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映画「シャニダールの花」

*ネタバレ、かな。よくわからないけど。


映画「シャニダールの花」

ある限られた女性の胸に咲く花。その花からは素晴しい新薬の開発ができる。
花を咲かせる女性に協力を仰ぎ、研究所で隔離して暮らしてもらう。花がうまく
育ち、満開になれば、胸から摘み取る。
だが、花を切除された女性は、死んでしまう。

石井聰亙監督、じゃなくて、名前が変わってるみたい。石井岳龍監督。
あーなんかこんな感じ、と思ってしまった。
詩的、といえばいいのか。悪く言えば話じゃなくて雰囲気のみ。
シャニダールの花とは何なのか。何故限られた女性の胸に咲くのか。何の新薬と
して有効なのか。花を採取するとこれまでもいつも女性は死んでいたのか?
一体どう隠してきたのか。何故今、破綻をむかえたのか。
新任のカウンセラー、美月響子や、ハルカの抱く疑問、花をこのまま咲かせたいと
願う女性は今までいなかったのか。
花についてはわからないことだらけで、研究中、とのことだけど、でも、薬として
活かせるということになるくらいの研究は進んでいるわけで、それなりにこれまで
の活動はあったんだよね?
まー、話とか説明とかはどうでもいい、という映画なんだと思う。

綾野剛が研究員で。大瀧さん。
彼に恋してしまったがゆえに平静を保てなくなるユリエ。
花は、どうすれば上手く育つのかまだはっきりしていないらしいけど、ストレスや
心の安定みたいなのが大事ということらしい。
綾野剛に恋しちゃう被験者、というのはあまりにもあるあるあるあるー、で、それ
ダメでしょ。恋しちゃうでしょ。イケメン配置しちゃだめでしょー。リスク管理が
なってない(笑)
美月を演じる黒木華さんて、蒼井優みたいなんだよなあ。
で、まあなんかいつのまにか大瀧さんと付き合うし。まあ、付き合うよねえ。
で、花を育て続けたい、とかいうのは、なんでいきなりそうなるか、というか、ま、
最初からカウンセラーだけどあなたのほうがメンタル的に大丈夫なのか? という
雰囲気ではあった。

で、その後、花は育ち、種がとれたのね。そして、土に芽吹き、花が咲く。
土で花が咲くなら、女性の胸で育つようにあんなに苦労してた前のほうは一体
なんだったのか。。。その後、危険な花認識された後にはあちこち地面にどんどん
咲いていってたけど。最初の頃死んでしまった女性はなんという無駄死にかと
思ってしまった。
でもこういうのも気にしちゃいけないところか。
最後には一面の花。
人類を滅ぼす花だったの? 人は花に戻ったの?
うーんー。
詩的、かなあ。でもそれにしてももうちょっと物足りない。狂気とかなんか。
エロスとかなんか。なんか、上滑りなきれいさのイメージだけって感じだと思う。
うーんー。

綾野剛がまたしてもとてつもなく涙目の似合う役柄で素敵でした。翻弄されるのが
似合う。殿ー、と、思ってみたり。
どアップに耐えて憂いの表情が素晴しくて好き。それは見てよかったと思う。

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『冬のフロスト』上下(R・D・ウィングフィールド/創元推理文庫)

*結末まで触れています。


『冬のフロスト』上下(R・D・ウィングフィールド/創元推理文庫)

デントン署のフロスト警部。署長のマレットの無駄な張り切りのせいで、
よそへ人員を貸し出す状況の中、人員不足で事件を抱え込んでいる。
空き巣狙いの怪盗枕カヴァー。
7歳、8歳という少女が誘拐されている。
娼婦が無残な殺され方をしている連続殺人。
裏庭から人間の白骨が出てきたという知らせ。
少しでも早く解決しろ、しかし経費は使うな!とマレットからの催促。
若手お芋ちゃん刑事モーガンは信じられないようなドジばかり。
たよりのカンも幸運も冴えない寒い毎日。フロスト警部事件解決なるか。

読み終わっちゃうのもったいないな~と、少しずつ読んだ。
相変わらずフロストの抱える事件はどうにもたいへんなことばっかりで、
人員不足経費経費とうるさいマレット、もー、ほんと気の毒。
だらしなくて下品でいい加減だけど、仕事で一番大事なところには
手を抜かないフロスト警部。人間味というか、なんか憎めなくて、たまに
切なくもさせられて、がんばれっがんばれっと思いながら読む。
これまでも読んできていて、きっと最後には事件は解決するはず、と思う
のだけど、今回はほんと残りページが少なくなってきてるのに、なかなか
すっきりしなくて、ものすごく心配してしまった。
でもリズ・モードは可哀相だと思うなあ。生きてたとはいえ、一体。。。と、
どーんと心が沈んだ。くっそ、お芋くんモーガンめ。馬鹿っ馬鹿っ。
フロストがそこまでかばってやることないんじゃないのーっ、と思うけど、
まあそれも人の良さなのかなあ。モーガン今後少しは役立つようになるのか
大いに疑問だ。ここまで馬鹿でいいのかよー。

子どもの誘拐事件も辛かった。叔母さん、そりゃないんじゃないの。。。
すっきりしない。でも、仕方ない。。。何もかもすっきりうまくいかない。
そういうものかと思う。はー。
白骨死体のことも。うーん。でも確かにこれ以上どうにかなるとも言えない
かなあ。
今回はなかなかすっきりしないのも多かったけど、やっぱりこれだけの事件
読ませるのはさすが。フロスト警部大変だね、と、心から応援したくなる。

シリーズはあと一つあるみたい。よかった。これでもう読めなくなるのかと
思ってた。次のも翻訳早くされるといいなー。

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『反撃』上下(リー・チャイルド/講談社文庫)

*具体的内容、結末まで触れています。

『反撃』上下(リー・チャイルド/講談社文庫)

『キリング・フロアー』に続く第二作。ジャック・リーチャー、元軍人。
陸軍憲兵隊。数々の勲章を得たエリートながら、軍縮のおり退役。生まれた
時から軍隊しかしらなかった分、今アメリカを体験中。

シカゴ。クリーニング店から出てきた、片脚に怪我をして杖をついている
若くてうつくしい女性が、荷物を取り落としそうになっていたところを、
リーチャーは助けた。
その瞬間、三人の男に囲まれた。銃をつきつけられて。
ここで騒ぐリスクを計算し、リーチャーは彼女とともに車に乗せられる。
長い移動が始まった。
男たちの狙いは彼女。彼女は何者なのか。

そういえばリーチャーの他の話も読もうかなあと思い立って。
やっぱりすっごく面白い!
彼女、ホリーは、FBI捜査官だった。だが、それだけでなかった。彼女の
父親は軍隊のエリート幹部。将軍。そしてさらに、彼女の名づけ親は大統領。
彼女は政府に多大な影響力を持つと見込まれて、攫われたのだ。
巻き込まれただけのリーチャー。
しかし、凛々しく魅力的なホリーのために、リーチャーはこれは自分の事件
だと決意する。

FBIも身内を攫われたわけで、懸命な捜査。足取りを追っていくうちに、
リーチャーのことを犯人側の男だと勘違いしていく。
ち、違うよ!
読みながら、思わずそう声をかけたい気分。章が短くて、次々展開していって、
ぐいぐいひきこまれる。FBIも決して無能ではない。捜査は進むが、その中に
裏切り者がいる!
誰なんだ。なんなんだ! ハラハラドキドキ~!

