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『銭の戦争 第一巻 魔王誕生』(波多野聖/ハルキ文庫)

『銭の戦争 第一巻 魔王誕生』(波多野聖/ハルキ文庫)
 
日露戦争開戦。
高橋是清は戦費調達に苦心していた。

という時代のお話。明治の日本、ロシアの皇帝、未曾有の株景気、
みたいなのがあれこれと絡まって、歴史小説であり、経済小説であり、
というところかな。
始まるぞ、ということで、あれこれの時代背景が描写されながら、
続く物語の主人公たる、井深享介が、相場師として成長してゆく始まり
のところ。12歳くらいから18歳くらい、のところ。
いくら特殊教育だからって、12歳の子どもに投機の才能があるか
どうか、試すようなことするかねー。昔のエリート的にはそういうもの
だったのかなあ。12歳の子ども、っていう観念も今とは違うだろう。
とは思うものの、でも、ん~~~~、と、その辺は微妙に乗り切れない
気分だった。
18くらいで親を超える財をなした、ってのはまあなんとなく納得して
みたけど。書生の寺田くんがなんか可愛かった。お坊ちゃまに操られる
書生くん。ほんとちょい役で今後出番があるのかどうかわかんないけど。
 
経済小説、というのかどうかわからないけれども、後半は株で儲けたり
破滅したりする男の話がじっくり描かれていて面白かった。
私は、株のことはほとんど何も知らなくて、空売りがーとか先物でーとか
まったくピンとこない。それでも読んでいるうちにつられてぐわっと
熱い思いをすることができたんだから、うまく描かれているのだと思う。
一人冷徹な享介の今後がどう描かれていくのかなー。
でも「魔王と呼ばれた天才相場師」って煽りにはちょっとひく。
一人冷静冷徹だから、享介にまだ惚れるほどの魅力がない。

しかし井深のおとーさん、自分がそういう英才教育に踏み切っておいて、
相場で破産する自分の友人の助けに未成年の息子がなろうとしなかったからって、
勘当とかって、あまりにも理不尽な八つ当たりじゃないのか???享介ひとり
が相場をなんとかできるわけないって、父もわかっているだろうに。
享介くんそこはもっとグレちゃえ怒っちゃえよ、と思った。まあ、享介にも
もう親は必要ない、という決別なのだろうけれどもねえ。
 
あと、伊藤博文だとかが使ってるらしい、奇兵隊の生き残り?はっきり
わからないけれども、忍者なのか?wと、笑っちゃう感じがなんとも。
伊藤だとか山縣とか井上馨ね、そのへんがすごい重鎮大物になってる感じ
がねー。いや実際そうだったのだとはわかっていつつも。
私の中の彼らのイメージが、司馬遼太郎の幕末ものを読んでいた頃のままで。
下っ端のガキどもが~。高杉さんとか慕ってちょろちょろして生き残った
だけの小者のくせにー。なんてことをどうしても思ってしまうので笑う。

文庫書き下ろしのデビュー作だそうです。巻末には次巻の予告が!(笑
この本出たのが2012年4月。続きぞくぞく出るのかと思ったけど、まだ
みたい。来年の春とかに出るのかなあ?まだ物語は始まったばかり。
ちゃんと面白く展開してゆくのか、続き出れば読んでみたいです。

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映画「アナザー・カントリー」

*具体的内容、結末まで触れています。
*「裏切りのサーカス」のネタバレも含みます。たぶん。


映画「アナザー・カントリー」

モスクワを訪ねてくる女性記者。インタビューの相手は、英国人のスパイ。
すっかり年老いた彼の話は、パブリックスクールの思い出だった。
 
将来はエリート外交官を目指し、まずは寮の代表になることを願っている
ガイ・ベネット。きっと次には指名されると自他共に認めていた。
親友はトミー・ジャド。共産主義に傾倒しつねにレーニン像を本を抱え、
我が道をゆく男。資本主義を嫌っているが、ガイには無分別なことをしない
よう注意している。
ガイは、当時厳しく禁じられていた同性愛者だった。恋をしていた。
 
日本公開は1985年だったそうです。映画は1984年イギリス。
めちゃくちゃときめいて見に行ったなあ。85年に見たのかな?もう少し
あとのような気がするけどどうだっけ。地方にきたのが遅かったのかな。
記憶曖昧。
 
