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『銭の戦争 第一巻 魔王誕生』(波多野聖/ハルキ文庫)

『銭の戦争 第一巻 魔王誕生』(波多野聖/ハルキ文庫)
 
日露戦争開戦。
高橋是清は戦費調達に苦心していた。

という時代のお話。明治の日本、ロシアの皇帝、未曾有の株景気、
みたいなのがあれこれと絡まって、歴史小説であり、経済小説であり、
というところかな。
始まるぞ、ということで、あれこれの時代背景が描写されながら、
続く物語の主人公たる、井深享介が、相場師として成長してゆく始まり
のところ。12歳くらいから18歳くらい、のところ。
いくら特殊教育だからって、12歳の子どもに投機の才能があるか
どうか、試すようなことするかねー。昔のエリート的にはそういうもの
だったのかなあ。12歳の子ども、っていう観念も今とは違うだろう。
とは思うものの、でも、ん~~~~、と、その辺は微妙に乗り切れない
気分だった。
18くらいで親を超える財をなした、ってのはまあなんとなく納得して
みたけど。書生の寺田くんがなんか可愛かった。お坊ちゃまに操られる
書生くん。ほんとちょい役で今後出番があるのかどうかわかんないけど。
 
経済小説、というのかどうかわからないけれども、後半は株で儲けたり
破滅したりする男の話がじっくり描かれていて面白かった。
私は、株のことはほとんど何も知らなくて、空売りがーとか先物でーとか
まったくピンとこない。それでも読んでいるうちにつられてぐわっと
熱い思いをすることができたんだから、うまく描かれているのだと思う。
一人冷徹な享介の今後がどう描かれていくのかなー。
でも「魔王と呼ばれた天才相場師」って煽りにはちょっとひく。
一人冷静冷徹だから、享介にまだ惚れるほどの魅力がない。

しかし井深のおとーさん、自分がそういう英才教育に踏み切っておいて、
相場で破産する自分の友人の助けに未成年の息子がなろうとしなかったからって、
勘当とかって、あまりにも理不尽な八つ当たりじゃないのか???享介ひとり
が相場をなんとかできるわけないって、父もわかっているだろうに。
享介くんそこはもっとグレちゃえ怒っちゃえよ、と思った。まあ、享介にも
もう親は必要ない、という決別なのだろうけれどもねえ。
 
あと、伊藤博文だとかが使ってるらしい、奇兵隊の生き残り?はっきり
わからないけれども、忍者なのか?wと、笑っちゃう感じがなんとも。
伊藤だとか山縣とか井上馨ね、そのへんがすごい重鎮大物になってる感じ
がねー。いや実際そうだったのだとはわかっていつつも。
私の中の彼らのイメージが、司馬遼太郎の幕末ものを読んでいた頃のままで。
下っ端のガキどもが~。高杉さんとか慕ってちょろちょろして生き残った
だけの小者のくせにー。なんてことをどうしても思ってしまうので笑う。

文庫書き下ろしのデビュー作だそうです。巻末には次巻の予告が!(笑
この本出たのが2012年4月。続きぞくぞく出るのかと思ったけど、まだ
みたい。来年の春とかに出るのかなあ?まだ物語は始まったばかり。
ちゃんと面白く展開してゆくのか、続き出れば読んでみたいです。

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