『狙撃』(フリーマントル/新潮文庫)
*たぶんネタバレです。
『狙撃』(フリーマントル/新潮文庫)
チャーリー・マフィンシリーズ8作目。
チャーリーは情報部本部で経費計算に苦労していた。領収書がないことを
ハークネスに責められる毎日。
ウィルソン部長から呼び出され、目標も日時も皆目わからない暗殺計画の
阻止を命ぜられる。ロシアからの亡命者がその計画のごく一部のみの情報
をもたらしたのだ。
わずかな手がかりと勘でスイスでの和平国際会議に目星をつけたチャーリー。
暗殺者は特別な訓練を受けたプロ中のプロ、ワシーリー・ニカラーエヴィチ・
ゼーニン。
スイスではスイス当局、アメリカCIA、イスラエル「モサド」、そして
チャーリーという4つの国の情報部員たちが、正体の掴めないテロに備える
こととなった。
相変わらずヨレヨレでみんなに見くびられるチャーリー。でも、最後には
最初の銀行での云々も実は計画どおり、ってのがわかったりして、チャーリー
凄い、ってことなんだけど。
なんだかねー。
私としては、ゼーニンがんばれ、って気になってしまう。
それにCIAのジャイルズ可哀相。密かに上手く立ち回ろうとしたイスラエルの
ダヴィドなんかも、結局可哀相。チャーリーのせいだ。
チャーリー、間一髪で間に合う、のかセオリーだろうに、暗殺食い止める
ことはできなかったわけで。ほんとジャイルズ可哀相。
チャーリーはやはりヒーローではない。そこがリアルかもしれないけど。
と、何故か主人公のチャーリーがいちばん嫌な奴に思えて、追い詰められる
周りの人間の気分でどきどきハラハラ苛々しながら読むこのシリーズ(笑)
ウィルソン部長の心労やいかに、と、ほんと同情する~。
ロシア側の、おなじみのカレーニン将軍やベレンコフのこともかなり出てきて、
ついにはナターリアに疑いが、とかドキドキ。
そしてチャーリーにはめられた可哀相なエドウィン・サンプソン。
ポーチマの強制収容所?でボロボロじゃないかー。可哀相すぎる。チャーリー
が身勝手に女と関わったばっかりに犠牲になって。可哀相すぎる~~~。
『亡命者はモスクワをめざす』の時はできる男だったのに。
と、そんなこんなで、その辺、つづく、って感じになっていた。次の作品では
ナターリヤが出てきたりするらしい。
相変わらず解説で訳者さんがいろいろ次の話をバラしてくれるなあ。
その次には世代交代でアリスター・ウィルソン卿が部長ではないみたい。えー。
ウィルソン部長が好きなのに。
うーん。あと一作は読むかな。
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