そう、すっかり記憶曖昧になっていて、冒頭、え、スパイだったっけ、と
思ってしまう次第。今また映画館で見られてすごく嬉しい。ありがとう!
ペラっとした今回の「語り継ぎたい映画シリーズ」というパンフ買ったら
「裏切りのサーカス」の人、ってことなんだ!びっくり!
ガイ・バージェスという実在のスパイ。それが、ガイ・ベネットなのね。
ううわ~。
そう思って今見ると、なんて素晴らしすぎる映画なんだ。見終わって、
またすぐ「裏切りのサーカス」が見たくてたまらない。早くー発売日になれー。
コリン・ファースが、共産主義なジャドを演じているんだけど、まーそれが
また「裏切りのサーカス」で、ねえ。凄い面白い。どきどきする~~~。
そうかあ。
あれだと、何故エリート階級な彼がスパイなんかに?というのはよくわから
なかったけども、その理由がアナカンで語られてただなんて!
英国ってなんて素晴らしいんだ。
 
で、そういうスパイなのか、というところは私にとっては今回の発見でした。
そして、コリン・ファースが、素敵な美青年だったのにも今回ようやく気付く
ことができました。
頭良くて皮肉屋で、孤高でありながらちゃんと優しい、そんな繊細な美青年
だった。眼鏡クール。ガイとしょっちゅう並んでるんだけど、その二人の
バランスもお見事。ジャドのほうが背が低くてねー。ガイっ、ジャドとつき
あったらいいじゃん!ジャドもめっちゃきれいじゃん!と思ったー。
でも二人は友達なんだよね。それもまたすごくいい。素敵。
ジャドのそっけなく早口で低いクールな喋り方とか凄い素敵。老成してる
っぽいのに、もちろん若くてきれいで。腕とか細いの。ドキドキするぅ~。
パジャマにガウンみたいな姿で夜にこっそり勉強してたり、ガイと語り合っ
たりしてて、めちゃくちゃ可愛い。たまらんねー。

そしてルパート・エヴェレット。ほんっっっっっっっっとに美青年!!!
だらしなく着崩してる様もかっこいいし、びしっとタキシートで正装してる
のも完璧。男の子の奇跡的にうつくしい時期を映画に固定してくれてほんと
ありがとう。麗しさこの上ない。
恋する男の子になって詩をつぶやいちゃったり、ジャドとだけはふざけあったり、
したたかに相手を脅してみたり。もちろん恋するハーコートくんと見つめあう
姿は可愛くてうつくしくてうっとり溜め息しか出ない。凄いなあ。

ハーコートへのメモを押さえられて、寮の自治会?に処罰される時には黙って
屈辱をうける。今度はハーコートへの迷惑を考えて逆らえない。
「愛してるんだ。今までとは違う」って涙ながらにジャドに訴え、「もう一生
女は愛さない」と断言!きゃ~!
そこで、まだそんなこと決めるのは早すぎるとかなんとかいうジャドに、
君も平等とかなんといっても、恋愛に関しては差別してる。ファウラーとかと
同じだ、と糾弾する。言葉を返せないジャド。あのジャドがねー。

エリートとしての道、代表の座どころか将来にも絶望したガイは、これからも
猫をかぶっていってやる、と決意する。最後に笑うのはぼくだ、と。
英国社会への決別だったのね。
ジャドと、共産主義も悪くない、なんて、だんだんそっちの勉強進めていく
のだろうなあ、というところで終わり。
老人ガイに戻る。
この中の現代、というのが1983年かな。
回想のパブリックスクール時代は1930年頃みたい。

最後に質問に答えて、「クリケットがこいしい」というガイ。
英国になんの未練もなく、ただ、クリケット、と。あの学生時代。あの審判を
したクリケット。ハーコートに初めて近づいた試合。いや、ほんとうの、恋を
覚えた学生時代、の、あのひかりの中、ということだろうか。
切ないわ。

90分の短い映画なんですね。
映画の中のもの全て。全てがうつくしく素晴らしく、なにもかもにもえもえ。
90分ひたすらうっとりうっとりうっとり。
ボート。緑の芝生。学校の建物。下級生が上級生の用事をいいつかる様子。
閉鎖的な空間。その中での生活。制服。ネクタイ。ゆるく着崩す様。パジャマ。
ガウン。タキシードシルクハット。軍服。古い本。家具。ドア。
全員美青年。全員美少年といっても過言ではないかも。
いい~。エリート子弟たち。素晴らしい~。英国素敵ー。この閉塞感も階級の
がんじがらめな不自由さも。呪詛も込みで素敵すぎる。

