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『冷血』(トルーマン・カポーティ/新潮文庫)

『冷血』(トルーマン・カポーティ/新潮文庫)
 
カンザス州西部のホルカム村。農場主のクラッター氏は村の尊敬を集める
名士だった。クラッター家には、子どもが二人。ナンシーとケニヨン。
上の娘二人は家を出ていた。夫人とあわせて四人の家族。土曜日の夜、
四人全員縛られ銃で撃たれ殺された。
ペリーとディックという二人の男に。
 
ノンフィクション。1959年の11月に起きた事件のこと。1965年
発表、だそうです。ニュージャーナリズムの源流とされる作品だって。
70年代のニュージャーナリズムっていうのがまず私にはわからないの
だけど。なんだろう。こういうノンフィクションってことなのかな。
膨大な関係者の話。それが淡々と、饒舌に執拗に描かれている。それぞれ
の語った口調そのままなのかもしれない。別に事件とは関係ないだろうと
思うような、その語り手自身の物語も膨大にある。
被害者となったクラッター一家。加害者となったペリーとディックそれ
ぞれの生い立ち。それぞれの家族。クラッター家と多少なりとも縁の
あったホルカム村の住人たち。
ノンフィクション、なのだろうけれども、小説的というか物語的。
クラッター家と、そこへ犯罪に向かう二人の男と、最初から並列的に
描写が続いて、だんだん近づいてくる男たちを読みながら、怖いというか
なんだろう、すでに殺害の事実というのを知って読むので、運命の
理不尽さに疲れるというか。
一家惨殺の場面も、ドラマチックというわけじゃない。淡々と、男たち
がそうした、という出来事の連なり。語る言葉はあふれているけれども
その内心に踏み込むことは書かれてないから、小説的感情のゆさぶりが
ないのかなあと思う。
淡々と読んだ。
読み終わって疲れた。
クラッター家の人は、ペリーを傷つけるようなことはしなかった。でも
ペリーの人生のこれまでの鬱屈のつけをのように殺されてしまった、と、
いうような話なんだけど。
まったくもって理不尽。。。惨殺の被害にあうなんて理不尽以外の何物
でもないと思うけど、ほんと、何一つ納得できない疲労感。
犯罪者の心理、なんて、心理分析なんかのレポートもあるけど、別に
何もわからないじゃない。
饒舌に疲れた。よくこんな風に書き上げたなあと思う。
ノンフィクション・ノベル。
ノンフィクションは、疲れるよ。

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