『愛と混乱のレストラン』『美女と野獣と紳士』『唇にキス 舌の上に愛』
*具体的内容、結末まで触れています。
『愛と混乱のレストラン』『美女と野獣と紳士』『唇にキス 舌の上に愛』
(高遠琉加/二見シャレード文庫)
愛と混乱のレストラン、シリーズ2、3です。
私はパティシエの一くんの番外編を先に読んじゃってるけど(『甘い運命』)
まあそれはそれで別に問題なく。1に短編として「愛のように甘い」が
入っていた。最初から一くんのお話は想定されてたのですねえ。
本格的フレンチレストラン、ル・ジャルダン・デ・レーヴ。赤字続きだった
店を立て直すべく、本社からやってきたディレクトールはまだ20代と
おぼしき鷺沼理人。美貌ではあるものの暖かさのない、ビジネスに徹して
割り切った経営をしようとする。
腕はいいものの客あしらいの評判が悪い久我修司を引き抜いてきて、新たに
店はスタートする。ことあるごとに対立するシェフと支配人。
最初は、お店をやっていくぞー、というお話。
次は、理人くんや久我の過去がらみが明らかになり、二人の距離が。
最後は本社でのパワーゲームとどうなるレストラン、どうなるの二人!
という感じ。
3冊一気読みできてよかった!すーごくよかったー!
最初は、レストラン経営でのお客様とのふれあい的な、なんかほのぼのに
なるのかな?と思ったけど、まー、お客様がらみのこともあるものの、
メインの理人くんと久我のー、二人の距離が~関係が~~どうなるのどう
するのうわああもうーばかーこのー!と、ぐいぐいつかまれました。
ヤガミという、外食事業メインな企業で若くして完璧にエリートととして
抜擢されているらしい理人。一見クールを装っているものの、捨てられた
子どもであった育ち、レストランも食べ物も嫌いだという過去の思いに
とらわれた内心の不安を懸命に押し隠し、乗り越えようとしている健気さ
が、たまらん。
久我は、父との確執があったものの、放浪してった先、パリで一杯の
スープ、パンに満たされた思いから、料理人として、食べる人の幸せを
めざし誇りを持っている。
美味しそうなんだよねー。どれもこれも。
ホールスタッフもちゃんといい仕事しているし。いいレストランだなあ
というのが伝わる。
いいよねーちゃんと仕事する男たち。
企業内での争いごとのなんだかんだも面白かった。ま、私はビジネス的な
こととかまーったくわからないんだけれども、まあなんとなく、それっぽい
ような感じには十分書かれている、と、思うたぶん。
理人のあしながおじさんだった叶本部長。いやもうひたすら優しい
保護者的立場、とはいえとはいえ!理人くんを狙ってるだろーと思ったよー。
狙ってるっていったらひどいかな。大人で優しくていい人。でも、穏やかさ
だけでは久我には勝てないよねー。可哀相。。。
一度はつっぱしって我慢きかなかったせいで、久我のばかやろー!!!と
思ったけど、やっと素直になれた理人くんが可愛くて可愛くて可愛くて。
お城みたいなゴルド。レストランに置き去りにされて捨てられた子ども。
そんな理人くんのことをとても丁寧に描いてくれてて、その痛み、それが
やっとやっとやっと、解放されて、食べ物をおいしいと思えるように、
食べられるようになっていくところ、とても素敵だった。
久我にたっぷり美味しいもの食べさせてもらって、愛し合えばいいよ!
とてもよかった。うっとりした。可愛かったー。かっこよかったー。
大満足。
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