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『世界中が夕焼け』(穂村弘 山田航/新潮社)

『世界中が夕焼け』(穂村弘 山田航/新潮社)
 
穂村弘の短歌の秘密
 
山田さんがネット上で、「穂村弘百首鑑賞」というのをやっていたそうで、
それを面白い、ということで、穂村さんが自作短歌についての本を、と
言われたときに、一緒に一冊、ということにして、この本ができた、と、
いうことらしい。
百首はなくて、五十首。山田さんの鑑賞文と、穂村弘のコメント。穂村さん
のコメントは、自作短歌についての鑑賞文について、という感じ。
(普通に自作の解説もしているのもあるけど)
一つの歌をこう多層的に読むのは面白かった。
私の読みとは違うなあと、山田さんの鑑賞文を読みながら思ったり、おー
そういうことまでもか、と感心したり。そして穂村さんのコメントで、
違ってるのかとかそうだったのかとか、でもそういわれてもわたしは私の
好きに読むさ、と思ったり。
とてもわかりやすく面白いので、すいすい読んでしまった。
穂村さんのコメントがやけに短いのとかいろいろ長いのとかのバラつきも
面白いと思う。
 
穂村弘のエッセイしか知らないよ、という人のための穂村短歌への入門書、
という感じなのかなあ。小難しいことじゃなく、ただ一首について述べて
いるのがわかりやすい。多少の背景的なこととか流れとかもないわけじゃ
ないけど。
初期の歌だけでなく歌集にはなってないわりと最近の歌のこともよく紹介
されている。その辺のことをあまり追いかけられてなかったので、へー、
と思いながら読む。

穂村さんの短歌面白いけれども、まあ正直私が短歌についてわかるわけじゃ
ないんだけれども、いろいろテクニックが駆使されてるんだなあっていうの、
ここで読ませてもらってなるほどと思ったけど、んー。
凄く共感をしたり、凄くわかるとか、わかってくれてるとか思い込んだり
できる歌あるんだけれど、んー。

穂村さんの女性への憧れというか、女神だと思ってて云々の話は何度も
聞いたし読んだし、ああそうなのねと思うけど、そこらへんがやっぱり
どうしても私にはダメなんだと思う。
村上春樹にも通じるような。私の中では似てるんだなー。女の子とつき
あい愛し大事にしてるよーでいながら、僕の都合のいいように僕のこと
しか考えてないしほんとは女の子と向き合おうなんてさらさら思ってない
よねーというマッチョな感じ。一見すてきなきらきらで柔らかく優しく
でもマッチョだなーと私は思ってしまってなんか私にはダメ。
でも穂村弘のファンだし、穂村弘好きにならなかったら短歌やってみよう
としてなかったと思うのだけれどもー。

とまあ、ぐだぐだしたことを自分の中では思いながら、この本はほんと
面白くすいすい読みました。穂村弘の短歌こんなに面白くて素敵です、と、
エッセイしか知らないかもしれない人たちのところに届くといいね。

あ。好きだった歌この中からひとつ。
 
  指さしてごらん、なんでも教えるよ、それは冷ぞう庫つめたい箱
 
これは明智と二十面相の一連にある、のかな。『ラインマーカーズ』今確認
してないけど。
その前の「こんなめにきみを会わせる人間は、ぼくのほかにはありはしないよ」
の歌がきゅんきゅんで好きすぎてこの一首へ目が届いてなかったわ。
穂村さんのコメントで、エヴァのカヲル君みたいなイメージでとか書いていて、
ああ、エヴァ先日見たばかりですしー。
まあ結局私が好きなのはそういう世界です、と、自分の好みをまた認識しました。

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