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映画「人生はビギナーズ」

映画「人生はビギナーズ」

母は5年前に癌で亡くなった。
父、75歳だが、カミングアウト。私はゲイだ。これから、そっち方面を
楽しむことにしたい。

38歳の息子オリヴァーをユアン・マクレガー。75歳からゲイライフを謳歌する
ハルをクリストファー・ブラマー。先日のアカデミー賞で、最年長助演男優賞を
とったそう。おめでとうございます。ほんととってもチャーミングキュート素敵な
おじいさんだった♪恋人といちゃついてても微笑ましく上品さがある。
美術館館長だった、美術史家、ということだからやっぱり、品があるって大事と
思う。
ユアンくんはふつーそうな、臆病なナイーヴな男。ふつーな感じが最高にかっこいい。
素敵だあ。うっとり。

父の残した家。
父の残した愛犬。
そのわんこがめっちゃ可愛い!ジャック・ラッセル・テリアらしい。でもなんか
もじゃっとよれっとしてて、可愛いったらありゃしない。ずーっとハルに、その
後はオリヴァーにくっついて回るの。お留守番させようとすると鳴いちゃうの。
で、セリフが字幕であって、たいへんにナイス。しゃべれないけど、アーサーと
語り合っちゃうオリヴァーがまたすごくいい。いいなあ。

父も癌で最期を迎える。
みとったオリヴァー。
友人たちに連れ出されていったパーティで、魅力的な女性、アナに出会う。
また恋をするなんて思ってなかったオリヴァー。少しずつ、付き合いを深める
二人。うまくいくだろうか。

お話は、監督脚本の、マイク・ミルズの自伝的なものだそうです。おとーさんの
そういうカミングアウト受けるってやっぱりびっくりなんだろうなあ。
お母さんは出番少な目だったけど個性的でなかなかチャーミング。
自伝的、というせいものあるのだろうけど、とてもとてもとても繊細に慎重に
やさしくつくりあげられていると思った。
傷つけあうところや、もっと醜く辛いこともなかったわけではないだろう。
そういうのは多少ほのめかされるくらい。
理想的な息子だよなあ。
理想的な最期の迎え方だよなあと思う。
いくつになっても、スタートできる。
いくつになっても、初めて出会うことはたくさんあって、戸惑うし怖くも
なるし、それでも、楽しんでいくことはできる。

数少ない母のエピソードで、マーガレットの花束、そのへんで摘んできた
のを無造作ににぎってる手の写真があった。
マーガレットの花束のような、平凡な幸福を贈る、というようなのが素敵だった。
親が子供に願うのは、めちゃくちゃな大成功とそれに伴う苦悩、というよりは
平凡なつつましやかな穏やかな幸福なのではないかなあというのが私には腑に落ちた。
平凡な幸福って、でも難しいけどね。

時間の入れ替わりがけっこうめまぐるしい。でもそんな風に日常の中に、父のこと
をしょっちゅう思うって感じかなあと思ってみたり。
大袈裟な感動や説教や押し付けはなくて、とてもとてもやさしかった。
小さなエピソードひとつひとつが素敵だった。
アナもとーってもきれいかわいいしー。本屋であんなデートしたいぞ。いいなあ。
生きるのを楽しむのは、自分次第。はじめてみるって、いいなと思わせてくれた。

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