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『スマイリーと仲間たち』(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫)

*具体的内容、結末まで触れています。

『スマイリーと仲間たち』(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫)

パリ。女。マリア・アンドレーイェヴナ・オストラコーワ。彼女の
もとにある男が現れたことから事態は動き出す。
彼女がモスクワに残してきた娘のことで重大な話がある、というのだ。
オストラコーワが助けを求めたのは将軍。
将軍は、かつてスマイリーの情報源だった。老いた将軍の死。そして、
引退生活からスマイリーは呼び出され、それからは強引に将軍の残した
手がかりをたぐりよせていった。
カーラへと。

スマイリー三部作、っていわれているうちのこれがラスト。
今回はもうすっかり引退していたスマイリー。サーカスでも、将軍が
連絡してきたことさえ面倒ごと扱いで、スマイリーにも揉め事を起こす
んじゃない、という。老人の死からよけいなものを掘り出すな。
でも、スマイリーは見つける。モスクワ・ルールだ、という老人の最後
の行動をたどり、謎めいた証拠の品を。
そして、そして、と、スマイリーが孤独に突き進んでいくのをハラハラ
と見守る心境で読み進めた。
スマイリー、70代なのかな?ともかくもう十分老人で、でも黙々と
突き進む行動力も頭脳も衰えはないわけで。

なかなかピーターくんが出てこない。ピーターくん、そばにいてくれよー
と思うのに、いない。パリに飛ばされてるのね。
再婚して身重の新妻が、とか。まあ、仕事的には不遇みたいだけど、生活
としてはなんかいいんじゃない。よかったね。
って、でも、スマイリーがきたと知らずにあわてて帰宅したときとか
すっごいかっこいい。もう50目前って感じみたいなんだけど、でもでも
やっぱりかっこいい~。
ほんと出番少なくてそれが寂しかったなあ。最後にはちゃんとスマイリーの
そばにいたけど。

カーラの秘密。カーラの弱点。カーラの人間味。秘密の娘のために
秘密に職権乱用しちゃうカーラ。
スマイリーとカーラ。
最後むきあったとき、互いの中に互いの一部を見た、とかさ。
アンのライターをまだ持っている、ここで使ってみせるカーラ、とかね。
たまんねえな。

最後の、待つシーンでの、ピーターくんの祈り。

「くる、とギラムは思った。いや、こない。くるかもしれない。これが
祈りでなければ、なにが祈りだろう」
「やってこい、とギラムは切に思った。みんなで応援しているぞ。はやくこい」
「やってこい。(←傍点あり)さっきほどの確信はなく、彼は祈りを東側の黒い
スカイラインへとどけとばかり投げた。それでもいいからやってこい」

もー、切実に、私も一緒に祈るしかないじゃないか。こい。こい、はやく。
なのに、スマイリーは、「くるな」「撃て」と、胸のうちで言うの。
もーっ。もーっ。もーっっっ。

ついにカーラが車に乗せられて去り。スマイリーとピーター。そのシーンを
私は読むことで見詰めて自分でびっくりなことに涙ボロボロ泣いてしまった。
トビーが言う。「ジョージ」「長かったなあ。夢のようだ」
長かったね、スマイリー。
長かったなあ。

ラストシーンはピーターとスマイリー。「オールドフレンド(朋輩)」という
呼びかけが素敵だ。
面白かった。

映画見てからの二ヶ月ほどの間、特に三部作はすぐ読んじゃわないように
ゆっくり時間をかけて、ずーっとスマイリーの姿を眺め続けてきた気分。
たっぷり時間かけるだけの存分の満足を味わわせてくれた。
一気読みしちゃうやめられないとまらないも好きだけど、こんなにどっぷり
いつまでもいつまでもいつまでも読み終わりたくない小説、凄いよなあ。
さて、あと遡って、読んでないのを読むつもり。
スマイリーも名前くらいは出てくるのだろうか。(『寒い国から帰ってきた
スパイ』みたいになってるのかなあ?)
スマイリー、ピーター、この世界が好きすぎてどうしよう。素晴らしかった。


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