« 『鏡の国の戦争』(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫) | Main | 『特捜部Q Pからのメッセージ』(ユッシ・エーズラ・オールスン/ハヤカワポケットミステリ) »

『ドイツの小さな町』(ジョン・ル・カレ/早川書房)

*結末まで触れています。

『ドイツの小さな町』(ジョン・ル・カレ/早川書房)

ボン。ドイツの小さな町。
そこにあるイギリス大使館で、いくつかの秘密文書が行方不明になった。
長年の臨時雇いであった男も、消えた。
アラン・ターナーは、ボンへ出向くよう命じられた。消えた男、リオと
書類を探し出すために。

ル・カレの5作目にあたる作品。文庫だと上下巻。でも図書館で下巻
がないようだったので、単行本。古い本だった。昭和50年刊行って。
1975年かあ。1ページに上下組、みっしり。久しぶりだこういうの。
そのせいばかりでもないだろうけど、やっぱりすいすいは読めないよ
ル・カレ作品。。。

これにはスマイリーは全然、影さえも出てこなかった。

ターナーが、ボンの大使館へ乗り込んで、おりしも、ドイツでは嫌イギリス
らしくなんかでかいデモが起こっている最中、みたいで。
政治情勢云々の話もかなり延々と。大使館の連中に聞いてまわる話も、
だれも聞いたことにすんなりと答えてはくれないわけで、何の話を聞いて
いるのか私にはわけがわからないよーとなってしまうこともしばしば。
一応、目的としては、消えたリオを探すこと、なくなった秘密書類を
取り戻すこと、だと、思うんだけど、えっとー、リオがスパイって感じ
でもないのか?これはスパイ小説?いやなんか違うよね?政治小説?
いや、なんかもう、何小説とかいうのはどうでもいっか。
と、前半、いや話の3分の2くらいはひたすらもくもくターナーくんに
付き従うだけの感じで読んだ。
ターナーくんもわからない状況でいろいろ探っているので、読んでいる
私にも何が起きたんだよ何を隠してるんだよどうなってるんだよ、という
のがわからない。

大使館の責任者?なブラッドフィールドに、ターナーがもう帰れ、って
言われて、ターナーが襲われて、帰国しないでさらにつっこんで探って
いって、ってなる最後の最後の方にはやっぱりドキドキのわくわくで
一気に面白い。

ターナーがブラッドフィールドにつめよって暴いていくとき、「官房長!」
って呼びかけるんだけど、「相棒」を連想(笑)なんか官房長、うん、凄く
この作品に入っても似合ってる気がするw
しかし正義って何だよ。
そういうところも「相棒」をちょっと連想だなあ。

そして決着がついたのかつかないのか。。。結局リオ・ハーディングは
誰が犯人ともわからない混乱の中に死んでしまって、そっけなく終わり。
この作者のこの死へのそっけなさ容赦なさは極上。
また、おいてかれた気分。面白かったー。

この作中でドイツは1960年代半ば、くらいみたい。敗戦国として、
でもヨーロッパの一員として、NATOやら経済連合やらで、金だけ出せ
みたいにいいように使われてる、というような演説があったりする。
英国の軍の費用負担させられているだとか。
日本みたいやなーと思う。日本、は、それから2012年にいたる今も
そーゆー立場ですわね。ドイツはこの頃から敗戦国から今はEUでは主要国
となるまでに立場回復してるけど。(といっても、今ヨーロッパの軍事状況
とかワタシ何も知らないな。。。でも、EUでのドイツの立場強いだろ、と
いうのは確かと思うけど、どうだろう)
日本は敗戦国のままなのか。
どうなのか。
60年代とかって、日本でも安保闘争的なのが激しかった頃だっけ。
んーう。
日本の今って。

30年近く昔の本を読んで今を考えてしまう。
ル・カレすごいと思う。

|

« 『鏡の国の戦争』(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫) | Main | 『特捜部Q Pからのメッセージ』(ユッシ・エーズラ・オールスン/ハヤカワポケットミステリ) »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 『鏡の国の戦争』(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫) | Main | 『特捜部Q Pからのメッセージ』(ユッシ・エーズラ・オールスン/ハヤカワポケットミステリ) »