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『半端者』(東直己/ハヤカワ文庫)

『半端者』(東直己/ハヤカワ文庫)

ススキノの夜を飲み歩いているまだ大学生の<俺>。
授業には出ないものの、高田に誘われてゼミには行く。北大学生ブランドを
生かして家庭教師をしている。
トランプ博打で日々の飲み代を稼ぎ、チンピラと揉め事を起こし、何故か
懐かれたフィリピーナとつかの間の恋に落ちる。

ススキノ探偵シリーズの前日譚、ということみたい。シリーズの本として
10作目かな。去年の映画化にあたっての文庫オリジナルみたい。
何故映画化されるからって前日譚が書かれてるのかはよくわからないな。
でも探偵や高田くんの大学時代ってどーなのよ、というのは興味あるし、
桐原とどう知り合ったか、というようなのはちらっと話しに出てきていた
とはいえ、そんなこんなをこうしてお話一冊読めるのはとてもよかった。
面白かったー。

<俺>はまあとにかく飲んでて、ボロかすに殴られて、埋められかけたり
タイヘン。あんたバカなのか、とか高田くんに言われるけど、もうほんと
バカだろ。何故そこで首をつっこむ。そんでやっぱり最初っから高田くん
に心配と世話をかけまくってる。なんなんだよモエるじゃねーか(笑

前日譚、というのはほんとにそうで、その後のシリーズで出てくる
<俺>の友人知人との出会いみたいなのがいっぱいで、あーなるほどー、と
すごく納得する。うんうん、と、友人の昔話を聞く気分。楽しい。
高田くんすっごいかっこい~。桐原もすごくいい。ケラーオオハタのマスター
が実に渋くさりげなくかっこよくって素敵。

甘く切ない、って文庫後ろ表紙に書かれてる通り、フェ・マリーンとの
ひとときって、ああもう、ため息しか出ない。甘いねえ。切ないねえ。
高田くんも切ないねえ。
アホだねえ。
甘く切ないというか、なんていうか。ほろ苦い。
やっぱり<俺>はなんにもできなくていつの間にか知らないところで
あれやこれや進んでいて、若くて勢いだけはあるけど何にもできない俺って
いうのはもうどうしようもない。
周りの大人がいいねえ。
愛されキャラだな、<俺>。
テンポよくて読みやすくて、説教もバカさも笑いも切なさも、泣いちゃう
感じもすごくよくて、堪能しました。

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