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映画「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」

*具体的内容結末まで触れています。

映画「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」

ノーベル文学賞をとるか、と噂されている三島由紀夫。しかし彼は文学者
としてではなく、国を思う男として、自衛隊の訓練に体験入隊を繰り返す。
若者たちと語り、志を同じくするものたちを集め「楯の会」を結成する。
すべての活動資金は三島由紀夫が出し、若者たちにも自衛隊の訓練を受け
させ、決起の時を計る。
中でも森田必勝は三島に心酔し、死を求めていた。
学生運動。赤軍事件。自衛隊は動かず、警察の威力が増すばかり。
ついに、密やかに厳選された数名のみで、三島はその日を決行した。

三島由紀夫を演じるのは井浦新。この役を機会に、名前をARATAから
本名井浦新に改める、という意気込み、だそうで。
たしかにエンドロールに、先頭に一人出てきた黒バックに白の明朝体漢字
のその名前のほうがいいかなーと思う。
でも、あのギリシア風?だかなんだか派手な西洋建築の屋敷で着物を着たり
大理石暖炉に日本刀を飾ったりしている三島由紀夫だから、別に漢字の名前
じゃなくてもいいかもね、とも思う。ともあれ、新がどう熱演しているのか
を見に行った。

三島由紀夫大好き。
凄く好き。めちゃくちゃ好き。豊饒の海を読み終わった時にはしばし放心
だった気がする。うつくしい。
あんな世界をつくりあげながら、一方でこう、軍人としてーなんて自衛隊
訓練にのめりこんだり楯の会の若者に演説ぶったりしていたのかと。。。
いやうーん、それも納得をもうしてしまうしかない。三島由紀夫って
やっぱり怪物すぎてわからない。わからなくていいしわからなくて当たり前。
日本随一の文学者でありながら自衛隊に決起促して結局腹斬って自決、って
そんな人物のこと古今東西誰にもわかるわけない。

新はやっぱり姿がとてもとてもとてもきれい。気迫の剣舞のシーンのきれい
なこと迫力あること素晴らしい。
三島と顔が似てるわけじゃないと思うけど、手とかなんかこう、ポロシャツ
着てる感じとか似てるーと思った。喋り方も。東大の立てこもってる学生達
と話すシーンとか。
あの最後の演説の熱弁っ。おおおおこんな感じーと思う。
といっても、三島が自決したのは私は生まれてない時。なんだろうな、
近代史振り返るみたいなテレビ番組なんかで見たりしたのかなーあの演説。
ヘリやら野次やらで煩くて誰にも届かなかった、誰も聞かなかった演説。

なんかもう最初からね、三島が痛々しくて見てるのが辛かった。
どうしようもなかったのかなあ。誰にもとめられなかったのかなあ。

森田くんが、最初は義理でというかつきあい的に三島のところにきたのに
だんだん、三島のところで死ぬ三島に命あずける三島先生死に所を示して
ください!と、がんがん煽っていく猪突猛進な信者になってって、三島も
呼応して死にに行く、みたいに描かれていた。
森田ー。てめー三島を独占したいんだろう~、と嫉妬。ずるい。
三島さんもう森田を抱いてやれよ!!と思ったり。どーなのかは知らないけど
今だったらエロスのほうで昇華しちゃったりできないかなあ。でもああいう
思想の男の世界ってのがいいんだろうから無理だったかなあ。
しかし、みんなでサウナで話し合って盛り上がっていくのはちょっと笑った。
いや、ドシリアスで気迫凄かったんだけど。
三島んちサウナがあったんだったっけな。もうきみら抱き合えよキスしろよ
やっちゃえよ!
彼らなりの愛と信念の行動がああなってしまったのだろうけど。

森田を演じていたのは満島真之介。ひかりの弟ー。
やっぱり物凄く目が強い。印象的。素晴らしかったよー。

豊饒の海、「完」まで書いた原稿や遺書みたいなのをきちんと置いてゆく
ところではじーんとくる。そういうエピソードのあれこれは知ってたりして。
文学者でいてほしかったよ。
文学者でいてほしかったよ。

みんなで車で行くシーン。意外と明るいじゃないか、というのが切ない。
それぞれの辞世の歌が出たけど、当然ながら三島のがよくってかっこよくって
切ない。
「益荒男がたばさむ太刀の鞘鳴りに幾とせ耐へて今日の初霜」

最後の演説のシーン、新の声いいよねえ。ところどころ当時の写真なんか
が入ったので、生首写真でるかなどうかなと期待したけどなかった。
まあそこまでやると悪趣味でしょうか。でも桜やら日本の美しい風景やら
にするのはどうなのかなあ。海外向け?んー。どうなのかなあ。

新をたっぷり見た、という点では大満足。いっぱい脱いでくれててきゃー。
やっぱり日本人たちはつるんとしててきれいだ。

学生運動たちあの辺の時代のことはやっぱりどうしても、私にはわからない。
どんなに話を聞いても、どんなに映画やテレビを見ても。
客層、けっこうおじさん率が高かったと思う。学生運動現役だったりした人
たちだったりするのかな?とちょっと思う。どうなんですか。
そうまだあの頃バリバリやってた人たちが今も生きてるのがなんだか物凄く
不思議な気持ちになる。どうなんですか。実際突き進んで死んだ人もいる
只中から今フツウのおじさん的人生を生きているのって。
それがいい悪いじゃなくて、どうなんだろう?と、本当に不思議な気がする。

映画終わって、新宿の街を少し歩いて駅に行くのが不思議な感じだったよ。
映画の中で新宿で大規模デモだか闘争だかあったよーなのを見たあとで。
まだ歴史、というには近く、でも実際には知らない時代。いろんなことを
情報知識としては知っているけど、その空気のことは知らない時代。
知ってる人は、あの空気は話きれるものじゃないわからないだろう、という。
わからないよなあ。やっぱり。空気ってわからないよなー。。。

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