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『われらが背きし者』(ジョン・ル・カレ/岩波書店)

*結末まで触れています
 
『われらが背きし者』(ジョン・ル・カレ/岩波書店)
 
ペレグリン・メイピークス。ペリーの名前で知られるアマチュア・アスリート。
オックスフォードの教師でもある。ゲイル・パーキンス。ペリーの恋人。美しく
有能な弁護士である。三十歳を目前にして、人生を考える時、二人で一度きり
の贅沢として旅行をしましょう、とアンティグアでのバカンスに出かけた。
そこで、テニスの相手として知り合ったディマというロシア人。堂々たる富豪
らしさのディマは、ペリーをフェアプレイの紳士と見込んで、ある秘密を打ち
明け、協力を求めてきた。
 
ユアン・マクレガー主演で映画化の話があるみたい。
へー。と思って読んでみた。ル・カレってまだ新刊が出るバリバリ現役作家
なのね。なんとなく勝手にもう新作とか書かないのかと思い込んでいた。
小説家デビューが1961年だそうだから、キャリア長いなあ。

この本もやっぱり読みにくい、というか。読みにくさには慣れた気がする。
以前ほど戸惑ったり困ったりはしない。翻訳が今まで読んだことある人とは
違うからまたちょっと違って感じるのか、ル・カレ自身の文体も変化して
きてはいるのだろうと思うけど。
読みにくい、じゃないけど、なんかやっぱり、読んでいる最中は、私は
一体何を読んでいるのだ。。。と、ぼーっと退屈しそうになる。なのに、
やっぱり終盤になってくると、こわくてどきどきしてああもう嫌だ嫌だ嫌だ
と思って掴まれてしまう。
そして放り出される。はー。
ひきこまれていった私の気持ちはどうしたらいいのだ。と、呆然としてしまう。
ル・カレだもん。ただで終わるわけないよなーと思ってて覚悟して読んでいる
のにねー。

やっぱり派手なアクションがあるわけじゃなく。ディマを連れ出す時に
ちょっとだけあったけど、他はひたすら地味に、つなぎをつけて、なんか上の
ほうとかけあって、現場の人間はひたすら待つ。

ちょっとした協力者なだけのはずだったペリーとゲイルがどんどんディマの
一家に肩入れしていき、ともに脱出していくことになり。危険はない、はず。
だけどものすごく読んでいて不安になる。あー。あー。心配だけど読んでいる
だけの私にはもちろんどうしようもない。
文章が本当にそっけなくて、読んでいる私が勝手にどんどん前のめりに。
ル・カレが上手いってことなのか。もうー。ほんとこわい。
 
そしてさらっと冷たく終わり。
お、終わりー!?…………えー。ディマの家族はそれでどうなっちゃうの。
ペリーとゲイルはどうなっちゃうの。誰が助けてくれるの?
結局英国政府としては黒い金であろうかなんだろうが、ディマの告発は邪魔
だと判断したのか。そうなのか。ヘクターはしくじったのか。諜報部の役割
なんて出る幕ないのか。そもそもヘクターは何故単独でやり遂げられると
突っ走ったのか。

冷戦後、スパイの仕事って、何になったのか。
9・11というテロの恩恵、か。しかしテロと、戦うのか。黒い金の流れを、
とどめるのか。利用するのか。どんなイデオロギーが正しいのか。正しい、
ということそのものが幻想、か。
いろいろ呆然とする。
はー。
やっぱしんどい。ル・カレ読むの。

これほんとに映画になるのかなあ。どんな映画になるのだろう。
ユアンくんは、身長としては違う感じだけど、でも似合ってる気がする。
脳内キャストユアンくんで読んだ。うんうん。素敵。
 
神戸牛(コーベ・ビーフ)がやたら絶賛な(笑)美味しそうなものとして出て
きてちょっと笑った。ルークが息子に、ハリー・ポッター読んでみてよ、って
勧められたりしててちょっと笑った。この舞台は2008年くらいだっけ。
今、なんだなあと。
スマイリーシリーズの頃はやっぱり昔な感じだったから全然違う感触。
でもやっぱり好きだー。面白かった。満喫したー。

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