« 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』上下(ELジェイムズ/早川書房) | Main | 『烏丸ルヴォワール』(円居挽/講談社BOX) »

永井祐 第一歌集『日本の中でたのしく暮らす』

永井祐 第一歌集『日本の中でたのしく暮らす』批評会 12月16日(日)

に、昨日行ってきました。
以下あくまで個人的覚書メモ。発言をきちんと把握できてなくて間違っ
てること書いちゃうかも。私の個人的主観でのメモです。

人数多かったです。130名くらいってことらしい。会場にも有名人が
いっぱいだわ、と思って怯む。時間がなくてというのはよくわかるけど
すごくわかるんだけど、でもせっかくいるのにー、会場からの発言が
あればいいのにー、と残念に思う。意見聞きたかった。二次会に参加
すれば聞けたのか、うーんでもやっぱりそれはそれで聞けない気がするし。
(参加できないし)
 
第一部パネリスト。
今井恵子、大辻隆弘、澤村斉美、瀬戸夏子  司会、斉藤斎藤

今井さんは一字空けに注目しての一首一首の丁寧な読み。近代短歌と
比較しながら。近代の短歌では凸の部分へ集約させていく感じだけど
永井さんのはあくまで相対化、流れてゆくものを歌っている、という
ようなお話だったと思う。

大辻さんはよくわかる親切丁寧な授業のようだった。さすが。時間
定点の多元化。近代短歌は過去、現在という時間を整序して歌うが、
永井さんの歌の時間は多元的、「現在」という定点がスライドして
一首できている、てなお話。日常的なナマな口語が新鮮、とか。
沢山の歌の引用と丁寧な指摘がとてもわかりやすかった。
  
澤村さん。永井さんの巻頭の歌の初出からの変化を紹介。「まぶたに
当たって」というのは始めは「まぶたを包んで」だったという。歌が
より即物的表現になっているという指摘。生活の細部、テレビ、文体
などについて。口語だけど定型との格闘のあとが見える、とか。
短歌的叙情を強烈に排除しているが、それゆえにアンチの叙情がある
というのに納得した。

瀬戸さん。文学の言語とは、というところから入って、なんか壮大。
舞城の引用があって、舞城好きなのでちょっとにやっとなったりしながら
聞く。<永井祐受容史>、だとかいう、永井祐現象みたいな話。
穂村さんの「棒立ちの歌」なんかのところは読んだことあるけど、他には
あんまり私は永井さんがどう読まれてるのか知らないので、へー、と
思いながら聞く。

  あの青い電車にもしもぶつかればはね飛ばされたりするんだろうな
  わたしは別におしゃれではなく写メールで地元を撮ったりして暮らしてる

有名ですねー。山田航さんの評論(?)の引用など。抵抗。抵抗になって
ないんじゃないの、と斉藤さん。

あと<新しい><男歌>? ということで、無意識の暴力、ずるいと
思うことがある、魅力と危険さ、などという発言は時間切れで残念。
短歌の世界ってジェンダーバイアスが強い、というのはまったくそうだと
思うので、このへんからの話をもっと聞きたかった。瀬戸さんにあと30分、
瀬戸さんと斉藤さんの対談でそこんところをあと45分、とか思ったよ。
それ聞きたいし面白そうなのに。

休憩のあと第二部。永井祐と二〇〇〇年代の短歌。
パネリスト、五島論、土岐友浩  司会、西之原一貴

ぞれぞれが、二〇〇〇年代に出た歌集のうち、一首永井さんの一首と
つがいに選んだ歌をレジュメにしていて、それを比較しながら話す。
盛田志保子、斉藤斎藤、澤村斉美、光森裕樹、雪舟えま、内山晶太、
瀬戸夏子の歌ひいて、永井さんの歌とつがいにしている。
なんか。
ゆるゆるとぎこちなくでも丁寧に細かくしゃべってる三人の感じが
よかったなあ。歌の共通項、違い、とかよくわかる。けどなんなんだ、
という気もした(笑)。これも、その話の行き着く先はどうなんだ、と
いうのをもっと、飲みながらあと3時間聞きたいよと思う。
それぞれの選んだ永井祐名歌三首。
先行世代とは違う、生きる空間の作り方とか、言葉の差異、価値への
敏感さとか、なるほどでした。
 
永井さんから挨拶。短歌を作り続ける動機は、短歌の不思議さ。
写メールで、という言葉はきっと死語になると思って、じゃあ「携帯」
(ケイタイ、かな)に変えてみると、歌が死んじゃう。動かなくなる。
音数は変わらないのにこの違いって、不思議。というような話を聞いて
面白かった。
短歌って不思議ですね。

そんなこんなでああもっと時間があればいいのにと思いつつ終わり。
ほんとに大注目歌人なのだなあ。

歌集読んでみて、うんほんとに口語だなあと思う。この淡々と直接と
歌に書いている感覚は共感もするしわかりやすくもあるし、でももちろん
そうぽいぽいやってるわけじゃないし、厳密に選んでいるし、なのだろう
なあと思う。ふわっと淡く、でも強い意志をもって歌にしてるのだろう。
この読みやすさわかりやすさ。うーん。でもトーンが同じになってて
どうなんだろう、とも思う。んー。不思議ですね。

いくつか、私が好きだった歌。
 
  月を見つけて月いいよねと君が言う ぼくはこっちだからじゃあまたね
  
  アスファルトの感じがよくて撮ってみる もう一度  つま先を入れてみる
 
  次はあの日付を楽しみに生きる そのほかの日の空気の匂い
 
  本当に最悪なのは何だろう 君がわたしをあだ名で呼んだ


|

« 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』上下(ELジェイムズ/早川書房) | Main | 『烏丸ルヴォワール』(円居挽/講談社BOX) »

「短歌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』上下(ELジェイムズ/早川書房) | Main | 『烏丸ルヴォワール』(円居挽/講談社BOX) »