個人的好みでいうと、ガイが一目ぼれするハーコートくんはいまいち。。。
遠目には金髪が麗しい美青年って感じなんだけど、実際じっくり正面から顔
見ると、いーまいちそんなにきれいじゃないと私は思うんだよなあ。
なんでだよガイ。いつも隣にいるジャドのほうがきれいじゃん!でもガイは
どうやら金髪くんが好きみたいだなあ。ああいう金髪が。私も金髪青い目が
大好きだ、でもハーコートくんはちょっと、とか、いろいろ思う。
ジャドは確かに恋に落ちる相手って感じではないよなー。でもジャド凄い
ツンデレになりそうで今見るとすっごい好きになった。

関係ないけど、シャーロック・ホームズもエリート階級には違いないだろう
から、あんな学生時代で、ジャドみたいな感じだったんだろうな~と妄想。
共産主義に熱中じゃなくて犯罪やら推理やら独自の研究に熱中、なんだろー。
うんうん。あのジャドがまんまシャーロックでいいと思う。素敵だな~。

ガイは、マミーとかいっててお母さん大好きであったのにね、と思う。
でもお母さんのほうは再婚のほうに気もそぞろで。もー、絶対、ジェイン・
オースティンの世界みたいな感じで再婚したに違いないと思う。
ガイはそれに不満だったりして、かーわいい。
あの母の人生もドラマチックだよなあ。夫には腹上死で先立たれ、再婚した
けど、エリート街道歩むと思ってた息子がやがてスパイとしてさってゆく。
たいへんー。
まあ、スパイってバレたときにお母さんいたのかどうかわかんないけどね。

再上映してくれてよかった。今見直せてよかった。「裏切りのサーカス」に
こんなにはまったのは無意識のどこかにアナカンがあったからかしら。
いやすっかり忘れてたけど。
最近イギリス舞台の小説いっぱい読んでてよかったよ。
思い出の中の大好きな作品って見直してがっかりになっちゃったりするかも
と、少しだけ心配してたけど、そんなことなかった。ほんとにほんとに、
素晴らしくうつくしく素晴らしくかっこよく、すっごく面白かった。大満足。

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『ルパン、最後の恋』(モーリス・ルブラン/ハヤカワポケットミステリ)

*結末まで触れています。

『ルパン、最後の恋』(モーリス・ルブラン/ハヤカワポケットミステリ)

レルヌ大公は自殺した。遺されたのは一人娘、コラ。大公からの手紙には、
彼女のとりまきの四人の男性の中に、ルパンがいるらしい。
コラが実は高貴な血をひく娘であり、いずれ英国の王妃ともなろうかという
縁談が持ち上がるが、彼女は他の男性を愛するようになっていた。
莫大な持参金や横恋慕の陰謀にさらされるコラ。彼女を守るアンドレ・ド・
サヴリー大尉こそ、ルパンだった。
 
ルブランが残した幻の原稿が発見され出版された、ってことらしい。
ルブランの死後70年ぶりの新刊。

私、ルパン派でした。小学3年の時だったと思うたぶん。ポプラ社の
『怪盗紳士』だったかな。プレゼントで伯母さんからもらったの。
熱中したー。初恋かなあ。小説の人物にもえもえ惚れまくるようになった
のは、ルパンのせいかもー。モテる男が好きとかフランスうっとりとか、
いろんな根源がルパンにつまってる気がするわ。

そのルパンの幻の新刊。楽しみに読んだ。けれども、完成はさせていた
ものの、まだ推敲の途中で著者が亡くなったということらしく、うーん、
確かにまだ推敲するんだったのかな~という、あらすじめいた感じがちょっと
しなくもないかも。
そして、やっぱりなんか、万能超人凄いぞルパンみたいなのがちょっと白ける
気がしてしまわなくもない。
子どもを手下に、英国諜報部とやりあったり。んでもそれ、ないわー、と思う。
まあ、それは現代の、ル・カレなんかを読み漁ったあとだから、かなあ。
もちろん時代は違う。昔は英国情報部もこんな素朴だったりしたのかなあ。
いやそれはないか。わかんないけど。