リーチャーたちを攫ったのは、民兵組織で、過疎の進んだ村、森の奥地に
基地を構え、そこを独立させるように要求するつもりだった。
アメリカは世界政府(だっけか、なんか、国連とか。なんかそういう)に
すでにのっとられている。恐ろしい陰謀が進んでいる。ボー・ホーケンは
カリスマ的リーダーでありながら、自分がカルト思想にかぶれているとは
認識してない狂気の男だった。
ホリーを、リーチャーを利用しようとするも、徐々に、反撃にあう。

ってことで、後半、基地で捕らわれの身から抜け出し、反撃していく様は
わくわくどきどき~!
面白かった~!
リーチャーかっこいいし、ホリーも魅力的。きゃーきゃーわめくような
ヒロインじゃなくて、脚の怪我さえなければ一人でちゃんと戦える、怪我を
していても、できることをちゃんと考え冷静で有能なFBI捜査官であるのが
読んでてイライラしなくて素晴しい。
いくら有力者の娘であろうが、政府としては軽々しく動けない、という
政治の非情さもいい。将軍の首なんぞ簡単に挿げ替えられる、という組織の
リアル。
それでも助けに向かう少数精鋭な感じもかっこいい。ああでもその中に
裏切り者が!

結局もちろん彼女もリーチャーも助かった。ホリーがリーチャーに心ひかれて、
でも、もう決まった相手がいるの、というのもよかった。リーチャーはまた
流れていくから~。リーチャーもホリーに恋してしまったけれど。その切なさ
もよかったなあ。でもほら、非常事態での恋は長続きしないっていうし(笑)
面白かった~。満足!


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映画「風立ちぬ」

*具体的内容に触れてます。


映画「風立ちぬ」

大正末から、昭和。戦争へと向かう日本。
堀越二郎は飛行機に憧れ、飛行機の設計者になろうと決意する少年だった。
憧れは、イタリアのカプローニ。彼に夢の中で出会い、美しい飛行機を作る夢を
共有する。
やがて成長し、軍用機の開発に従事する二郎。
日本が勝つとか負けるとか、それよりもなによりも、飛行機を作り続けること。

避暑地で、かつて関東大震災の時に助け合った美少女と再会した二郎。恋をして、
結婚を誓って。しかし彼女は結核をわずらっていた。短い結婚生活。
いつも、風が吹いていた。

ジブリ作品を映画館で見るのなんて何年ぶりだろう。ラピュタ以来かも。
でもこれ、映画館で4分の予告見たときに、なんか、やられてしまって、見なくては
と思いました。

全編夢のようでした
うつくしい夢。悪夢。なにもかもその両方が夢のようでした。
イメージフィルムみたいかなあ。
ずっと風がふいていた。ずっと夢みたいだった。悪夢でさえもうつくしいところだけ
描いていた。
関東大震災も、不況の日本も、勝ち目のない戦争につっこんでいく日本も、
軍とか特攻とか、ドイツの旅とか、美少女との恋とかままごとみたいな結婚の日々とか。
実在の人物、ゼロ戦開発した堀越二郎の半生30年をベースにしながらつくった物語。
プラス、堀辰雄の小説も。『風立ちぬ』は読んだことある、けど、覚えてないなあ。

大河ドラマで一年がかりで描いても描ききれないだろう物語の要素たっぷりながら、
それをこんなにもうつくしい夢と悪夢だけで描ききるなんて。

図面ひいて計算して、試作してテスト飛行で空中分解しちゃったりもして。
ものづくりなこともたっぷりじっくり描きながらも、風がふいて夢にすりかわる。
貧しい日本。弱い日本。
それでも飛行機をつくり戦争した日本。

飛行機を作りたい。
その少年の頃からの夢を、実現させた二郎。エンジニア仲間にも上司にも恵まれて、
ひたすら飛行機を作った二郎。
夢の中で何度も出会う、憧れの技師、カプローニ。うつくしい飛行機を作ろう!と
いう夢を何度も案内するカプローニ。
とてもきれいで、素敵で、かっこいい夢の中の世界なんだけれど、それやってるの、
あの大戦中なんだよねー。。。

ドイツの技術に追いつくぞ、とか。そのドイツ、ヒトラーのいるドイツなんだよね。

飛行機をつくることにひたむきな技術者。
彼と愛し合う儚い少女のような妻。
なにもかもなにもかも。全部夢のよう。
挫折も苦しみもあるんだけど、飛べなかった飛行機の空中分解の残骸もあるんだけど。
作り続けるんだよなあ。
飛行機の夢。夢の飛行機。
その風の中の夢は、なんという化け物かと思った。

映画は、見ている最中に私は泣いたりはしなかったんだけど、見終わってじわじわと、
あとからあとから苦しくなってくる。
大震災の場面。あの恐怖の一端を今の私は知っている。
戦争に、日本が負けることを知っている。
一機も帰ってこなかったよ、というゼロ戦。うつくしく空を飛ぶゼロ戦。
全部、失われた命の物語だ。
どれほどの死がそこにあったか知っている。
なのに、これはとてもうつくしい夢の映画だった。きれいだった。風がふいてた。

男の子の夢だ。飛行機がかっこいい。飛行機が空を飛ぶ。飛行機に乗る。飛行機を
つくる。
開発や、テストの飛行機の飛ぶ姿のうつくしさとはかなさ。空中分解する飛行機。
あんなもので空を飛ぼうとしていたのかと愕然とする。
日本は貧しく後進国。
それでも、飛行機はかっこよくて、飛行機は夢で、飛行機で飛ぶんだなー。

萬斎さまが出ているの知らなかったので、声を聞いてうれしかった。
役柄も似合ってるなあ。さすがの雰囲気。夢の中の憧れであり、夢の中の不気味さ
でもあり。
上司のエライ人な国村さんもかっこよかった。
二郎と学生時代からのずーっと仲良しな本庄が、西島さんで、兄つぁま!と思って
にまにましてしまった。かっこよかった~。似合ってた~。よき友、よき理解者、
ライバルであり協力しあう仲間。夢にいつも半分魂もっていかれてる二郎よりは
ずっとリアリストな本庄。それでも技術者仲間な感じが素敵~。かっこい~。

あ、あと効果音? HP見たら、人がやったらしい? なんか人の声みたいだなあ、
と思ったりもしてて、ほんとにそうなのか、と、びっくりした。微妙に怖い。
そういうのもちょっと悪夢っぽかったのかも。

