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映画「千年の愉楽」

*具体的内容、結末まで触れています。


映画「千年の愉楽」見に行ってきた。

中上健次の同名短編小説集?原作だそうです。本は読んだことない。

海と山に挟まれた路地。
そこでオバァは産婆として多くの子どもをとりあげてきた。赤ん坊は
仏様からの授かりものだ、と全ての母であろうとするオバァ。
夫は坊主で念仏をあげる。生と死がつながっている。

中本の家の男は、高貴な穢れた血、といわれる。うつくしい男は、
宿命のように数多の女とかかわり、短い生涯を破滅で終える。
中本彦之助が女に刺されて死にかけていたとき、その息子が産まれ
ようとしていた。森へ消えた彦之助。そして、うつくしく育った息子
半蔵もまた、路地で女たちに迷い、また刺されて、死んだ。

そんな感じで中本の血を受け継ぐ男は、美貌であり、女のほうがどんどん
寄ってきて、受け入れて破滅する。
しょっぱなから、血塗れ新が死にかけていた。さっすがのインパクト。
迫力~。素敵だうっとり。
そして高良健吾くんが半蔵。美形だなあ、と、つくづく眺めた。
女のほうが寄ってきて困るんだよ、っていうの、とっても納得。あれは
ほっとかれるわけないわ。あんなところにあんな男がいたら、一度でも
どんな風でも、なんとかしたいなりたいやりたいとなっちゃうわ。納得。

私の印象で高良くんて、朝ドラ「おひさま」の好青年印象だったから、
こう色っぽく破滅してく、でもどうにも本人はきれいなまま、という姿
を見られてとてもよかった。いいなあ。笑うと可愛くなって、でもあの
路地でどうしようもなく刹那の快楽だけでやって、自分でもうんざりで。
そういう姿、そういう男、うっとりだ。

三好も、愚かでよかったなあ。
達男は、なんか、オバァの被害者なのでは(笑)半蔵とかは軽くいなして
いたのに、そこで女になるのか。可哀相。

ほとんどすべてをオリュウノオバ、寺島しのぶにゆだねているってのは
どーなのよ、と思った。寺島しのぶの語りが全て、だった感じー。

中上健次の本、読んだことあるかなあ、程度なのでなんともいえないけど、
でも、こんな話なのか? 随分あっさりさっぱりしちゃってるような気が
する。中上ってもっとずっしり濃密な気がするのです。
ま、映画は映画だから、原作がどうこうとかは忘れるとしても。
勝手ながら、中本家の血、とか、中本家の男たち、の話なのかと思って
いたんだけれどね。寺島しのぶ物語だった。。。
生きて、死んで、生きて、死んで。
神話的モチーフ、そしてすべての母であるオバァ。うーん。うーん。
でも物足りない。

若松監督は、事故で亡くなってしまい、これが遺作となりました。
あとづけで言えば、生と死の物語の遺作、というのはきれいに収まり
すぎている気がします。
突然の死というのは、仕方ないもので。私の個人的印象では、あんまり
よいとは思わなかった映画が最後、この納得いかない感じが、
そういうものかな、と、思いました。


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