ルパンて、ルブランが亡くなったのが1941年だって。ルパンの作中の
年代は1920年あたりのような。電機仕掛けなんかがそこそこ出てくる
よなあ、とぼんやり思い出す。

ホームズは、ワトソンの手記的には1894年が「空屋の冒険」だったり
するから、ホームズのほうが年代的には少し早いんだね。
ルパン対ホームズが書かれたりしてるから、ルパンの時にはホームズは
すでに大人気名探偵だったんだ。
子どもの頃読んでた頃は年代とか気にしたことなかった。
今こういうの読んでまた違う感じで楽しいのは嬉しいなあ。

最後の恋、というわけで、ルパンはまたしてもご令嬢と愛し合いめでたし
めでたし。私はまっとうな人間ではないから、と身をひこうとするけど、
積極的お嬢様で押し切られてしまった。
今回の手下にした子どもたちが実はルパンの子どもなのか?とか。うんうん
確かにルパンの子どもってもっといっぱいいいるんじゃないの、と思ったり。
いやでも、けっこう悲恋に終わってたりもしたから、そんなには子どもは
いないかなーとか。
作品読むだけじゃなくて余計なこと考えるのが面白かったな。

でも今読んで楽しくもえるのは、ホームズかなあ。ルパンはロマンチック
だよね。フランス男とイギリス男の違いってことか(笑*個人のイメージ
ですw)

付録で「アルセーヌ・ルパンの逮捕」雑誌初出版があった。それとルブラン
の「アルセーヌ・ルパンとは何者か?」というエッセイも。
読みきりで、いきなり逮捕のルパン。シリーズとして大人気になるとは
まったく予想外だったのね。著者本人にもわからないものだ、という率直な
エッセイはなんとなく微笑ましい。人気シリーズのみならず、著者の死後、
70年も後に新刊出たりしてますよ。
ルブランは、風俗小説や恋愛小説を書いていた人だったのね。そして当時
探偵小説は低俗なものとみなされていた、とか。
時代は変わるねえ。
ともあれ、なんだか気分としては懐かしく、楽しく読みました。
愛される物語っていいよなあと思う。本好きでいるの楽しいわ。

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映画「かぞくのくに」

映画「かぞくのくに」

北から、病気治療の「任務」として、三ヶ月だけ非公式に日本に帰ってきたソンホ。
25年ぶりの帰国を迎える家族。
言葉少なく、監視役もついているソンホとは、なかなか自由に話もできない家族。
それでも、兄が大好きなリエはささやかな同窓会や買い物にソンホを連れ出す。

脳腫瘍の検査結果によると、三ヶ月だけではとても治療できないと言われる。
それでもなんとか、別の医者にかかろうとしている矢先、突然、北へ帰国するよう
命令が下る。三ヶ月のはずなのに、突然。拒否はありえない命令として。
引き裂かれる。ただ、見送る家族だった。
 
井浦新がまたなんかとっても儚い感じだなあ、と予告を見ていて思った。
でも、とてつもなく苦しそうだと思って、見に行くのをためらっているうちに
近くにきたので、やっぱり見ておこうと思った。

新は、ほんとうにやっぱり儚くて、静かで、闇を、苦しみを激情を抱えながらも
虚無だった。透明で。すべてを押し隠して消えてゆく兄だった。
一度だけ、父に「あなたにわかるわけないっ」と叫ぶけれども、その後何も言わず
ただ自分を抱えて感情を押し殺している様がたまらなかった。凄い。
北の人、なので、少しもおしゃれじゃなくてただもっさりした格好をして猫背で、
なのにやっぱりきれいだった。素晴らしい。
最後のスーツ姿のうつくしさ。帰ってきた日に外したのに、またつけた胸のバッヂ。
苦しい。
 
妹を安藤サクラ。彼女もほんとに、ふつうー、ふつうーにお兄ちゃん大好きな妹で
ふつうーに女性で、女の子で、兄を大事に思い、兄たちの世界をわかんないよ、と
時に攻撃的に、そして泣いてしまうしかなくて、そういうふつうに辛いひとり、という
のが素晴らしかった。

