« 『言語都市』(チャイナ・ミエヴィル/新☆ハヤカワ・SFシリーズ) | Main | フランシス・ベーコン展  東京国立近代美術館 »

映画「まほろ駅前多田便利軒」とテレビ「まほろ駅前番外地」

*具体的内容、結末まで触れています。


今日も雨風強くてたいへんだけど、昨日も一日雨だった。
昨日、録画ためてたのをまとめて消化。映画の「まほろ駅前多田便利軒」と、
テレビドラマの「まほろ駅前番外地」をずーっと見ました。とてもよかった
ので、雑感覚書をのんびり書いておきます。
 
私は原作は読んだことない。(たぶん今後も読まない)テレ東のドラマを
一番最初に見ました。
映画化の時にも見に行こうかなと思っていたのだけれど、なんとなく逃した。
瑛太と松田龍平に興味をそそられていて、そのキャストそのままのドラマと
いうのでかなり期待しました。脚本、大根仁という人、「モテキ」をやった人
だというのにも期待。「モテキ」は見逃してしまって評判のよさから映画は
見に行って(音楽も好きなのだったし)、面白かったな~という印象です。

ドラマの一話目、潰れそうなプロレスの助っ人レスラーになれ、と、突然
プロレスすることになる二人。だるだるーとした雰囲気。脱力しまくりな行天。
常にどっか不機嫌そうな多田。ゆるゆるーふわーとした笑いと味わい面白い。
期待通り、瑛太と松田龍平、多田と行天の佇まい、あの二人が並んで煙草吸って
軽トラによっかかってるだけで完璧で最高だった。そこに余計な力いれない、
でもちゃんと魅せるお話。これは素晴らしい~。

数回見て、その後もずっと録画はしていたのだけれども、しばらく録画見る
時間気力がなくてためてました。
そしたら、映画もテレビでやったので、それも録画。やっと昨日見た。

映画は、番外地よりも前。中学の同級生だった二人が十数年後再会して、
なんとなく一緒に便利屋やるようになる、という出会いの物語。
二人の過去をこれで始めて知りました。二人ともバツイチ。
行天はたぶん幼児虐待的な家庭問題があったのかもしれない。行天の結婚相手は
レズビアンな人で、結婚して子どもつくるための精子提供に協力して、という
おだやかな関係だったこと。多田と出会った夜、たぶん両親を殺そうとしていた
らしい、こと。
多田は、そこそこ順調な人生だったはず、だけど、妻の浮気発覚の頃子どもが
できて、でも生まれたその子を愛しく思っていたのに突然の病気で亡くしてしまい、
そして妻とも別れた、ということ。
行天の小指を、多田のせいで中学の時のささいな揉め事、事故で、深く切ってしま
ったこと。切れたのがくっついたのかな?ちょっとはっきりはわかんない。
一応因縁の関係、だったのね。
特別なものっすごい不幸、というほどではない。でも、挫折というか、順調な幸せ
からは外れてしまった30半ばの男たち。
そういう二人なんだなあ、というのがわかった。

映画ではクライマックスに多田が激しく語る、というのはあったけれども、
そしてちょっと説教くさいかーという気はしたけれども、でもやっぱり全体的に
テンションは低めで、ぶつ切れ感がいい感じで、好きだったなあ。

そんな二人か、とわかったあとで、テレビドラマの録画消化。5話目から。
過去にとらわれるなよ、と、赤ん坊の時取り違えられた男の話で、おう、と思う。
なかなかいいタイミングで映画を見たかもしれない。
その後にも映画からの引き続きのキャラがいて、わかったのはよかった。
高良健吾の星くん、かっこいい。クールでアブない自称青年実業家な裏の人間。
まほろ署の刑事の早坂。岸辺一徳。官房長~。ここではヒラですか~。
多田たちを胡散臭く思ってて、映画のときもテレビでも、あの味わいあのゆるさ
で、なおかつひんやり怖いの、すごく素敵。大好き。

映画から続けてみると、テレビのほうが小奇麗だったな。おしゃれになりすぎない、
でも素敵な画面だったと思う。

ヘンだったりバカバカしかったり、ささやかなどうでもいいような小さな仕事、
頼みごと、事件のお話。
最後、二本でひとつのお話の、女子高生ちゃんたちのと、真木よう子が未亡人の
は、比較的シリアスで痺れるかっこよさ。

