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『喪国』(五條瑛/双葉社)

*結末まで触れています。


『喪国』(五條瑛/双葉社)
 
日本にやってくる外国人は増える一方。正規の入国も、不法な入国も。
日本人と多国籍との対立は深刻化し、あちこちでくすぶる火種は、
ついに燃え上がる時を迎えた。
 
革命を起こさないか。という囁きで始まったこの物語。
シリーズ10作目、ついに完結。連載12年だって。長いなあ。でも
ちゃんと書き続けられて、ちゃんと完結を迎えた。とても寂しいけれど
とても嬉しい。五條さん書き続けてくれてありがとう。双葉社さん
出し続けてくれてありがとう。

ということで、今までのあれこれの火種が爆発した今作。
ここにきてまだ新しい登場人物がー、とか思いつつ。戦時下での密約、
その果て。莫大な金を手にしたサーシャ。でも、それが目的だったわけ
じゃない。サーシャが欲しいのは今はもうないもの。切ないわー。

計算された革命。天秤のバランスをとること。日本という国を守ること。
その革命の果てに日本はどうなるのか。
変わった、ようでもあり、これからまだどうなっていくかわからない、と
いうことであり。
今までのあれもこれも、いろんな、本当に沢山のことが絡み合いいろんな
決着がつき、また広がり。
世代交代してゆく完結編だった。素晴らしい。サーシャが、戦時下の傑物
たちが撒いた種の広がりがあり、一旦終わり、そしてまた開かれるという
この終わりにとても納得。

たくさんの人が死んだ。
彫翔は大川と櫂の決着を見届けることができるのだろうか。というかほんと、
大川死んでくれ。たまらんねえ。ぞくぞくきた。大川は凄まじい。亮司に
手を出しかけたときには震えたわー。
リャンは、それでも亮司の腕の中で死を迎えて幸せだったろうか。
パイトゥーンは死ぬつもりはなかったろう。死にたかった鳩が生き残って
しまった。裏切り者の血、なんてこだわらなくていいのに。泣いちゃう。
井口やモーリンの側で穏やかに生きる道を選べないのか。選べないんだと
わかるけど。でもどうか。この先も、彼らのことは、すみれやキラ含めて
どうか、彼らのことだけは、裏切ることなく生きてくれ鳩。
長谷川の後継者は日本人じゃなくなったわけだけど、受け継がれていくのか。
向季はついに堂々たる後継者になったけど。でも、いくら田沼がいても向季
一人になっちゃったのでは。
でももうその密約、その運命は、消えて新たになるってことかなあ。
すみれやキラは新しい世界をつくることができるだろうか。
日本は、軍を持つことになるだろうか。
日本の革命は、革命足りえるのか。
田沼の子どもが変わりゆく日本に戻ってくる。世代交代。その子どもは、
日本をどう見るのか。どう生きる子どもになるのか。
痺れる~。
 
そして!亮司ー。みんなに愛されまくりな亮司。よかった最後までサーシャ
の手を離さなくて!
最後までハラハラドキドキで読んだ。亮司がサーシャの手をちゃんと掴んで
ゆけるのか。よかった。よかった。よかった。
二人で穏やかに暮らしなさいよ~~~~。
サーシャには無理だろうけど~わかってるけど~~。
サーシャが手にした莫大な秘密の金。サーシャが狙われ追われることになる
のか。それとも新たな動きを仕掛けるか。
  
  「―革命を起こさないか、この国に。誰も計算できない本物の革命を。
   今度こそ、本当の革命を」
 
うっとり。
亮司は断らないだろう。サーシャが見たい夢のためなら。
愛だろ愛っ。なんかものすごく愛の告白なこと喋ってたような気がするなー。
それに、サーシャの亮司の扱いもねー。いつも抱えきれないほどの花束。
それに好みの甘いもの持ってく、なんてねー。もう完全にらぶらぶすいーと
はにーへの扱いでしかないじゃないか。なんなの花言葉「愛の絆」とか!
亮司がああいう話したりしちゃったりしてるからまたそういう意味だった
けども、でもでも、愛の絆持ってくとかもう、どんだけ!二人はもう離れない
でらぶらぶいちゃいちゃすればいいじゃない!
まー、サーシャが落ち着けるわけないんだろうけどなー。 
 
サーシャの生い立ちもあり。始まりだけはすみれと似てるのかも。辺境の地で
見出され、教育を受け才覚を現し、祖国への忠誠心だけが絶対で、他のものへ
の執着の一切を許さない。
なくなってしまった祖国だけを愛してる。
もう決して取り戻せないものを。もうどこにもないものだけを欲してる。
夢、を。絶対に手に入らない夢を求めてる。
亮司、やっかいな男を愛してしまったね。がんばれー。サーシャ、亮司の
ことだけは格別にめずらしくお気に入りなわけだから。サーシャの初めての
執着ってことかなー。にまにま。妄想がとまらない。素晴らしい~。

面白かった。
読み続けてきたこの10年、12年か、ずーっと面白かった。幸福な体験だった。
文庫も読み続けているので、文庫での完結までまだしばらくは余韻に浸りまくる
ことにする。この前の文庫書下ろしは、根岸だったね。根岸と和田の息子、か。
そのへんもぞくぞくたまりませんね。今後の文庫に書き下ろしはつくかなあ。
楽しみ。大好き。面白かった。

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