庵野さんの主役二郎も、ま、棒読みだと思うけど、そういうもんじゃないかな、
って気もするし、私は別にいやではなかった。あのぼさーとした感じながら
奈緒子に「きれいだよ」とか「大好きだよ」とか「帰らないで」とか言うのが
むしろもえる。もえる。きゅん。

技術者理系眼鏡飛行機夢中青年で、かっこい~。に加えて、詩の朗読があったりで
文学青年風味もあるわけで。贅沢~。もえた。
技術者仲間でのわいわいした感じとかももえた。
いいなー。

なんかこう、すとんと余計な物語をそぎ落として悪夢と夢の風の映画に仕上げきった。
これはなんなんだろう凄いのかなんなのか、なんなのすごい。
見に行ってよかったです。

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『敗者』(松山ケンイチ/新潮社)

『敗者』(松山ケンイチ/新潮社)
 
「震災は結局、東京で無傷でいたはずのわいをも襲っていた」

という、序章?前書き?で始まる、日記風の本。大河ドラマ「平清盛」の
撮影が始まるのが、2011年8月からだったようだ。
その前、3月11日のこと、その後の何度かのボランティアのこと。
どうしたらいいのかわらかない、ともかくもボランティアに行ったんだな。
30キロ圏内にボランティアいかせようとしたのって、どういうことなんだ、
よく、わからない。
でも、その混乱ごと、あの時だったんだなと、今読むと思う。
そして今でも、震災のこと、震災の時、その後、今、どういうふるまいを
することがよいことなのか正しいことなのか、私には決められない。
ボランティアには行ってない。観光にも行ってない。ただ、見ている。

さて、大河ドラマ「平清盛」は、ずうっと全部すごく面白く熱中して見た。
その中で、主役松山ケンイチは、こんなに迷ったり悩んだりしていたんだなあ、
と、愛しい気持ちで読んだ。
27歳か。
結婚した時だね。そして子どもが生まれたんだね。
27歳か。
一年続く大河の主役で、プライベートでも家族を持つ身になって。
27歳か。
そういう一人の青年が賭けたドラマを一年見たんだなあ、と、改めて愛しく
思いながら読んで、ドラマのシーンを思い出した。
ドラマはもちろん一人でつくるものじゃない。沢山のスタッフ、沢山の共演者。
それでも、主役、松山ケンイチをやりきったんだよなあ。
まぶしくたくましく、そしてやっぱり可愛いな。

大河のことだけじゃなくて、連想しての昔の思い出話も面白かった。
体調崩して辛かったこととか。若くて無鉄砲だったり、驕りも愚かさも、
全部正直だなあと思う。
そうして成長してどんどん大きくなるんだなあ。

この中のリアルタイムで、息子ができて、自然な笑顔がわかった、とか、もー
愛しいわ。
風邪ひいて、妻にうつしてしまった息子にもうつしてしまったさらにまた自分に
もどってきた、とかも可愛かった。「すいません」て短く書いてあるのが可愛い。

すごくすごくすごくいい大河ドラマだった。
今後松山ケンイチを見ていって、凄いビックになってもらって、嗚呼あの大河が
転機であったことよ、みたいに思い出したりしたいなあ。
がんばれ。

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中島裕介第二歌集『oval/untitleds』を読み解く会

昨日、中島裕介さんの第二歌集『oval/untitleds』を読み解く会 に、行ってきました。
以下個人的メモ。正確な記録じゃなく私の主観メモ。記憶違いなどあるかもしれません。
何か間違ったこと書いているかもしれません。もし重大な間違い問題がありましたら
お知らせ下さい。削除します。

司会、田中槐。パネリスト、内藤明、佐藤弓生、山田亮太、吉田恭大。(敬称略)

最初は内藤明さんから。
無知なる読者、として、ご自身、辞書をひいたりグーグルで検索したりして読んだ
そうです。この歌集は読むことを遮断し、読む速度を減退させる。
また、サブカル的意味合いの言葉にはりついている意味を、知っている人だけが
楽しめるのか、言葉そのものとして読むか、そういう違いが読者によって出る、ような。
短歌を特権化せず、多面的な世界を価値付けなしに並べているようだ。

内藤さんでもやっぱり辞書ひかなきゃ読めなかったりするんだなあ、と、ちょっと
ほっとさせてもらった。
読む速度のことを言ってもらったのは納得した。すんなり読めない歌集だと思う。
この読ませない、速度を落とさせる歌集、私は読むのつらかったなー。(そして
たぶん中島さんのじゃなかったらもっとざくっと読み飛ばすなあ)

次が佐藤弓生さん。
「雨のランチプレート」の一連が、この歌集の縮図のような一連。
英語と日本語の二声のポリフォニー。
機械の力をかりてやる、「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」。
ちょっと安全圏かな。行為自体を見てください、という姿勢。20世紀の藝術的。
パラディグムとしての踏韻。 パラディグム、って、知らなかった。縦書きの文の
横へのずらし、みたいなことで、そう聞くとなるほどー、と、わかった感じがした。
中島さんの実験作、というのが別にあたらしくないよね? と思っていたところを
端的におっしゃっていただいて納得。そうそう20世紀的という感じなんだなあ。

次、山田亮太さん。詩人だそうで、歌集を読むのはこれが初めてくらいらしい。
ovalからオブラード、たくさんの歌を引いて、景色が移り変わるようだ、という読み
は面白かった。
「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」は、他の歌を読むよりハードルが
低くなって楽しく読める、というのも面白かった。よくわからなくても、機械絡み
だから、って感じで見過ごして読める、というような。
そうだなあと思う。
この実験て、完全に機械でもなく、著者が編集していくルールなんだけど、
それはどこまでどのくらいなのかはわからないので、ま、意図とか意味を機械の
せいにしてしまえる。それっていいのかどうなのかと思った。
「法律条文によるアンサンブル」のやつ、■にいろんな言葉を勝手にあてはめて
みて読んでみた、というのも面白かった。
私はもう単純に「死」とか「死亡」とか「殺害」とか、すぐ見えるものしかはめて
みようとしてなかったなあ。他の言葉の可能性、そのことによる変化っていうのも
あるんだ。その読みは私にはなかった。面白い。

最後、吉田恭大さん。
フレームの強化としての連作と、フレームの拡張としての実験作、という指摘、
納得。
「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」携帯電話を使う、ということ。
極私的な機械を通して、「私」が「私性」をはみ出していく試み、とのことで
ああそっかーと思う。携帯電話を使う意味というのがわかった気がした。

星野しづるとの比較もあって、星野しづるは短歌の言葉、単語に特化しているが、
「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」だと、日常の言葉もまぎれこんで
くるのが面白い、とか。佐藤さんの発言だったかな。

