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映画「アナザー・カントリー」

*具体的内容、結末まで触れています。
*「裏切りのサーカス」のネタバレも含みます。たぶん。


映画「アナザー・カントリー」

モスクワを訪ねてくる女性記者。インタビューの相手は、英国人のスパイ。
すっかり年老いた彼の話は、パブリックスクールの思い出だった。
 
将来はエリート外交官を目指し、まずは寮の代表になることを願っている
ガイ・ベネット。きっと次には指名されると自他共に認めていた。
親友はトミー・ジャド。共産主義に傾倒しつねにレーニン像を本を抱え、
我が道をゆく男。資本主義を嫌っているが、ガイには無分別なことをしない
よう注意している。
ガイは、当時厳しく禁じられていた同性愛者だった。恋をしていた。
 
日本公開は1985年だったそうです。映画は1984年イギリス。
めちゃくちゃときめいて見に行ったなあ。85年に見たのかな?もう少し
あとのような気がするけどどうだっけ。地方にきたのが遅かったのかな。
記憶曖昧。
 
そう、すっかり記憶曖昧になっていて、冒頭、え、スパイだったっけ、と
思ってしまう次第。今また映画館で見られてすごく嬉しい。ありがとう!
ペラっとした今回の「語り継ぎたい映画シリーズ」というパンフ買ったら
「裏切りのサーカス」の人、ってことなんだ!びっくり!
ガイ・バージェスという実在のスパイ。それが、ガイ・ベネットなのね。
ううわ~。
そう思って今見ると、なんて素晴らしすぎる映画なんだ。見終わって、
またすぐ「裏切りのサーカス」が見たくてたまらない。早くー発売日になれー。
コリン・ファースが、共産主義なジャドを演じているんだけど、まーそれが
また「裏切りのサーカス」で、ねえ。凄い面白い。どきどきする~~~。
そうかあ。
あれだと、何故エリート階級な彼がスパイなんかに?というのはよくわから
なかったけども、その理由がアナカンで語られてただなんて!
英国ってなんて素晴らしいんだ。
 
で、そういうスパイなのか、というところは私にとっては今回の発見でした。
そして、コリン・ファースが、素敵な美青年だったのにも今回ようやく気付く
ことができました。
頭良くて皮肉屋で、孤高でありながらちゃんと優しい、そんな繊細な美青年
だった。眼鏡クール。ガイとしょっちゅう並んでるんだけど、その二人の
バランスもお見事。ジャドのほうが背が低くてねー。ガイっ、ジャドとつき
あったらいいじゃん!ジャドもめっちゃきれいじゃん!と思ったー。
でも二人は友達なんだよね。それもまたすごくいい。素敵。
ジャドのそっけなく早口で低いクールな喋り方とか凄い素敵。老成してる
っぽいのに、もちろん若くてきれいで。腕とか細いの。ドキドキするぅ~。
パジャマにガウンみたいな姿で夜にこっそり勉強してたり、ガイと語り合っ
たりしてて、めちゃくちゃ可愛い。たまらんねー。

そしてルパート・エヴェレット。ほんっっっっっっっっとに美青年!!!
だらしなく着崩してる様もかっこいいし、びしっとタキシートで正装してる
のも完璧。男の子の奇跡的にうつくしい時期を映画に固定してくれてほんと
ありがとう。麗しさこの上ない。
恋する男の子になって詩をつぶやいちゃったり、ジャドとだけはふざけあったり、
したたかに相手を脅してみたり。もちろん恋するハーコートくんと見つめあう
姿は可愛くてうつくしくてうっとり溜め息しか出ない。凄いなあ。

ハーコートへのメモを押さえられて、寮の自治会?に処罰される時には黙って
屈辱をうける。今度はハーコートへの迷惑を考えて逆らえない。
「愛してるんだ。今までとは違う」って涙ながらにジャドに訴え、「もう一生
女は愛さない」と断言!きゃ~!
そこで、まだそんなこと決めるのは早すぎるとかなんとかいうジャドに、
君も平等とかなんといっても、恋愛に関しては差別してる。ファウラーとかと
同じだ、と糾弾する。言葉を返せないジャド。あのジャドがねー。

