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『月に笑う』上下(木原音瀬/リブレ出版 ビーボーイノベルズ)

*具体的内容、結末まで触れています。

『月に笑う』上下(木原音瀬/リブレ出版 ビーボーイノベルズ)
 
加納路彦は中学二年。小柄でひ弱。いじめにあいつつもなんとか
やりすごそうとしていた。ある日、公園で殴られ、ズボンを捨てられて
ていたところを、若いチンピラヤクザに助けられる。
山田信二というヤクザに喧嘩で殴り返すことを教わり、なんとなく
時々一緒に遊び、そして塾をサボってでも一緒にいることが増えた。

と、そんなこんなで、1、2、3と上下巻。1が雑誌掲載だったみたい。
2003年。そして書き下ろしでノベルズ、2009年。そ、そんなに
間があいてからノベルズ化で、書き下ろしのほうが断然多くて、
なんか凄い。
1の時点では、中学生の路彦と下っ端チンピラヤクザの信二。
こらこら信二くん、中学生にいたずらするんじゃない、って感じ
だったのだけれども、2、3と時間は進み、路彦が高校生になり、
大学生になり、最後には社会人になってた。
そして、1では路彦視点で、子どもで、なんだかわからずにわーわー
ってなっていたのが、2、3は信二視点で。チンピラヤクザだったのが
組の解散、東京に出てインテリヤクザの下について、って立場も
変わっていって、優等生ないい子の路彦がいつのまにかたくましく成長
していき、ついには受け攻めの立場も交代ーと、リバーシブルなのって
BL的には珍しいんだっけ。どっちもおいしい感じでよかった。
 
1の頃に、路彦が受けたことを、のちに全部信二に返していってる
構造が面白いかも。信二くんは大学生路彦にもう子ども扱いで、もう
何も考えなくていいよ、僕のものにしてあげる、って、せっくす三昧。
ちょっとあの、「愛のコリーダ」だったっけ。阿部定モチーフのあの感じ
を思いながら読んだ。
逃げなさいよー。んー逃げても未来はないからあれしか仕方ないと思うけど。
黒い花嫁の着物着せてあんあんいってやりまくりでそのずぶずぶな感じは
すごいいいと思ったけどー。
お互いがしたことされたこと全部お互いにしてされて、イーブンになって
やっと、結ばれたのかなあ。いや、路彦のほうがいっぱいしてあげてるね。
好きになっちゃったから仕方ない。

木原さんのお話って、やっぱり動物的だなあと思う。初めての愛を盲目に
愛しつづけてしまう感じがとても純粋であり、でもそれ、いいの?とも
思ってしまって、心が痛い。
一方がかなりまっとうというか、賢いというか、強くあるのに、もう一方
は、どうにもバカで、そのバカさが無垢な天使的な感じで、動物的で、
なーんか、その対比も、いいのかそれ? という気がしてしまう。
路彦と信二も、最初の上下関係がきれいに逆転してイーブンになった、かと、
ちょっと思うんだけどでも、うーん。圧倒的に路彦がまっとうなんだけど
でもそれが愛に関しては狂っててて大丈夫かよと思う。
まあこの結末は穏やかに結ばれていく感じがしてよかったねと思いました。
木原さんの書くお話って静かで優しくて愛いっぱいになるのに、すごく
ナチュラルに酷い。
まっとうさと狂ってる感じのあやうさにびっくりする。面白いなあ。

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