そんなこんなで休憩のあと会場から。

石川美南さん。星野しづるのことに言及されて、あれも本当は言葉をいれて
プログラム組んだ佐々木あららさんの意識意図思想批判がこめられているけれど、
そこは隠されている。「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」は中島さん
が編集してあるというのを隠そうとしてないのはいい、というような発言があった。
とても納得。

小林久美子さん。「予測変換機能のよるインプロヴィゼーション」で、一人の
人の中で、歌の言葉、日常の言葉がどううごめいているのか、どう編集し決める
のか、興味深い。コンタクトのほう(他人の携帯使っているやつ)の歌がもっと
たくさんあると、相対化できて、他者の言語感覚がまざって、深みが出るかと
思った、というような。
これも納得。携帯電話が極個人的で「私性」に通じるものだとして、他者のを
使って比較していけると、面白いのかもなあと。たくさんの歌人の「予測変換
機能のよるインプロヴィゼーション」で作った歌の比較やってみたり面白いかも。
そこにやっぱり歌人の個性は出るんだろうなあ。でもいつもとは違う感じに
なったりするのかなあ。

たくさんの人からたくさんの発言あり。アンケートもまとめたものが配られて
いて、評価が分かれるんだなあというのが見えて面白かった。
(アンケートのまとめ大変だったでしょう。お疲れ様です)

読み解く会、だなあということで、私は自分で読んだ時にはなかった読みを
たくさん聞けてとても面白かったです。参加できてよかった。
中島さんはこれからも古い木を切り倒し短歌の地平を開いて進んでいく決意
のようで、ますますのご活躍を!

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『オール・クリア』2(コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

*具体的内容、結末まで触れています。

『オール・クリア』2(コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

第二次世界大戦下のイギリス。オックスフォードの史学部の学生で、当時の
様子を観察にきていた、ポリー、メロピー、マイケルは、この時代の中に
閉じ込められてしまった。なんとか、未来へ帰る方法を、未来へメッセージを
伝える方法をさぐる。
ついに、ダンワージー先生と再会したポリー。しかし、ダンワージー先生も
また、この時代に閉じ込められていた。回収チームはこない。
この時代に何度か来たことのあるダンワージー先生のデッドラインは近い。
ポリーのデッドラインよりももっと早く。このまま、この時代で果てるのか。
 
どうなるの。どうなるの。どうなるの。どういうことなのっ。
と、もー、めいっぱいハラハラドキドキ、やきもきしまくった物語がやっと、
終わった。ほー。

ほんっとにもう、ご婦人方とか、子どもとか、ちゃんと、もっとちゃんと
人の話を聞きなさいよ!言うこと聞きなさいよ!もう~~~~~っっっ、と
いうのが上手くて上手くて、イライラするっ(笑)
ポリーやアイリーンもそう。マイクも。互いを思いやってのことなんだけど、
でも、隠し事しないでちゃんと話し合ったらいいんじゃないのっ、と何度
思ったことか。ダンワージー先生とやっと会えた!ってなっても、やっぱり
なかなか話をしないし。も~~~っ。

時代があちこちすることも、年代があっちもこっちも、になることも、
さすがにこの巻まで読んでくるとすんなり読めるようになった。それぞれの
年代で使ってる名前とか役割なんかものみこめたし。
マイクが、一度は死んだと思って、でも、その後、ああここにマイクが、と
思って、でも、その後やっぱり死んでしまって、ずっしりきた。マイクも
確かに英雄だよね。

ずれの増大が、そもそもダンワージー先生が40年前にここに来たときから
始まってきているのだ、というのも壮大なお話。このタイムトラベルの話
全体にわたっての話になってるのかな。このシリーズはこれで終わりって
ことか。まあ、これだけ壮大に書き込み作り上げ、終わらせたなら十分か。
歴史はカオス系。
排除ではなく、彼らさえも要素としてとりこみ、連合軍側の勝利という
ぎりぎりのバランスの上での現実世界を実現するための、ズレ。なの、か。
平行世界ってことなのかなー。
負けた歴史もありえたことになってて。でも本来はドイツが負ける、のが
正しくて、そうなるように歴史自身が努力している、って感じ?
うー。微妙な感じ。
うーん。そか。史学部学生がタイムとラベルするようになる筋の歴史には
英国側の勝利が必要だから、その筋の歴史としては今回のような措置が
必要だった、のかなー。

ともあれ、戦時下の英国って、こんなだったのかなあ、と、もちろん
ホントには知らないのだけれども、この上なくリアルに人物一人ひとりに
イライラしたり笑ったり同情したり、そんな時でも生きて、日常があって、
でもすぐとなりに死の非日常があって、というのをたっぷり味わった。
一人ひとりが必死だし、それぞれができることをできるだけめいっぱい、
やって生きるしかないんだなあ、と。

マイクの死も衝撃だったけど、アイリーンがここに残るっていうのも
びっくり。それこそ歴史への関与は大丈夫なのか。でもそれが必要でそれが
事実として繋がっていったんだなあ。
コリンて、アイリーンの子孫ってことなのかな? 明言されてないけど、
そういうことなんだよね?孫?ひ孫?顔が似てたの?
アイリーンが、アイリーンの血が、そうして未来へ帰っていった、それが
彼女たちを救った、ということなのかなあ。そういう旅もあるんだな。
なんて、はるばると。

ホドビン姉弟の最強最終兵器っぷりには参ったよ。切なかった。

そして、オール・クリア。最後にはきっとうまくいく。戦争は終わる。
世界は続く。未来はひらける。
ほんっとすごい、すーっごい大作でした。読み応え満点。面白かったー!

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『火と水の対話』(塚本邦雄・寺山修司/新書館)

『火と水の対話』(塚本邦雄・寺山修司/新書館)

塚本邦雄・寺山修司対談集。

1977年の本だ。初出みたいなのは特に書いてない。いきなり本のための
対談だったのかしら。なんかすごい。
最初と最後に「塚本邦雄 筆描」「寺山修司 筆描」北嶋廣敏という人が
紹介文のようなのを書いている。最上級に言葉をつくして塚本の知や寺山の
パワーのことを書いている短文。当時すでに巨人だったのね二人とも。
『麒麟騎手』の年譜によると、1973年にこの対談やったらしい。塚本
53歳、寺山34歳。単行本化が遅れたのかなあよくわからないけど。

 第一章 自殺特権論―死について
 第二章 マルとダリ―映画について
 第三章 幻想派月旦―絵について
 第四章 定家と電話帳―短歌について
 第五章 百苦惨々―俳句について
 第六章 ゼロは愚者―賭博について
 附録  新いろは加留多 塚本対寺山

塚本の好みと寺山の好みはずいぶん違うらしいなあと思う。共通して
興味持つこともあるみたいだけど、寺山は自分がやってみるぜやってやるぜ、
って感じなのに対して、塚本は観察者でいたいという感じ。年の差という
ことももちろんあるのだろうけれども。