新がお兄ちゃんだったらお兄ちゃん大好き大好きになってしまうわそりゃ。
 
在日、という立場。北を祖国、と思う信条。それでも日本で地道に暮らしている家族。
たったひとり、少年だったソンホを祖国へ送り出した家族。
ソンホ、16で北に渡ったんだって。それから25年。脳腫瘍、北の医療では治せず。
「かわってやれたらねえ」という母の気持ち。
突然の北への帰国に、身支度を整える母。監視役の男にも、身支度を、いくばくかの
心づけを、用意する母。息子のためにできる、息子を守るためほんのわずかでもよい
環境で生きられるように、と、母にできる精一杯のことがそれ。切なくてたまんない。
またたった一人で送り出すしかないかぞくの思い。

説明やセリフがほんとうに最小限に抑えられてて。そして役者みんな、全身ちぎれる
ような思いを、ぐっと抱え込んだ静かな演技で見せてくれて。
やりきれない。
どうしようもなくやりきれなく切なく苦しく。
終わったあともしばらく戻ってこれない重さの映画だった。
 
夏の数日、のお話だけれども、光も色もとても抑えられていた。閉塞感。
私は少し歩いて、今日はとても天気がよくて、青空で光と風と、色を浴びて帰った。
花の写真をとって、甘いおやつを買って帰った。
帰って珈琲を淹れた。かぞくと離れてはいるけれども、帰りたければ帰れる。
 
やりきれないね。
 

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『シャーロック・ホームズの復活』(コナン・ドイル/創元推理文庫)

『シャーロック・ホームズの復活』(コナン・ドイル/創元推理文庫)

シリーズ第三短編集、だそうです。ライヘンバッハの滝に落ちて死んだ、
と思われていたホームズの復活~。ワトソンくんよかったねっ。

「空屋(くうおく)の冒険」「ノーウッドの建築業者」「踊る人形」
「ひとりきりの自転車乗り」「プライアリー・スクール」「ブラック・
ピーター」「恐喝王ミルヴァートン」「六つのナポレオン像」「三人の
学生」「金縁の鼻眼鏡」「スリークォーターの失踪」「アビー荘園」
「第二の血痕」

の、13編。
なんといっても、ホームズが変装してやってきて、ホームズだとわかった
時にワトソンくん失神!きゃ。乙女か!可愛い!よかったねっ。
というわけで、お話よりもホームズとワトソンくんのいちゃいちゃっぷり
にときめきまくってすごく楽しかったー。
ワトソンくんは、妻に先立たれたということなのね。
そんでもってまた二人でベーカー街で暮らそうよ、ってホームズが手を回して
ワトソンくんのうちの買い手あつらえたりしてさー。しかもこっそりと。
うんうん。二人で暮らしたいんだよねーねーねー。
捜査に出かけた先で暇だから美しい森を一緒に散歩しよう、ってワトソンくん
を誘うホームズ。
ホームズが下準備のためにメイドと仲良くなって婚約したよーってのを聞いて
やきもきするワトソンとかもう。仲良しだね君たちとっても仲良しだね!
よかったねっ!
ライヘンバッハの悲しみのあと、3年後、ということみたいだけど、もとは
復活が書かれるまでに8年待たなくちゃいけなかったみたいで、もうー。
ファン泣かせだよなあ。
そしてBBCドラマが待ち遠しくて仕方ないけど、でも復活があるとわかってる
だけましなんだろうか。早くみたいなー。絶対空屋の冒険からやってくれる
だろうと信じてるけど、どーんな風にするのかなあ。どんなトリックだった
ことになるのかなあ。ジョンは失神するのかなー。楽しみすぎる。待ち遠しい。
シーズン2の終わりはほんとうに衝撃で悲しくてジョンが可哀相で。

「踊る人形」の暗号はともかく、人形の感じがとても可愛い。こういう絵を
ドイルが描いたのかなーと思うとなんか和む気がする。

「恐喝王ミルヴァートン」では、ホームズとワトソンで泥棒になる(笑
可愛いなあもう。どんな素晴らしい犯罪者になるのですかと思ったけど、全然
ふつーじゃないの。覆面とかしちゃって可愛い~。結局のところはタイミング
よく鉢合わせになった他の襲撃者に乗っかる感じで恐喝の種を燃やして逃げた。
このへんは警察じゃないもんね、というのを生かしてて面白いか。
この時にも、ホームズひとりを行かせるもんか、ってついてくワトソンくんが
すごい可愛い。こなくていいよ、ってホームズ一応は言うけど、こんなに
あれこれ話しておいて、絶対ワトソンくんが来るって言ってくれるって信じてる
よねーホームズ。素直じゃないふりして可愛いなー。

