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内山晶太第一歌集『窓、その他』批評会

内山晶太第一歌集『窓、その他』批評会 2013年3月2日(土)批評会13:00~16:30

これ行ってきたのでした。すべて私の個人的主観的感想日記。正確を期する
ものではありません。 
 
批評会、進行・斉藤齋藤 司会・田中槐 パネリスト:大島史洋、島田幸典、
染野太朗、平岡直子
 
まず島田さんから、だったと思う。
1.言葉の使い方 2.モノのインパクトと心理表現 3.主題
といたレジュメでした。内山さんはレトリシャンだ。比喩の異化作用の
丁寧な読みとか、「を」を使った詩的曖昧さの指摘、言葉使い、選びの
強さなどのお話。

染野さんは、内山さんと同い年だったかな、一つ違いくらいだっけ。
同世代だからわかること、理詰めで読みきってみたいという感じ。
ことば同士の関係の異化作用とか、比喩表現について、あと幼児性、
いつまでもモラトリアムな気分のお話面白かった。まだ思春期かよ、
という突っ込みとかね。
 
平岡さんは、内山さんより年下の妹的立場から、という感じ。でも年下の
平岡さんからみても子どもっぽいかもとか発言があり、まーでも覚める感じ
は女のこの方が、と、私は思ってみたり。
苦味や渋さを華やかさに変える価値観の小さな転倒の指摘はとても丁寧で
面白かった。

大島さんは内山さんよりはだいぶ年上。絶賛ばかりではなく問題点の
指摘をする役割を期待されてのことだったようで。ものすごく感じよくて
上手い歌集だなあと思ったけど、ことばや修辞が狭くて自己模倣に陥って
しまうのではないか。作者像を見せず、レトリックだけに終始して、見えて
こないのが物足りない、といった感じの発言など。
とてもいいと思ったという歌10首と、傷があってもう一歩物足りない、
という歌10首と挙げていた。

正直、内山さんの歌が上手い。いい、というのはもう一致していて、
上手いがゆえに、上手くてつまんない、とか言うことになるんだなあと
思う。
短歌ってわけわかんないよね。下手なのダメなのっていうのはもちろん
ダメなんだけど、うまくなると、上手くやりすぎててダメだ、みたいな
ことになるんだもんなー。
でもそういうのもなんかわかるしなあ。
私も内山さんの歌はものすごくハイレベルに上手くて、でもその上手い
レベルで一定になってて一冊読むと退屈な気がするなーと思う。
でもほんとすごいうまいのはわかるんだよ。でも何故。どうすりゃいいの。
たいへんだよなあ。
 
  たんぽぽの河原を胸にうつしとりしずかなる夜の自室をひらく
 
この歌は全員がレジュメに挙げていた。島田さん、大島さんはいいと
いうわけじゃないけれど、ということであったけれど。それでも内山さん
の歌の特徴的一首ということになるようだ。
「うつしとり」「自室」ということばの微妙にずらした感覚。「しずかなる」
なんて普通なことばを入れて歌の緩急をつけてくるリズム感とか。
なるほどー。
 
それぞれの発表も丁寧によく読みこんでいて説明してくれるの分かり易くて
面白かった。ゆったり時間とれていてよかったな。会場からの発言もいくつか。
奥村晃作さんが「この歌集は完璧!」という感じで断言していたのが素敵。
迫力あるなあ。
 
広い会場だったけれどもたっくさんの人。
歌集に入れなかった初期作品50首の小冊子や、内山さんの魅力的イラスト
をつけたオリジナルチロルチョコ!をもらったりして、私は単なる参加者
だったけれど、この会への、みんなの内山さんへの期待と注目と愛をひしひし
と感じました。
スタッフの皆様お世話になりました。行ってよかったです。
 

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