寺山のほうが水型人間らしい。本人曰く。僕は責任とらない運ぶだけです、と。
塚本さんのほうが火ですね、焼き尽くす、とか言ってる(笑
でも塚本もすんなり納得はしないで、でも話しているうちに「そういわれれば
火のほうが好き」って篭絡されてる(笑)(P107~)

ルイ・マルの映画で『悪魔の発明』を、塚本岡井寺山の三人で見たんだってー。
(P28)いいな~なにその豪華三人連れ!いいな~~。

和歌、短歌の話。

「東京都の電話帳だって純粋客観の散文ではないですからね。法律論文だって
ぼくの考えでは散文を目ざしつつ散文になり得なかったもう一つの文学だとい
う気がします」(寺山)
「塚本 逆説的に言うのではなくて、六法全書はあのままで完璧な韻文詩で
しょう」
「寺山 形式があるからね。天気予報だってそうでしょう。ぼくは、ロートレ
アモンの詩より東京都の天気予報のほうがずっとイメージをかきたててくれる
と思ってる」 (P68-69)
 
てな話があって、そうなのか? とびっくりした。文章と読み手の関係の問題。
定型、形式があれば韻文詩ですか? 会話の勢いでの話しなのか、そうなのか
私にはわからない~。
ちょうど少し前に、中島裕介さんの歌集『oval/untitleds』の中に民法の条文を
使ったようなのがあって、なんでだ、と、私には読めなかったんだけれど、
こういう考え方というのが短歌界にはあるものだったのかなあ。知らなかった。
うーんそれでも私には読めないけど。読み手側の問題ってことか。

俳句について喋ってるのが二人とも楽しそうだった。寺山は俳句やってる時間
の方が長かったし、塚本もこの時百句選ぶというような原稿をやってたみたい。
それを選んでいくのが楽しそう。

手紙の話もあって、塚本はわざと日付を錯覚させるように書いてるらしい。
旧暦の水無月だとか書くんだって。一ヶ月くらいの違いができるのを楽しんで
いるらしい。めんどくさいな(笑)
塚本の手紙は読んだばかりなのでにやにや。「切手ことば」というのがあって
封筒に貼った切手の位置で暗にメッセージを伝えるだとか。塚本は知らなかった
よーってことで、寺山ってばそんなこと知ってるとか乙女かよ!とつっこみたい。
寺山って自分が愛されてることをわかっていながらしたたかって感じが実に
美少年なふるまいでもえる。ひどい。もえるー。
仲よさそう~な感じがする対談でとても面白かった。

附録のいろは加留多でいくつか好きだったもの。

 【ほ】ホックはづしてファック(塚本)
    ほら吹いて花を散らす(寺山)
 【と】蜻蛉蝶蝶もパリ帰り(とんぼてふてふ 塚本)
    遠くの火事近くの情事(寺山)
 【れ】冷蔵庫に恋文隠す(塚本)
    霊界から電報(寺山)
 【ね】寝てから起きるものなあに(塚本)
    猫踏んで里帰り(寺山)

*本では漢字旧字(正字か?)ちゃんと出さなくてごめんなさい。

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映画「ヨッシ」

*具体的内容、結末まで触れています。

映画「ヨッシ」

ヨッシ / Yossi
監督:エイタン・フォックス/Dir:Eytan Fox 2012|イスラエル|84 min|

第22回東京国際レズビアン & ゲイ映画祭
7月5日(金)~6日(土)7月12日(金)〜15日(月・祝)

5日の初回上映でした。

軍隊時代、恋人がいたヨッシ。今は医者として日々忙しくしている。
恋人は亡くなった。忘れられずに、次の恋人をつくることも遊ぶことも
できずにいるヨッシ。
ある日、亡くなった恋人の母親が病院で検査を受けるのを受け持った。
どうしようもなく行き詰まってその家庭を訪ねる。

長いとっていなかった休暇をとり、恋人と行こうとしていたリゾート地へ
向かう途中で、休暇中らしい若い軍人たちに出会った。その中の一人、
トムは自らをゲイであることを隠してはいなかった。

これはたぶん前作があるみたい。『ヨッシ&ジャガー』(第13回上映)と
いうのがそうなのかなあ。わかんないけど。
イスラエルの映画って始めてみるかもしれない。
でも医者として働くヨッシは別に他の国と違うようなこともなく、女医に
誘われてたり、調子のいいモテ男っぽい同僚に気晴らししろ、と、バーで
女をひっかけるのに誘われたり。きわめて普通な感じ。
一人で鬱々とまずそうな、ご飯とも言えないようなご飯をコーラで食べてたり。
ネットで出会い系みたいなのやろーとして、ちょっと前のわりといけてる写真
送ってみたら、いざ会ったとき今や別人だな、とりあえずふぇらだけやってくれ、
なんてないがしろにされたり。ヤな奴~~。
まあ確かにヨッシ、アンパンマンみたいなんだよね。。。まるまるしてる。
昔の写真のがかっこいい。
昔の恋人もほんとハンサム。

何故、恋人の両親に話しに行ったりするかなあ。
さみしさを共有したかったのかな。
でも、亡くなった息子さんは実は僕とつきあっていました。なんて、知らなかった
両親には酷なことじゃないか? 勝手に話すことか? うーん。そこはどうにも
ヨッシに同情は出来ない。その寂しさは一人で抱えなくてはいけないことでしょー。

んで、休暇とって車でリゾートっぽいよーな素敵ホテルに泊まっちゃう。
途中でバスを逃した若い軍人くんたちを拾って送ってあげて。
トムってゆーのがとってもかっこいい~!ハンサム~! 結局面食いなのかヨッシ!
軍隊仲間でも、トムはゲイだから、って、多少いじられたりはするものの、別に
問題なさそーな感じ。
ヨッシの頃とは違うんだな、という感じ。

イスラエルの軍って、なんか大変そうな気がするんだけど。実際のところは
どんななんだろうなあ。まあ軍人は軍人やってることが日常なのであんなもん
なのかなあ? と、不思議に思ったりしたけど、イスラエル。私何にも知らない。

素敵ホテルで遊ぶトムたち。一人で本読んだり音楽きいたりしているヨッシ。
車でかけるCDはマーラーだったし、読んでる本は『ベニスに死す』らしいし、
ベタすぎんだろ! とつっこみたい(笑
そして、トムと、少しずつ距離が近づいて。というかトムのほうが近づいて
くれて、めでたくらぶらぶに。
もーーー。ヨッシ、じれったい! でもあそこまできてくれないと、一歩踏み出す
ことができないくらい、深く寂しかったんだな。トムと出会えてよかったねえ。
トムってばナイスバデイ~。自信に満ちた微笑み。これは惚れる~。きゃ~。
それでも両親には言ってないっていうし。
そうなんだよなー。両親に話すってなかなか複雑なところじゃない?
なんで勝手にぶつかりにいったんだよヨッシ。わからん。。。