「金縁の鼻眼鏡」は、ロシアからきた女性がロシアの同志がどーのこーので
裏切りものの卑怯な夫から書類を取り戻す、みたいなことが動機で。
ちょっとスパイものっぽいのがときめく。
ヨーロッパとロシアって昔っからいろいろあるんだよねー。ときめく~。

これも最後の話のところあたりでは、ホームズがなかなか書くのを許して
くれないから、っていう前置きがいっぱいになってきて、ホームズは今は引退
して推理学研究と養蜂してるって言ってたりして、もう終わりにするみたいに
なってるんだけど。まだ続くんだよね。
人気がありすぎてなかなか連載をやめさせてもらえないジャンプ漫画的な感じ?
でもまだまだホームズとワトソンのいちゃいちゃが読めると思うと嬉しい。
ありがとうドイル先生!

この本は2012年6月初版。新しい。解題、解説あたりが新しいのかな?
ともあれ、今もこうして新しく本が出るホームズ、凄いなあと思います。

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『狙撃』(フリーマントル/新潮文庫)

*たぶんネタバレです。


『狙撃』(フリーマントル/新潮文庫)

チャーリー・マフィンシリーズ8作目。

チャーリーは情報部本部で経費計算に苦労していた。領収書がないことを
ハークネスに責められる毎日。
ウィルソン部長から呼び出され、目標も日時も皆目わからない暗殺計画の
阻止を命ぜられる。ロシアからの亡命者がその計画のごく一部のみの情報
をもたらしたのだ。
わずかな手がかりと勘でスイスでの和平国際会議に目星をつけたチャーリー。
 
暗殺者は特別な訓練を受けたプロ中のプロ、ワシーリー・ニカラーエヴィチ・
ゼーニン。
スイスではスイス当局、アメリカCIA、イスラエル「モサド」、そして
チャーリーという4つの国の情報部員たちが、正体の掴めないテロに備える
こととなった。

相変わらずヨレヨレでみんなに見くびられるチャーリー。でも、最後には
最初の銀行での云々も実は計画どおり、ってのがわかったりして、チャーリー
凄い、ってことなんだけど。
なんだかねー。
私としては、ゼーニンがんばれ、って気になってしまう。
それにCIAのジャイルズ可哀相。密かに上手く立ち回ろうとしたイスラエルの
ダヴィドなんかも、結局可哀相。チャーリーのせいだ。
チャーリー、間一髪で間に合う、のかセオリーだろうに、暗殺食い止める
ことはできなかったわけで。ほんとジャイルズ可哀相。
チャーリーはやはりヒーローではない。そこがリアルかもしれないけど。
と、何故か主人公のチャーリーがいちばん嫌な奴に思えて、追い詰められる
周りの人間の気分でどきどきハラハラ苛々しながら読むこのシリーズ(笑)
ウィルソン部長の心労やいかに、と、ほんと同情する~。

ロシア側の、おなじみのカレーニン将軍やベレンコフのこともかなり出てきて、
ついにはナターリアに疑いが、とかドキドキ。
そしてチャーリーにはめられた可哀相なエドウィン・サンプソン。
ポーチマの強制収容所?でボロボロじゃないかー。可哀相すぎる。チャーリー
が身勝手に女と関わったばっかりに犠牲になって。可哀相すぎる~~~。
『亡命者はモスクワをめざす』の時はできる男だったのに。

と、そんなこんなで、その辺、つづく、って感じになっていた。次の作品では
ナターリヤが出てきたりするらしい。
相変わらず解説で訳者さんがいろいろ次の話をバラしてくれるなあ。
その次には世代交代でアリスター・ウィルソン卿が部長ではないみたい。えー。
ウィルソン部長が好きなのに。
うーん。あと一作は読むかな。

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映画「最終目的地」

*結末まで触れています。

映画「最終目的地」

一冊だけの本を残して自殺した作家、ユルス・グント。その伝記を書いて
研究補助費を出してもらうため、大学院生(か?)オマーは、公認の許し
をもらうべく、遺族に依頼していた。しかし、帰ってきた手紙の返事は拒否。
なんとか公認にしてもらうよう、しっかりものの恋人ディアドラにすすめ
られて、ウルグアイまで出かけるオマー。
広大な領地に孤立していた屋敷。そこにいたのは、作家の妻キャロライン。
作家の愛人、アーデン、その娘ポーシャ。作家の兄、アダムとパートナー
であるピート。
オマーがやってきたことによって、複雑なまま停滞していたその館の空気が
動き出す。