女子高生ちゃんたち。どうしようもないクズ家庭ではずみで父を死なせて
しまった園子と、中学の時仲良しだった晴海。二人の回想のちょっと百合的雰囲気も
素敵だったし、女子高生だからこその痛々しさや苦しさ、よかった。
そういう子に、嫌な大人じゃない、でも大人な、行天くんと多田がいて、よかった。
あそこで携帯のデータ以外見逃す星くんはやっぱり自称青年実業家なのか。甘い
ような。でも下手にひきこむよりはあのくらいの距離感で離すほうが賢いな、と
いう気もして、かっこよかった。

ラストは、取り壊すまで格安で、借りていた駅前のビルの部屋。ついに出て行って
くれといわれる日が来て。
その時遺品整理仕事を頼まれ出会った真木よう子。カシワギアサコさん。
真木よう子あて書きみたいなもんだそうで、実に素晴らしかった。魅力がすごい。
あれは多田が惚れるのも仕方ない納得。
アサコさんのクズな兄に関わって、ヤクザに襲われたりそれでも助けに行ったり
する便利屋の二人。ぼろぼろに血みどろになるのがよかったー!いい!血塗れ素敵。
殴るうちに多田が笑いながら暴力の衝動にはまるのもすごいよかった。

そんで捕まる行天くん。引越しですっかりからになった二人で暮らした便利屋の
部屋。それでも、最後には、行天くんは執行猶予になるらしいし、また二人になる
のか、それはそれで別れるのか、余韻は残りつつ、いい終わりだった。
激しい盛り上がりはあって、でもやっぱり余計な力は入れない。うまいわ。
 
多田は、ずっと、子どもを亡くしたこと、を、常にどっかひっかけていて
苦しいところがある、って感じなのかなあと思った。別にそれに苦悩し続けてると
いうのではないんだけれど。心のどこかが重いような。
アサコさんに恋して、実はバツイチで、と少し過去のことを喋れたりして、ほんと
少し、前向きになったんだなあと思った。
「極力ひきうけます」から、「何でも引き受けます」という宣伝文句に変えた
トラック走らせててね。

行天は、天使的だなあと思った。
彼本人、たぶん辛い苦しい子ども時代を送ったようだけど、でもそれなのに、
だからこそ? よわってる相手に対してふわふわと優しくなっちゃう。
多田は、多少の葛藤なり悩みなり持ちながら相手を切るとかできなくて優しく
なってしまう人間くささがあると思うんだけど、行天の感じって、ふわーっと、
ぽいーっと、我が身のこととかあっさり全然関係なしに助けになろうとしてる。
そう感じるのは、松田龍平のあの雰囲気のせいかなあ。
なんか人間離れしてるんだよー。

そんな行天に、多田は必要だった。ドSなパートナーに飼い慣らされる、と
いうのはもちろん(たぶん9話での診断メーカー)、地上の人の本当の優しさ
みたいなので繋いでくれるんじゃないかな。多田って。
多田もまた、ふらふらくっついてくる役立たずの行天がいて、あれ、一人じゃない、
って思えたんじゃないかなあ。
もちろん見て私が勝手に妄想したことです。
とにかく二人がだらーっと、なんかまっすぐじゃなく、だらーっと、立ってる姿が
最高だった。いいなあ、二人。
 
瑛太がものすごい、と感心してしまった。今期、私は「最高の離婚」とこれとを
見たわけで。全然違うのね瑛太って、作品によって。たしかに瑛太なのに、まるで
違う役にちゃんと、しかも自然になってる。すごい。あとNHKの単発で
「極北ラプソディ」も同時期に見たんだけど、やっぱそれも違ってて。
瑛太、すごすぎる、と、惚れ惚れした。
(真木よう子も「最高の離婚」で。二人共演なのに、二人ちゃんと違ってる。
当たり前だけどなんかすごいー)
松田龍平はいつも松田龍平だなあと思うんだけど、そうであっても作品にちゃんと
馴染むそういう役になってて、やっぱいいなあと思った。

ゲストにきてた役者さんたちもみんなよかった。そう思えるのはほんとどの回も
まほろの作品世界があったんだなあと思う。
あの二人をずうっと見ていたい。でもちゃんと終わったのも満足。
いいものを見ました。

|

« 『言語都市』(チャイナ・ミエヴィル/新☆ハヤカワ・SFシリーズ) | Main | フランシス・ベーコン展  東京国立近代美術館 »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 『言語都市』(チャイナ・ミエヴィル/新☆ハヤカワ・SFシリーズ) | Main | フランシス・ベーコン展  東京国立近代美術館 »