最後には、トムは軍、やめたの?兵役なんじゃないのかな?あと13ヶ月って
言ってたのは何だったんだ。わからない。トムの駐屯地の近くに行ってた、って
ことなのかなあ? ま、ヨッシは医者だから、別にそこに残る、っていった
そこでもきっと次の仕事は見つけられるだろうし。 トムはどうなんだ?
わからない。。。
ま、そのへんは、映画だしハッピーエンドということで納得すればいいのか。
ふたりのらぶらぶしーんで、電気をつけたり消したりするのがおかしかった。
なんでそんなに見たいのさトム(笑) それでも、裸になった二人がやっと
抱き合ったのは素敵だったな~。トムの裸がうっとりもので、ヨッシとの
違いに笑ってしまったけど、でも、よかったね。ヨッシが切ない顔してたのが
とてもよかった。

こういう機会じゃなきゃ見られない映画だろうなあと思う。見に行って
よかった。見に行ける時間に上映があってよかったー。

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映画「きっとうまくいく」

*具体的内容、結末まで触れています。


映画「きっとうまくいく」

インドの名門大学、ICE。工業を学び教えるエリートエンジニアの卵たちの
学生生活。厳格な学長は学生がよい就職先へ進むことだけを目指させている。
ファルハーンは本当は動物が好きで、動物写真家に憧れる新入生。同室に
なったラージューはやたらと神頼み、お守り頼みの気弱な男。もう一人、
遅れてやってきたランチョーは、型破りの天才だった。学長たちのただ試験
でよい成績さえとればいい、という教育にはまらない。
親友になった三人の青春と、その10年後、消えたランチョーを探す旅。

インド映画~、らしい華麗なる歌と踊りのお楽しみシーンももちろんあるのだ
けれども、とにかくほんっとーにほんっとーーーに、すっばらしい青春ドラマ
だったー。青春ドラマなんていっちゃうとこのスケールと感動に追いつかない。
オバカ大学生のバカバカはちゃめちゃ学園生活があり、そんな中にもインドの
社会問題みたいなこともあり(自殺大国みたいだインド。あまり知らなかった)
恋もあり、命の尊さもあり、親子の確執、貧しさとの戦い、さらに、ランチョー
とは一体誰なんだ?というミステリがあり、ランチョーを探す旅でもあり。
すっごいあれもこれも盛りだくさん!

なのに、とても丁寧に細々とエピソード重ねて広げて集めて最後には綺麗に
一つの作品にまとめあげている。お見事! こんなに細々と上手いお話づくり、
私が今まで見たインド映画にはなかった気がする。
そんなたくさんインド映画見てきてるわけじゃないから適当な印象だけど、
でも、インド映画はゴージャス~歌~ダンス~きらきら~!ハッピー! で、
細かいことはまあええがな、って感じだったんだけど、「きっとうまくいく」
は、お話づくりがものすごく行き届いてる。
ええーそんなばかなー!みたいなつっこみしたいことはあるけど、娯楽大作映画
なんだから現実とかリアルとかはちょっとおいといて、ってことでいいと思う~。
実にハッピーな気分で、見終わって明るくなって、見知らぬ周りの席のお客さん
みんなで面白かったねー!という気分を共有して映画館を出る感じ。

かっこいいな~ランチョー!
それにラージュが可愛くてたまんないし!イケメンいっぱいだ~♪
私のインド映画体験では、ラジニ・カーント様が映画を見ているうちに超かっこ
よく見えてくるマジック~ミラクル~と思うんだけど、これはマジックじゃなく
ほんとイケメン~♪と思う~!
実際のとこ、主演のアーミル・カーンて、この映画撮影当時四十代なのね。
映画、2009年公開。1965年生まれらしい。撮影いつだったのか知らない
けど、四十代半ばかよ。それで大学生かよー。でもそんな違和感なかった。
オバカ学生くんたちめ! と、とっても楽しかった。
ラージュやファルハーンについてはわからない。まだまだ情報少ないインド俳優。。。
でも10年後のほうもあるわけで、そこそこ年代いった俳優さんでもいいんだなと
思う。ほんっとうまかったし。

貧しく、父は病気で半身不随という事情のラージュの家。ラージュがいいところに
就職してくれるのが一家の希望、ってプレッシャーの中のラージュ。
そのラージュが、バカやって学長に退学にされそうになって、でもランチョーを
裏切れば助けてやる、みたいに迫られて、どうにもできなくて学長室から飛び降り!
自殺しかけて、というあたりはもうボロボロ泣いてしまった。
その前にも上級生の自殺があってさー。
ラージュたちは前々から学長の嫌がらせ的に、三人で仲良くすんな、みたいに
引き離されて、でもランチョーは気にせず友達で。ラージュの父親の危機を
救ってくれたんだよ。それなのに、またランチョーを売れ、みたいに仕組む学長。
裏切れないラージュが可哀相で辛くて辛くて。
絶対死なせない、って必死のランチョーとファルハーン。
10年後っていうのが冒頭出てるから、ここで死ぬことはない、ってわかってる
はずなのに涙がとまらなかった。
病院に運ばれるラージュ。ランチョーとファルハーンの服にべっとり血がついて
いて、それはラージュの血だ、って。抱き起こしたようなシーンはないのに
はっきりわかる。バカ学生やってるけど甘い学生生活じゃないっていうのがひしひし
と伝わる。インド社会はたぶんまだまだ厳しい。
死ななくてよかった。ラージュが意識取り戻した最初にランチョーに「また
とんでもない嘘ばっかりつきやがって」みたいに言うのが素敵。笑って泣く
ランチョーかっこいい。

ヒロインは学長の娘。その姉の出産の危機のときに、大雨の増水になってて
救急車が動けず。カンニング騒ぎで追い出されかけてたランチョーたち三人と、
学生たちでの必死の出産シーンもすごいよかった。
そ、そんなんありかー!? と思いつつも、この大学の学生たちでよかったね!
と思うし、ほんっとヤな奴だった学長もやっぱり泣いちゃうし。

宇宙飛行士のペンを、その時ランチョーにあげるの。
最初、鉛筆じゃダメなんですか? と、映画一番最初の時に、反抗でも嫌味でも
なくランチョーは質問したんだと思うんだよね。その時には答えられなかったこと、
学長は覚えてたしその後調べたのだろうし鉛筆じゃダメな理由があってランチョー
の思いつきだって間違ってるんだ、と、あそこで言うんだよねー。
泣いた。
ランチョーだってその後調べたかもしれないしわかってるかもしれないけど、
そこは素直に、はい、っていうんだよね。間違えることもあるってちゃんと認め
られるのは凄いことだと思うよ。
そして、自分みたいな学生がいたら、そのペンを渡せ、って、学長自身がかつて
先生にもらったペン。それをランチョーにあげる。
学長も、ランチョーみたいな小生意気な優秀な規格破りの学生だったのかなーっと、
じわじわきた。
単純に厭な奴ではなく、学長もまた複雑な一人の人間だーというのがよかったなあ。

