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『寒い国から帰ってきたスパイ』(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫)

今朝の金環日食、見ました。
曇りがちでどうかなーって思っていたけれども、少しは見られた。
日食グラスを買いそびれていたので、超適当に、段ボール箱に
穴を開けて、ピンホールな感じで、わー、ほんと欠けてる~と、
一人地味に楽しみました。
鮮明な映像はテレビに頼るってことで。満足。

『寒い国から帰ってきたスパイ』(ジョン・ル・カレ/ハヤカワ文庫)

ベルリン。東側から脱出してくる男を、リーマスは待っていた。
アレック・リーマス。イギリスの諜報部員。
男は境界までやってきていた。あと少し。しかし、東ドイツの哨兵の
ライフルが男、カルルを捕らえた。

イギリスに戻ったリーマスに与えられた新たな任務は、東側に潜り込み
相手を騙すこと。これが最後の任務として、リーマスは動き出した。

ル・カレの三作目。しかしこれが世界的大ヒットになって、作家として
認められた、という出世作みたいです。
この作品にも、スマイリーは出てくるけれども、すでに諜報部を引退
した影の存在として。
ひたすらリーマスを描き出していく。
東側に潜入、といっても、相手を騙して逆スパイにしたてられるように
自ら仕向けていく、というわけで。地味。
接触。
移動。
派手なアクションはなし。まあゼロではないけど、007みたいのに
比べたらゼロに等しいくらい。
尋問。
尋問。
尋問。
リーマスの動き。東側のフィードラーの動き。ムントの動き。
息詰まる。
どうなっていくんだろう。気付かれるのか?騙しおおせるのか?
でも本当は?誰が誰をどう騙そうとしているのか?ドキドキする。

リーマスが一時だけつながった女性、エリザベス。なんの変哲もない
ただの女性。つきあった、ともいえぬような一時の関係。しかし、
リズの存在を弱点として巻き込まれてしまう。
国家諜報のため?思想のため?より大きなもののための小さな個人の
犠牲?
最後まで読んで、その幕切れにしばし呆然。虚脱。面白かった。

ムントって、『死者にかかってきた電話』の時に出てきてた男で、
それをめぐっての騙しあい策略あれこれ。この本の中に、過去の事件、
スマイリーとの因縁として出てくる。
どうやら翻訳はこれが一番最初にされたみたいだなあ。これがヒット
して知られるようになったってことなんですね。
もちろん過去の事件は事件で、この本は十分凄く面白く読めるけど、
でも私は順番的に順当に読めてよかったなー。
スマイリーのことを少しは知って読めてよかったと思う。

この作品は1965年に映画化されたらしい。どんなだったんだろう。
ほとんど会話劇になるんじゃないかなあ。でも渋くて凄いかっこいい
よなあ。ちょっとどんな風なのか気になる。

さて次はいよいよ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』読む。
できれば読んでもう一回映画見に行きたい。いけるかな読みきれるかな。
楽しみ。

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