢。20世紀の藝術的。
パラディグムとしての踏韻。 パラディグム、って、知らなかった。縦書きの文の
横へのずらし、みたいなことで、そう聞くとなるほどー、と、わかった感じがした。
中島さんの実験作、というのが別にあたらしくないよね? と思っていたところを
端的におっしゃっていただいて納得。そうそう20世紀的という感じなんだなあ。

次、山田亮太さん。詩人だそうで、歌集を読むのはこれが初めてくらいらしい。
ovalからオブラード、たくさんの歌を引いて、景色が移り変わるようだ、という読み
は面白かった。
「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」は、他の歌を読むよりハードルが
低くなって楽しく読める、というのも面白かった。よくわからなくても、機械絡み
だから、って感じで見過ごして読める、というような。
そうだなあと思う。
この実験て、完全に機械でもなく、著者が編集していくルールなんだけど、
それはどこまでどのくらいなのかはわからないので、ま、意図とか意味を機械の
せいにしてしまえる。それっていいのかどうなのかと思った。
「法律条文によるアンサンブル」のやつ、■にいろんな言葉を勝手にあてはめて
みて読んでみた、というのも面白かった。
私はもう単純に「死」とか「死亡」とか「殺害」とか、すぐ見えるものしかはめて
みようとしてなかったなあ。他の言葉の可能性、そのことによる変化っていうのも
あるんだ。その読みは私にはなかった。面白い。

最後、吉田恭大さん。
フレームの強化としての連作と、フレームの拡張としての実験作、という指摘、
納得。
「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」携帯電話を使う、ということ。
極私的な機械を通して、「私」が「私性」をはみ出していく試み、とのことで
ああそっかーと思う。携帯電話を使う意味というのがわかった気がした。

星野しづるとの比較もあって、星野しづるは短歌の言葉、単語に特化しているが、
「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」だと、日常の言葉もまぎれこんで
くるのが面白い、とか。佐藤さんの発言だったかな。

そんなこんなで休憩のあと会場から。

石川美南さん。星野しづるのことに言及されて、あれも本当は言葉をいれて
プログラム組んだ佐々木あららさんの意識意図思想批判がこめられているけれど、
そこは隠されている。「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」は中島さん
が編集してあるというのを隠そうとしてないのはいい、というような発言があった。
とても納得。

小林久美子さん。「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」で、一人の
人の中で、歌の言葉、日常の言葉がどううごめいているのか、どう編集し決める
のか、興味深い。コンタクトのほう(他人の携帯使っているやつ)の歌がもっと
たくさんあると、相対化できて、他者の言語感覚がまざって、深みが出るかと
思った、というような。
これも納得。携帯電話が極個人的で「私性」に通じるものだとして、他者のを
使って比較していけると、面白いのかもなあと。たくさんの歌人の「予測変換
機能のよるインプロヴィゼーション」で作った歌の比較やってみたり面白いかも。
そこにやっぱり歌人の個性は出るんだろうなあ。でもいつもとは違う感じに
なったりするのかなあ。

たくさんの人からたくさんの発言あり。アンケートもまとめたものが配られて
いて、評価が分かれるんだなあというのが見えて面白かった。
(アンケートのまとめ大変だったでしょう。お疲れ様です)

読み解く会、だなあということで、私は自分で読んだ時にはなかった読みを
たくさん聞けてとても面白かったです。参加できてよかった。
中島さんはこれからも古い木を切り倒し短歌の地平を開いて進んでいく決意
のようで、ますますのご活躍を!

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