卒業後、連絡がとれず行方不明になったランチョー。その行方がわかった、と
言ってきたのは、かつてのガリ勉くん、あだ名サイレンサー。(すかしっ屁が凶悪に
臭いからww)
10年後どっちが勝ち組になっているか勝負だ! といってたその10年後。
偶然ランチョーの姿を見つけていたのだ。でも、ランチョーの家だというそこに
行ってみると、まったくの別人!
大金持ちのそのぼんぼんの身代わりとして、実は庭師の息子だったランチョーは
優秀さを見込まれて大学に行かせてもらったのだった。学士の称号はその家の飾り。
ファルハーンたちに問い詰められて今ランチョーのいる所を教える本物ランチョー。

ヒロインは結婚式当日だった。
そこをかっさらって、ついに、ランチョーのところへたどりつく四人。
小学校の教師をしているらしい。
その小学校は、子どもたちが手作りの実験をあちこちで行い、いかにも、あの
ランチョーが教えている学校だった。
ついに、再会!
ここも綺麗だったー。花嫁衣裳でバイクにのり、ヘルメットをとってやってくる
ヒロイン、ピア。キスのときに鼻が邪魔で、なんて夢のお話を、ついに鼻は邪魔
じゃないでしょ、と実践してくれるピア!きゃ~!
ランチョーが実はサイレンサーが必死で契約とりつけたがっている有名な科学者
博士だったとわかって、ひゃっほー!というラスト!
ほんとすかっと気持ちよくおしまい、でした。
おっさんたち三人になってもやっぱりみんなすっごいかっこいいし~~~。

ランチョーもかっこいいけど、私はやっぱりラージュが好きだったなあ。可愛い。
ラージュが泣いちゃったりしてランチョーと抱き合うときゅんきゅんして
高まる胸をどうしてくれよう!
ヒロインはピアがいたけど、でもでも家が貧しいけど健気にがんばるラージュが
ヒロインなんじゃないの!?悪い学長にいじめられるターゲットになるラージュが
ヒロインなんじゃないの!?ランチョーのために我が身を犠牲に身を投げちゃう
ラージュがヒロインなんじゃないの!? 可愛い。ラージュ可愛い。ランチョー、
もっとラージュを抱きしめてあげて!

とにかく三人の友情がステキ。学生時代の友達、って特別だよなあとしみじみ
思ったのでした。
そしてこんなにそんなにうまくいかないよーと思うものの、でも、それぞれが
自分の人生を自分なりにがんばって、ランチョーみたいにはなれなくても、
でも自分なりに うーまくいく~、と唱えながらがんばってみるしかなくて、
その先の幸せがどんなに小さくても、でもいいんじゃないかな~と思う。

バカ学生とはいえ、そもそもが誰もが憧れ目指すような名門大学の学生くんたち。
そこでビリの成績だったとしても、すでに一般人よりはエリートなんだろーがー
と思わなくもないけどね。
でも、青春~。友達~。楽しかった~という気持ちは最高でした。
見に行ってよかった。きっとうまくいくー!

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『oval/untitleds』(中島裕介/角川書店)

『oval/untitleds』(中島裕介/角川書店)

著者第二歌集。
私は第一歌集は読んでませんすみません。

いろいろな実験的なことをやってるのはちらほらは知っていますが、
一冊まとまって読むとあれもこれものお腹一杯で正直私には難しい本でした。
がんばって読まなくてはいけない。読み手を本のほうが選ぶタイプなのだと
思います。
なので、怠惰な私は眠たくなりながら読みました。単純にお昼のあとの満腹
眠たいかもだけど。
でも、こっちが前のめりになってがんばって読みたい!とつっこんでいきたく
なるほどの魅力が、私には響いてこないんだよなあ。単純に私の頭が悪いせい
なんだと思うけど。
とりあえず英語との並列とか英語読めないもんね。英語じゃないのもあるの
かなあ?とか、もーそこからわかんないもんね。(いやまあ英語もぼーっとは
読むけどでも辞書引いて単語ひいてとかしないから。。。すればいいけど、
そこまでやれん。この程度の英語はすらっと辞書なしで平気で読めますレベル
の人対象なんだろうなーと思うと、もーくじけちゃう。バカですみません。。。)

「Ascii Art」の三つ。特に96ページのはあまりのことにうわあ、とひく。
なんで?なにがこれがいいという判断なのか私にはわからない。
「法律条文によるアンサンブル―民法における■」は、民法の条文なのでしょうか。
「■」は、死とか死亡とか殺害とか?死の用語が入るんだなあとは思ったけれど
うーん。そこに詩的なものを見出すべきなのかなんなのか、とりあえず読むのが
めんどくさい。条文のそのままなのかどうか確認してないけど、そういう
文体を読むのがめんどくさ。

「予測変換機能によるインプロヴィゼーション」は、携帯電話の予測変換機能を
使っての、いろいろルール設定しての作品つくる試み、でしょうか。
でも結局選択と編集するんだったら何故?と思うし、でもそれしなかったらまあ
作品にならないんだろうけど、どうなんだろう、と、不思議でした。自意識の
拡張とか狙いたいんだろうか。わからないけど。
並べられた作品は、ちょっと面白いと思ったりやっぱり意味不明さバラバラさを
狙った感じがするようなのはうっとおしかったり、出来としてはこれでいいの、
かなあ? と、不思議な感じ。何故それを短歌でやりたいと思っているのかが
わからない。短歌という枠があることだからやってみるのかなあ。詩なり文章
なりではなく短歌という必然があるのかなあ。定型があるからいいのかなあ。

同じ音の言葉を重ねてずらしていく言葉遊びみたいな歌はけっこう面白く読んだ。

好きだなとかいいなと思ったのは、私はやっぱりすんなり「綺麗」があるもの
でした。当然ながら普通に短歌はとてもうまいし凄いと思う。そこから超えて
いきたいところがあるのかなあ。私が頭悪くてついていけなくてよい読者になれ
なくてごめんなさいという感じです。

いくつか、好きだった歌。
 
  日に焼けている週刊誌の群れのうち一冊は出エジプト記になれ
 
  満員電車とはいえ花束は避けてやらねばならないだろう
 
  素因数分解された病院の待合室に蝶が飛んでく

  ゆっくりと罰を加えてあげるから果物みたいな顔をしないで

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『女王陛下の魔術師』(ベン・アーロノヴィッチ/ハヤカワ文庫)

*結末まで触れています。


『女王陛下の魔術師』(ベン・アーロノヴィッチ/ハヤカワ文庫)

ピーター・グラントは、二年の研修期間を経て、もうじき正式な配属が決まる
ロンドン警視庁の巡査。
一月の凍える深夜。セント・ポール教会の玄関手前で発見された死体。首が
ない死体だった。ひとしきりの大騒ぎの後、現場の見張りに立ったピーターと
同じく巡査のレスリー。レスリーがコーヒーを買ってきてくれるという間に
事件の目撃者だったという男にピーターは声をかけられた。しかし、その男は
120年前から死んでいる幽霊だったのだ。