エリートとしての道、代表の座どころか将来にも絶望したガイは、これからも
猫をかぶっていってやる、と決意する。最後に笑うのはぼくだ、と。
英国社会への決別だったのね。
ジャドと、共産主義も悪くない、なんて、だんだんそっちの勉強進めていく
のだろうなあ、というところで終わり。
老人ガイに戻る。
この中の現代、というのが1983年かな。
回想のパブリックスクール時代は1930年頃みたい。

最後に質問に答えて、「クリケットがこいしい」というガイ。
英国になんの未練もなく、ただ、クリケット、と。あの学生時代。あの審判を
したクリケット。ハーコートに初めて近づいた試合。いや、ほんとうの、恋を
覚えた学生時代、の、あのひかりの中、ということだろうか。
切ないわ。

90分の短い映画なんですね。
映画の中のもの全て。全てがうつくしく素晴らしく、なにもかもにもえもえ。
90分ひたすらうっとりうっとりうっとり。
ボート。緑の芝生。学校の建物。下級生が上級生の用事をいいつかる様子。
閉鎖的な空間。その中での生活。制服。ネクタイ。ゆるく着崩す様。パジャマ。
ガウン。タキシードシルクハット。軍服。古い本。家具。ドア。
全員美青年。全員美少年といっても過言ではないかも。
いい~。エリート子弟たち。素晴らしい~。英国素敵ー。この閉塞感も階級の
がんじがらめな不自由さも。呪詛も込みで素敵すぎる。

個人的好みでいうと、ガイが一目ぼれするハーコートくんはいまいち。。。
遠目には金髪が麗しい美青年って感じなんだけど、実際じっくり正面から顔
見ると、いーまいちそんなにきれいじゃないと私は思うんだよなあ。
なんでだよガイ。いつも隣にいるジャドのほうがきれいじゃん!でもガイは
どうやら金髪くんが好きみたいだなあ。ああいう金髪が。私も金髪青い目が
大好きだ、でもハーコートくんはちょっと、とか、いろいろ思う。
ジャドは確かに恋に落ちる相手って感じではないよなー。でもジャド凄い
ツンデレになりそうで今見るとすっごい好きになった。

関係ないけど、シャーロック・ホームズもエリート階級には違いないだろう
から、あんな学生時代で、ジャドみたいな感じだったんだろうな~と妄想。
共産主義に熱中じゃなくて犯罪やら推理やら独自の研究に熱中、なんだろー。
うんうん。あのジャドがまんまシャーロックでいいと思う。素敵だな~。

ガイは、マミーとかいっててお母さん大好きであったのにね、と思う。
でもお母さんのほうは再婚のほうに気もそぞろで。もー、絶対、ジェイン・
オースティンの世界みたいな感じで再婚したに違いないと思う。
ガイはそれに不満だったりして、かーわいい。
あの母の人生もドラマチックだよなあ。夫には腹上死で先立たれ、再婚した
けど、エリート街道歩むと思ってた息子がやがてスパイとしてさってゆく。
たいへんー。
まあ、スパイってバレたときにお母さんいたのかどうかわかんないけどね。

再上映してくれてよかった。今見直せてよかった。「裏切りのサーカス」に
こんなにはまったのは無意識のどこかにアナカンがあったからかしら。
いやすっかり忘れてたけど。
最近イギリス舞台の小説いっぱい読んでてよかったよ。
思い出の中の大好きな作品って見直してがっかりになっちゃったりするかも
と、少しだけ心配してたけど、そんなことなかった。ほんとにほんとに、
素晴らしくうつくしく素晴らしくかっこよく、すっごく面白かった。大満足。

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