『美しいこと』上(木原音瀬/蒼竜社 ホリーノベルズ)
*具体的内容に触れています。
『美しいこと』上(木原音瀬/蒼竜社 ホリーノベルズ)
松岡洋介。別れた彼女が残した、もう捨てて、という洋服をちょっと
着てみようかな、と着てみた時から女装にはまる。
その辺の女の子よりずっときれいだ。ずっと可愛い。週に一回の
ストレス解消の遊びだった。
だが、女装姿の時に出会ってしまった。同じ会社、部署は違う寛末は
不器用だが優しい男だった。女だということに疑いもなく、好意を
寄せられることに、最初は困りながら、だんだんほだされてゆく松岡。
それが本気の恋になってしまった。
うーんうーん。自分を女だと信じきって恋している男が、自分が男
だとわかったあとにも愛してくれると、信じてしまえる松岡が不思議。
松岡自身は最初から男同士だけどどうしよう、と、散々悩んで、よし、
と踏みこむ決意を固めるわけだけど。寛末は、相手は高嶺の花とはいえ
女、と、いう前提を微塵も疑っていないわけで。
松岡はもともとゲイではないけれども男の相手を好きになってしまった。
だから寛末もゲイではなくても自分との恋を続けてくれるはず、と、思
えるかな~~~。松岡くんの思考回路が不思議ちゃんすぎる。
寛末の思考の中にゲイという選択肢がない状況だ、というのを、考えな
さいよ松岡くんー。
ま、恋は盲目ですからね。
そしてなんだかんだいっても、寛末のほうもやっぱりなんだか、という
感じがあって、下巻ではどう展開するのかな~。楽しみ。
女性キャラに魅力がない。。後半2・2カップルになろうーって感じに
紹介される人見知り友達キャラ、実はいい子、って感じゼロだし。
松岡と一応気の合う同僚葉山ちゃんも、基本松岡視点で読んでいるので
ウザい(笑
そんで、やっぱりはじめてやるときってほぼ強姦だーねー。木原さんの
場合あんまりわかりあったりしない状況でいきなりやるとこから関係が
始まる感じなんで基本強姦なんだねー。もちろんフィクションのお楽しみ
だからいいんだけど。なんだか可哀相。
そして微妙にのりきれないのは、その最悪な始まりを越えてらぶらぶ、って
なる展開が、私にはあんまり説得力なくて物足りなくて、なんか、ふーん、
まあBLだから都合よくうまくいっちゃうかね、と思ってしまうところ。
この本は2007年刊行。
今後の展開は納得いくほどうまく面白くなるだろうか。下巻早く読みたい。
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