昔、本読んだ。けど、あんまりしっかりは覚えてないなー。でも雰囲気は
こんなかな、と、納得。
「『眺めのいい部屋』(86)、『モーリス』(87)、『ハワーズ・エンド』(92)などで
知られる名匠ジェームズ・アイヴォリー。御年84歳となる映画界の重鎮が2009年に製作」
ってことらしい。
あ、なんか知ってる昔見た見た、という作品たち。そして、ああこんな雰囲気、と
納得する。

オマーはしっかり者完璧なような恋人ディアドラに子ども扱いされるのがイヤ。
アーデンは作家に拾われ、妻にも拾われたよーなもので、母親ではあるものの、
ふわふわと儚い。若い二人で惹かれあうのは当然必然、のような。
アダムは、年寄りにこれ以上人生犠牲にしちゃいかん、と、ピートがここから出て
ゆけるように金をつくろうとする。ピートはもう40歳で、それなりに自分で稼ぐ
こともできているのに。
いい年した大人を、もっと大人な人が見つめ見守り、という感じ。
でもみんな、動き出せずにいた臆病者だよなあ。
オマーの動きによって、それぞれがさらなる最終目的地を見出す、というところかな。

私は、やっぱり何より、ピートの人生に興味そそられまくり。
出身は徳之島、だって。14である人に気に入られて英国へ、その後アダムと出会い
一緒に暮らして25年、ですってよ。15でアダムと出会い、ってことだよね。
つかそもそも、ある人に気に入られてって、14で。誘拐ってことではないんだろー
けどもさー。それも絶対相手ゲイでしょ。アダムとの年齢差はっきりはしないけど
10歳以上は離れてるだろーから、おい、アダム、犯罪的だな15の少年を~~~!
そりゃあ真田広之15歳とか美少年きらきら可愛いたまらん攫いたい、ってなるよね!
と、妄想がとまりません。素敵。アンソニー・ホプキンス、25年前っつったら
捕まる前のレクター博士、文字通り人を喰っていたころかしら。嗚呼ピート大変な男
に愛されたねっ!と、妄想がー。
いろいろあったけど今はすっかり落ち着いて長年暮らしてきました、というカップルな
感じの二人が可愛かったりして、とてもよかった。満足。
真田さんは色気あっていいよねえ。素敵だった。

オマーとアーデンのカップルでちゃんとやっていけるのかしら。二人ともがしっかり
してないから心配って気もするけど、まあ大きなお世話かな。
近くにアダムたちはいるようだし。
キャロラインも、ディアドラも、ちゃんといい男を見つけてしっかり都会の女に
なってるみたいなのもめでたしめでたし。
いや、ディアドラの新しい男はチャラ男っぽかったけど、ま、いいのか。

時間が止まっている感じ。時間が動き出す感じ。
眠たくなる映画。みんな魅力的だった。よかったです。

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『暗殺者を愛した女』(フリーマントル/新潮文庫)

*結末まで触れています。


『暗殺者を愛した女』(フリーマントル/新潮文庫)

チャーリー・マフィンシリーズ、7作目。
アメリカ側からの要請があった。KGBで暗殺者であったユーリー・コズロフ
の亡命の分け前をくれるという。コズロフの妻、イレーナを英国側が英国側に
亡命希望なのだ。
コズロフがいるのは日本。取引と駆け引きのために、チャーリーは日本へ行く。
CIAとの共同作戦。だが、コズロフの思惑は単なる亡命ではなかった。

舞台は日本~。ちょっと前の訳者あとがきみたいなので予告されてたやつ
ですね。チャーリーが地下鉄乗って千代田区やら新橋やらうろうろするのが
なんか楽しい。CIAとしゃぶしゃぶ屋行ってたりして。日本酒ってライス・
ワインというの?へー、と思ってみたり。