て感じで、幽霊に声をかけられながらも律儀に目撃証言を聞き取り、律儀に
捜査しようとしていたらトーマス・ナイティンゲール主任警部に目をつけられ
彼の元に配属。彼は魔術師。ピーターは魔術師の弟子になりました。警視庁に
秘密の部署があったのだ。経済および特殊犯罪課、という名前だが、そこに
いるのはナイティンゲール一人。そしてぼく、ピーターというわけだ。

ちょっと「相棒」な特命係を連想しちゃったりだけれども、ともかくまあ、
警察の中に魔術師がいて、というのがなんだか面白そうと思って読みました。
テムズ川の精霊?んーと、なんかそういう川の支配者たちの揉め事があったり
そもそもの事件は俳優の亡霊だったり、うーん。
わたしの最初の期待としては、もうちょっとリアルよりの推理警察モノの中に
魔術が絡み、って感じを思っていたので、んーと、まあその、魔術師見習いと
して魔法の訓練だとかテムズ川の超自然存在とか、そういうファンタジック方面
のことに興味を持てず、私の勝手な期待ハズレだったなーと思ってしまった。

しかも途中、ナイティンゲール撃たれて病院送り。ええー。えーとー。
最初の事件だからこそ、ナイティンゲールのなんだか超人的すごいマスター
っぷりな戦いとか見せてほしかった。なんか、ナイティンゲールかっこいい!
と惚れこむにいたらず。ピーターくんもなんだか何やってんだか私がうまく読み
きれず。ロンドンの地理とかもっといろいろ詳しかったらすんなりいくのかなあ。
キャラ小説にしたいんじゃないかなと思うけど、私はどのキャラにものりきれず。
うーん~。
シリーズになってすでに4作くらいイギリスでは出ているみたい。日本でも
3ヶ月ごとに翻訳でますよ、てことみたいです。
ミステリというよりはファンタジー小説なのね。ハリー・ポッターの名前がちら
っと出てあ~イギリスでも世界的にもハリー・ポッターは魔法といえばの定番
メジャーなんだよなあと思って面白い。ポッターで育った子供が次に読む、
もうちょっと大人向け魔法モノって感じなのかなあ? とはいえ、魔法がいっぱい
出てくるってわけでもないしなあ。微妙。
私、ハリポタは映画しか見てないしな。

結局事件はなんだかなんとなくな感じで終わったような。テムズに助けて
もらっただけなのか。ピーターくんは一応がんばってたみたいだけど、活躍した
っていえるのかなんだか。ナイティンゲールは大丈夫なのか~?
読めない私が悪いんだけど、どうにももやもや。読み終わるのにめちゃくちゃ
時間かかった。合わない。たぶん続きが出ても私はもう読まないー。
どうにもかっこよさが足りないと、私は思ってしまったのでした。

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映画「欲望のバージニア」

*結末まで触れてます。

映画「欲望のバージニア」

1931年。禁酒法時代のアメリカ、バージニア。密造酒を売りさばく
ボンデュラント三兄弟。長男ハワードは戦争で部隊の中で一人生き残り、
次男フォレストは猛威をふるったスペイン風邪で両親が亡くなった中一人
生き残った、不滅の伝説の兄妹。三男ジャックは度胸のない子供扱いの
末っ子だ。
新しくやってきた取締官。特別補佐官はことさら嫌味ったらしく敵対する。
密造酒作りの仲間が次々と新しい役人の手下となる中、ホンデュラント兄弟
だけは特別補佐官レイクスと対立する。

原題は「LAW LESS」みたい。欲望の、とか言っちゃうよりはずっとわかる。
取り締まるための役人も、密造酒作りのほうも、もーどっちもとにかく力!
人間て動物なんだよなあ、と思った。とにかく力! 殺される前に殺せ!撃て!
殴り合いじゃなくて、銃なんだよなー。アメリカってこんなだったりしたから
銃社会なんだなーと。映画なんだけど。でも実話に基づいています、ってこと
らしい。三男ジャックくんが回想記みたいなの書いたりしたのかしらね。昔の
話だ、っつっても、そーとー酷いので、大丈夫なのかと心配してみた。

末っ子へタレな三男ジャックが、一人でもお兄ちゃんたちに負けずに商売広げて
稼いでみせるもん! とがんばっちゃったり調子にのったりしたあげくに大惨事、
って感じ。おいおいおいおい、何やってくれちゃってんだジャック!と、まー、
お話的には、凝ったひねりとかあるけでもなく、もーほんっと、力争いだった。
不滅伝説のフォレスト、喉切り裂かれて生きてるとか、ラストあたり銃弾何発も
あたったのに生きてるとか、まじか、という不死身っぷりでまいった。それでも
平和な時代になった最期には肺炎であっさり死んでしまった、ってさ。
この映画の時代の異様な圧力、たぶん社会全体の異様な喧騒の時代っていうのが
なんかあるんだろうなあと思う。ギャッツビーも同年代だ。

ジャックのヘタレな感じとか調子に乗っちゃって、な感じとか、シャイア・
ラブーフ、よく似合ってたと思う。三兄弟みんな、女遊びとかはできない感じ
とかがちょっと可愛い。死なないタフガイなのに女には手出しできないの。
その辺が一応潔癖な感じかなあ。
一応法の側のレイクスとかが金と女に汚いほんっとクソな奴で身だしなみに
こだわりつつもたいへんキモチワルイ。殺されちまえー!となるんだけど、
でもなあ。ギャング同士ってわけじゃないんだけどいいのか? と、なんとなく
すっきりはしない。
法の及ばない田舎でのくそみそな抗争って感じか。こわいんだよねそういう
無秩序さが。
ラストでは「今は静かなもんだ」って、三兄弟それぞれ結婚して子供がいて
平和に暮らしてるっぽいんだけど、なんか、なんか、それ、昔はワルだったぜ、
ってレベルのことじゃないよーなことだったじゃん! とつっこみたい。
でもまあ、映画なんだし回想だとしても話盛ってるかもしれないし、いやでも
もっとひどかったのかも?? 微妙な気分がやや残る。
まー細かいこと気にしなければいいんだと思うけど。

出番がほんのちょっとだけだったけど、本物のギャング(?)なフロイド・
バナーが、ゲイリー・オールドマンで、登場からめっちゃくちゃかっこよくて
痺れた。かっこいい車から降りたらいきなりマシンガン持ってドガガガガガガ!
と撃ち殺してさらっと去っていった。すごーい。淡々とクレイジー、みたいな
迫力はさすがです。

男たち渋くかっこよかったし、運命の女みたいなのもステキだった。
面白いのかなあどうかなあと思って見に行ったけど、満足した。

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