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『黒猫の遊歩あるいは美学講義』(森晶麿/早川書房)

『黒猫の遊歩あるいは美学講義』(森晶麿/早川書房)

24歳の若さにして大学教授となっている、黒猫。本名は誰も呼ばない。
彼とかつては学生仲間であった、現在博士課程一年目の私。腐れ縁として
浮世離れした黒猫の付き人としての現在がある。
黒猫は美学。私はポオの研究者としての道を歩もうとしているところ。
そんな二人が解き明かす、身の回りの小さな謎。

ということで、6つの短編集同じ人物の時間がゆっくり経過していくので
連作短編集かな。ポオの小説がモチーフとして使われている。
アガサ・クリスティー賞第一回受賞作、だそうです。
なんなんだアガサ・クリスティー賞。
著者は、まったくの新人ではなくて、ラノベで一冊著書があるらしい。
受賞の際の選評にはポオのネタバレがある、ということが少し問題だった
みたいで、本になったときには改訂されてるのかな。ポオの作品は
古典だし具体的内容に触れてはいるけど、んー、まあ、ネタバレは一応
さけているのか。

一つ一つは読みやすいしさらっとしている。美学講義、っていうのか、
黒猫の薀蓄云々はあるけれども、おしゃべりの形なので読みにくい難しい
ということはないと思う。まー語られてる内容がどうなのか、ってのは
私にはわからない。へー、と思って読み飛ばす。
人が死ぬ、ということはあるんだけれども、血みどろどろどろではない。
ほのぼのっていうほどでも、ないかなー。
そして黒猫と、「私」との関係も少しずつ、近寄る?どうなの?という
感じ。

で。
面白い人には面白いんだと思う。でも私の好みとしては無理ー。
うへえ。
若き天才黒猫くん。料理してくれてピアノ上手くてモテモテ。私のほうも
むかーし小学生時代とはいえクラス一番の美少年に告白されたことが
あるの~だし。腐れ縁ですとかいいながら黒猫の部屋に泊まりこんでみたり
ご飯つくってもらい送ってもらい手をひいてもらい電話もらい、まあねえ。
研究者としても君の才能はなかなかのものだよ、と認められうれしい、とか
なんかねえ。
勝手にきゃっきゃウフフしてろよよかったね。と、モテナイ私の僻み炸裂(笑
若い男女がときめきを自覚しないようにしながら謎解き、楽しいね、と、
そういう風には私は全然楽しむことができないー(笑)古いステレオタイプ
な少女マンガみたいと思った。無理ー。

男同士だったら私はとっても楽しいけどね。
もちろん私がそういう趣味だから、でもあるんだけど、男同士だったらなんで
いいかというと、私のようにもうーつきあっちゃえよとヨコシマに妄想する
しないはともかく、仲良しだけど友達、というのが無理ないからなんだよねー。
ヘンに甘ったるく恋愛がらみなの?という方向にいかなくてすむのがいい。
若い男女がきゃっきゃしてたらすぐ恋愛、っていうのもまた固定観念で
ダメだけど、でも、まーこの作品に関しては、友情?腐れ縁?でも、好き、
かも、という、その、「好き」ということをちらちら存分に出してきてる。
それがねー、私にはうっとおしい。
なんだろうなあ。
キャラの魅力が私には全然感じられない。若き天才くんも、ちょっと
天然系っぽく無自覚な感じの私も、ありがち、から出てないと思う。
文章やレトリックにもむずがゆさがつきまとう。ヤメテ。ハズカシイ、と思う。
黒猫、と呼ばれていて誰も本名を呼ばない、って。。。黒猫ねえ。
5話目、なんだか雰囲気ありげな喫茶店でコーヒーを頼むと「闇よりも濃い
ブラックコーヒーが運ばれてくる。」って。
うううう。嘘でしょ。闇よりも濃いブラックコーヒーね。うー。

身近な謎というところなので、世界が限られるのは仕方ないにしても、
ホントに主人公たちの縁者の間のことでしかないのでどうにもご都合主義に
見えすぎる。狭い。
文章的にも受け付けない。キャラにももえない。なんで読んじゃったんだ。
たぶん面白くうきうきと読める人はいっぱいいるんだと思う。
ただ、私にとってはダメだった無理だった。うへえ。もう読みません。


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