日本だけじゃなくて、香港にも飛ぶ。
亡命目当てじゃなくてなんと痴情のもつれかよ、って笑ってしまったり。
それで人が死ぬ羽目になるんだから。。。情報部員は恋愛控えて欲しい。。。
チャーリーが真相に気付くまでに時間がかかるし、何がどうなってるのか
見えてくるのがなかなかで、読むのにすごく時間がかかってしまった。
チャーリーが警戒してCIAをまくためにあちこちぐるぐるする、とか、
そういう描写がしつこいくらい丁寧に描かれていて、へー、と思うけど、
もうほどほどにしてくれ、とも思う。まあねえ。それだけ用心深く何もかも
に目をくばっていなくては、というのもわかるけど。

最後にコズロフを見事に嵌めたの、おお、と思った。チャーリー、なかなか
酷い。でもそういうプロなんだ。

情報部復帰して、規則にうるさいやつにうんざりなチャーリー。でも上司たる
部長、アリスター・ウィルソン卿が素晴らしく懐深い。
そして今回ご苦労様って感じでチャーリーが屋敷に招待されるんだけど、
豪邸なのはもちろん、薔薇がウェリントン軍の攻撃隊形を模してつくられて
いるとか、なにその素敵庭園!前々から薔薇が趣味な人だってことだったけど。
いいなー。素敵上司いいなー。

日本が舞台ってことが一番面白かったかな。今度英国大使館とか見に行って
みたーい。日比谷駅とかまだ降りたことないなあ。東京観光もっとしなくちゃ。

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映画「ロック・オブ・エイジス」

映画「ロック・オブ・エイジス」

シェリーはオクラホマからハリウッドへ夢を抱いて旅立つ。歌手になりたい。
しかし着いた早々荷物をひったくられてしまった。そこを助けようとして
くれたドリュー。シェリーの憧れの場所でもあるライブハウス、バーボンで
バーテンをしているバンドマンだった。彼の紹介でバーボンで働くように
なったシェリー。
そこへ伝説の大物ロック歌手、ステイシー・ジャックスがライブにやってくる。

お話としては、若い二人が夢を追い求めすれ違い、挫折、しかし再びやり直す、
という、安心の王道。ロックミュージカルというのかな。舞台が87年だそうで、
80年代ロックがばんばんかかって楽しい。オリジナル曲も可愛い。
シェリーもドリューもほんと可愛い。ロックでデビューしたいのに、ロックは
もう古いって、ポップスボーイズグループでデビューさせられて、カラフル衣装
着せられてるドリューも可愛かった。でもそんなに厭そうに描くなよ~ボーイズ
グループが素敵~ってファンもいるだろうに(笑

ま、しかし、私はトム・クルーズを見に行ったのです!
大物ロックスター。しかし今は酒と女に溺れ意味不明な発言を繰り返し、
ステージすらまともにこなさない堕落凋落っぷり。
しかしそこに彼の孤独を理解し彼を変える女性が現れて、ってその辺もまあ
王道ストーリー。
もういいの。
お話はもういいの。
ただただトムを見て、きゃあああぎゃあああうわああああははっあははっと、
心の中で叫びまくってきました。
大体半裸なんだよねー。革パンツも股間にゴージャスな飾りがついてたりしてねー。
トムのちくびっっ乳首をガン見しまくりしてきたぜ。
みっしり筋肉、肉のついてるカラダ、でもだらしない酒浸り生活だから、肉体的
にも少しだらしない感じに、スマートじゃない感じがもうね!
トムの爽やか笑顔はなしで、ヘンタイの顔してる~きゃ~あはは~素敵~っ!
ロン毛でバンダナしてたりして。ああー。80年代のロックな人ってこんな
だっけかなー。バンダナはしてた気がするな~。
そう、80年代、ちょっとレトロでダサい感じが可愛いとか、そういうのも
楽しかった。
ステイシーがつれてるお猿、ヘイ・マンって名前で、そいつがまた素晴らしく
名優だった(笑
トムといいコンビw

ライブハウスのオーナーと、従業員くん、も、あれ、と思っていると実は
らぶらぶ!という、小汚い(笑)おっさん二人でのラブデュエットがあったり。
記者に迫られまくっておきながらちょっと時間くれってステイシー歌いだしたり
かなりコメディな感じもあったなあ。
みんな歌って踊って。ミュージカルならではのハイテンション。
トムの歌声は迫力ありつつ、でも高音はちょっと爽やかに若々しかったりして
好きだなあ。
とにかく、トムのだらしないヘンタイエロフェロモンどわどわで、大 満 足!
楽しかったー。

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