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『ロスト・ケア』(葉真中顕/光文社)

*具体的内容、結末まで触れています。


『ロスト・ケア』(葉真中顕/光文社)
 
殺し続けた人数、42人。<彼>は何故それほど人を殺し続けたのか。
 
体の自由がきかなくなり、認知症をわずらった老人を、家族の中で介護する、
される現実は、地獄のようだ。
そんな家庭を選び、そんな老人を注意深く選びぬいて、殺す。
それは、「ケア」なのだ。救いなのだ、という彼の主張。社会の穴に落ちて
地獄のような苦しみをしている介護する側にもされる側にも、救いなのだ。
正しいことをしてきた。
そう、彼は主張する。
 
日本ミステリー文学大賞新人賞の作品だそうです。
ミステリというよりは社会問題って感じ。社会派ミステリか。
一応、殺人があり、それを見つけた検事、という対決はあるけれども、
ひたすら描かれているのは、日本における介護問題。
介護ビジネスの矛盾。
医療現場の問題をエンタメミステリで読ませる海堂尊なんかを連想するけど、
この作品はエンタメ要素はゼロに等しい。重苦しく辛く、解決なんて見えない。
結末としては宗教的救いらしきひかりを置いてるけど、別にそれ全然解決でも
救いでもないなー、と、いうのを一冊かけて書いてるからなー。

数学的統計的な感じで、犯行に気づく、というのはなかなか新鮮に感じた。
大友の性善説信じようとする態度、悔い改めよ、と似非宗教めいた正義感に
うんざりもするけど、綺麗ごとで正義感あふれた人間がいて、理想論ぶちあげて
くれる人もいなくちゃね、と思う。
うんざり。

救いじゃなくて、命を諦めただけじゃないか、と言う正論。
でも、諦めるしかない現状。

地震、震災、原発の事故が、最後のほうにちらっと、すこーし出して来て
いるのが、なんか蛇足に私は思えたけれども。でも一応現在日本という舞台
である以上、社会問題メインにすえている以上、何も書かないほうがヘンと
いうことかなあ。んー。でもやっぱり、なんとなく一応、程度に入れてみて
いる感じなのは、私はいらんことだったように思うけどなあ。

少子高齢化。人口の推移の未来は予測できている。わかっているはずなのに
どうしようもないこと。
わかっていても、どうしようもないこと。
目の前の問題へ、でも誰も解決策を示すことができない。
リアルに我が身にくる問題で、ひたすらどんよりした気持ちになった。
私はぽっくり早く死ねるといいな。。。


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