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『未踏』(髙柳克弘/ふらんす堂)

『未踏』(髙柳克弘/ふらんす堂)

句集。

著者29歳のとき、2009年刊。
収められているのは2003年から2008年の句。
若い著者である、というこちらの思いもあるけれども、やっぱり
なるべくそれ抜きに考えてみても、やっぱり若さがかっこいいな
と思う。

俳句って、きりっとしていてもともとかっこいいと思う。
さらにこの句集はかっこいい。本のつくりもかっこいい。天が黒いよ。
箔押しの表紙、中表紙だったりして。
世界をゆったり受け入れるというよりは、きりっと世界と対峙して
いる感じが、やだ若くてかっこいい、と思う。
ときどきはひらがなの多いやわらかい句もあって、それも魅力的。
やわらかい、んだけれども、ちょっと冷たい距離がある気がする。
うーん。どうだろ。やっぱり私の思い込みが入ってるかなあ。
好きだからそう思ってしまうっていうのもあるよなー。

数えたわけじゃないけれども、「蝶」がよく出てくる。
羽化するもの。うつくしいもの。飛ぶもの。儚いもの。幻のようなもの。
そういうものに思える。

できれば著者が年を重ねて、句がどう変化していくか、しないのか、
見ていきたいなあと思う。面白いだろうな。

いくつか、好きな句。素敵です。

  ことごとく未踏なりけり冬の星
  ゆふざくら膝をくづしてくれぬひと
  やはらかくなりて噴水了りけり
  白桃の舌のちからにくづれけり 
  蝶の昼読み了へし本死にゐたり
  つまみたる夏蝶トランプの厚さ
  マフラーのわれの十代捨てにけり
  飾るものなし花冷のくびすぢに
  悉く見限りし眼や蟇
  キューピーの翼小さしみなみかぜ
  雪降るや何かと嗚呼の明治の詩
  孵らざる卵の数やぼたん雪 
  春昼の卵の中に死せるもの
  くちびるのありてうたはぬ雛かな

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