『J 少女たちは破壊を謳う』(五條瑛/徳間文庫)
『J 少女たちは破壊を謳う』(五條瑛/徳間文庫)
よく似た可愛い少女たち。中国、韓国などからやってきた少女たち
8人のグループアイドル、スカイ。
渋谷でただあてもなくぶらぶらしながら、知り合いを見つけては
適当に遊ぶ、という日々をすごしていた浪人生の秋生は、ある夜、
強くうつくしい印象の女性と出会う。ジェイ、とだけ名乗った彼女
はいつも、テロの現場の近くに現れるのだった。
単行本は2007年。タイトルは「J」だけだったと思う。
今月文庫発売だったのに気づいて購入。わーい。
加筆修正が行われているそうです。あんまり細かく覚えているわけ
じゃないので何が変わったかとかあんまりわかんない。
K-POPアイドル大人気の今。実際単行本出た5年前はどうだった
っけか、と、あんまり覚えてないけど、アジアからの可愛い女の子に
みんながきゃあきゃあしてるの今がこの本の中と同じ。
国内でテロは頻発しているわけじゃないけれど、こういう事件が
リアルに起こっても世間の反応ってこうかも、と、思うなあ。
キックボクシングにはまって、変わっていき、生きる力を身につけ
てゆく秋生。
ジェイのスカウトに応じ、すべてをすてて夢の楽園を手に入れた
はずなのに、自分の甘さ、歪みに気づくことなく切り捨てられて
ゆく時津。
不運だった、と、言うにはあまりに辛い、久野。
強く生きるって、難しい。
けど、自分が変われば変わることができること。
ジェイたちの言い分も、日本のダメダメも、でも、一人ひとりの
人生も、全部どれもが正しいし悪い。
でもなあ。
破壊を謳う。
でもやっぱりテロはダメだ。希望を生んだりしない。強くなれ。
これはこの話ですっかりおしまいかな。秋生くんがなんだか若者
らしい若者で可愛くてがんばれよーと思う。ジェイとの再会が
ないことを願うよ。
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