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『鏡の国の戦争』(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫)

*結末まで触れています。

『鏡の国の戦争』(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫)

東側にロケットが配備されている可能性がある。
その情報を掴んだ組織は、潜行員を送り込み、さらなる確証を
得ようと動き始めた。

ル・カレの著作4作目にあたるもの。
サーカスとは別の組織があって、諜報部とは違うのだ!我々も
また重要な役割を果たすのだ!と躍起になる話。

スマイリーも少しだけながら重要、大物な感じで出てくるー。
ピーターくんは、ギラムという名前のみ。寂しい。
管理官も出てくる。おお。コントロールまだお元気で。そして
意地悪というか、なんか酷いことしてるような。古臭い組織に
あえて引導渡すように親切めかして協力したのか?
役所の駆け引きって。。。

相変わらず地味な話。最初の潜行員はすぐに死亡。事故、では
ないんだろうなあ。
それからまだ若いエイヴリー。それから、戦争中に現役だった
ライザーを呼び戻し、訓練しなおし、国境を越えさせる。
下っ端スパイはつらい、という話。
スパイ小説なのに、実際のスパイとしての潜入はほんのわずか。
ずっと、ずっと、訓練をしたり、組織の予算取りに奔走したり
車や家の手配のことだったり、もー地味なんだから。
でも、そうやってひっそりと日々を重ねて、その内部だけで
熱が高まり、時代遅れ?時代錯誤?な、愚かさ痛々しさに
突き進んでいくのがたまらない。
共に訓練を重ねるうちに、エイヴリーが、ライザーをほとんど
愛するのだ!と共感していくのが面白いっ。

一人潜入するスパイの孤独。不安。混乱。ライザーがあまりにも、
またしても見捨てられ切捨てられるライザーがあまりにもつらい
じゃないか。酷い。英国酷いじゃないかー(涙
戦時なみに、って勝手にルクレールは満足してるけど、戦時じゃ
ないのに。冷戦時だろーけどでもでもー。
ほんと淡々とクール。容赦ない作者。
どうなっちゃったのライザー。捕まっただろうけど。イギリスに
戻れるのかなあ。。。

ところで、訳者あとがき(訳者、宇野利泰)に、「イギリスの
諜報機関には二つの系列がある。一つは外務省に所属して、
(ル・カレの小説のうちでは)『サーカス』と呼ばれているもの。
もう一つは陸軍内務省の部局のMI(陸軍情報局ミリタリー・イン
テリジェンスの略)だが、ジョージ・スマイリーはその前者、外務省
機関の一員である」とあった。
え?
スマイリーって、MI6かと思ってたけど違うの?
(バンコランはスマイリーの部下にはなれないの?)
まあ、作者としてはすべての機関もフィクションということみたい
なのだけど。
ざっくりぐぐってみた感じ、ウィキなんかではイギリス情報局秘密
情報部、通称MI6、で、ル・カレの作品もこれって感じになってる。
昔とは違ってるのかなー。まーイギリスがMI6認めたのも割と最近
のことみたいだしなー。まー気にしないでおくか。
ともかく、この作品の中ではサーカスとは違う組織があり、戦後と
なった作中現在、諜報部に存在を脅かされている、と、考えており、
力争いをしている、ということ。
そしてとばっちりは下っ端にいくということ。。。
事件は現場で起こってるんだ、どころじゃなくて、事件があるのか
どうかすらわからないのに踊らされてる現場、タイヘンツライ。
面白かった。

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