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『黄金を抱いて翔べ』(高村薫/新潮文庫)

*結末まで触れています。


『黄金を抱いて翔べ』(高村薫/新潮文庫)

北川に誘われて、銀行の地下金庫から金塊を盗み出すことに同意する幸田。
必要な人数を集める。綿密にたてる計画。
しかし、思いがけない障害が次々と現れる。

映画化されるみたいだ、というのを見たので、たぶんまだこれ読んでない、
と思って読んでみた。デビュー作なんですね。本が出たのが平成2年。
この文庫本は平成6年。二十年以上昔か。まだパソコンは企業のもので
携帯はない。登場人物の過去に濃厚につきまとう左翼やらなんやらの影。
デビュー作に作家の原点はある、というのをまざまざと思い知るような
濃厚な作品だった。
犯罪、過去、同性愛、キリスト教、虚無的主人公。緻密な描写。細部の
積み重ね。面白い。やっぱり濃密すぎて窒息して溺れそう。こんな完成度
でのデビュー作なんですね。凄い。

幸田くんがモテモテ。
春樹とかもうあぶなっかしくって。若者だから仕方ないのか。それにしても
てめーのせいでいろいろ大変じゃないか。
北川の妻子のあっけなさに圧倒される。
映画「アジョシ」を連想して、シーンがありありと目に見えて愕然とした。
なにもかもを突き放して書ききる凄味。
モモもあぶなっかしくて。それなのに幸田と寄り添って、それがまたもう
どうしようもなく儚くて危うくていきなり悲劇の予感しかなくて、そして
そうなんだけれども、感じてはいてもとてつもなく哀しかった。
野田もなんか大丈夫かーと思うし。
最後まで、一体みんな大丈夫なのかよ?と心臓が痛い思いだった。

じーさんもな。
父と子。
結局何も語り合ってない。何もわかりあってない。何も許さない。
普通さ、こう再会、出会ったわけだからさ、何らかのドラマなり感動要素
なりをちらっとくらい匂わせちゃうんじゃないの?そこを高村作品だと
こんなにも無機質に突き放しておしまい。凄い。

それでも、このラストはハッピーエンドといっていいような、開いた終わり
だと思った。モモはいないけれど。幸田がどう生きるのかわからないけれど。
幸田、でもこのあと死んじゃうのかなあ。うーん。
でも北川の手を握り返しているし。
生きて欲しいよ。
モモと、こころで、心の話をしながら生きて欲しいよ。


ところで関係ないながら、最近続けて読んだ黒川博行の疫病神コンビの話は、
同じ大阪が舞台でもからっと明度が違う。全然違う。
疫病神たちも犯罪みたいなもんだけれども、あっちはヤクザ。職業的に犯罪
が日常、で、命かけるようなことはしない。ま、結果的に命がけに
なっちゃってるけど。なにより大事なのは金儲け。命あってのものだね。
死んだら金使えなくなるもんね。
高村作品の場合は基本素人で、この一事に命賭ける、という切迫感と、
そうはいっても金儲けがどっか度外視されてゆく。幸田は北川の誘いにのる
けど、そんなに黄金欲しそうじゃないもんなあ。北川だってなあ。
高村作品はほんと濃厚でやっぱり読むとどっと疲れる。凄くよかった。
まだ読んでないのを読まなくちゃ。溺れたいと思う。

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映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

*具体的内容に触れています。

映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

9・11。
あの最悪の日、学校から早くに帰されたオスカー。大好きな父は、あの
ビルの中にいた。

大切な、大好きな、大事な大事な家族を突然奪われる。
そんなのだっていったい、どうやって乗り越えたらいいんだ。

ありえないほどがんばってる!とキレるオスカー少年。彼はアスペルガー
症候群の判定テスト?を受けたことがある。判定はどちらとも出ず。
そういうのって物凄く辛いんじゃないかな。いっそ病名がついたほうが
楽だ、という気がする。わかんないけど。
自分のこだわりや興味の赴くことには凄い集中力や才能を発揮するよう
だけれども、おそらく一般的にはできてあたりまえのことをするのに
とてつもなく苦労しているみたい。
怖いこと苦手なことが山ほどある。ドアの外に出るのが嫌。橋を渡るの
がこわい。騒音が怖い。上を見ている人が怖い。もっともっともっと、
苦手なことが増えたのはあの最悪の日のせいであることも多いけど。
学校行くとか人と話すとか、辛いんだよなあオスカーくん。でもすごく
がんばってるんだよなあ。

オスカーは、そんな彼の個性を愛し大事に導く素晴らしい父が大好き。
母親だってもちろん愛してる。祖母もいる。オスカーは不幸な子供では
なくて、不自由なく愛されて育っている。大事にされてる。愛されている。
恵まれた子ども。でもだからって、彼の苦しみ哀しみを、乗り越えるのが
簡単になるわけじゃない。

哀しすぎて一年間入ることのできなかった父のクローゼット。
そこで見つけた謎の鍵。
父が残してくれたメッセージだ。鍵穴を見つけるんだ!と、唯一の手がかり、
鍵が入っていた封筒に書かれた「ブラック」というのが人名と信じて、
ニューヨークの電話帳ひいて片っ端からブラックさんを訪ねて回る。
父を知りませんか。鍵を試させてくれませんか。
外も人も電車も何もかも怖いのに、オスカーは歩き回る。パニックを落ち着
かせるためのタンバリンをいつも持ち歩いてるんだけど、それがすごい可愛い。
なんでタンバリンなんだ。でもそれが、彼の心の震え、かなあ。
シャリシャリ鳴って可愛くて切ない。

祖母のところの間借り人の老人。
喋れない、とのことで、老人からの会話はメモ。手のひらの「YES」「NO」。
最初は警戒しているオスカーだったが、自分が抱えている物語をぶちまけてからは
一緒にブラックさん探しの日々をすごす。
老人と少年っていいよねえ。クール。
オスカーが、母なんかにはいえないことを、こうして、ちょっと関係なさそうな
人にうわーっと喋るのは切ない。言えないこと。誰にも言わなかったこと。
話してもいい?
と聞くオスカーは切ない。
最後のほうでもね。
誰にも言えないことがあって、遠い、関係ない人にだから言えること。
怖くて怖くて叫んで壊して自分を痛めつけて辛くて辛くて辛いこと。

そして母親もちゃんとオスカーを見ていたことをわかりあうんだよね。
「もっと愛してる、って言うよ」といったオスカーは、やっと、自分の中の
嵐が過ぎていったのかなあ。その前のほうには母にはずいぶんなことを言ってた。
ちゃんと愛されてるから、愛してるって言えるね。

9・11の傷を、ニューヨークの街の人みんなが共有してるみたいだった。
大人たちがほんとうに魅力的だった。
もちろん親切な人ばかりじゃなくておっぱらわれたりちょっと怖いとかも
あったけれども、それでもみんな、大切な人たちだった。
父とのやりとりの細々したところまで、みーんな丁寧で素敵で素晴らしかった。

とーもかく、トーマス・ホーンくん。オスカー少年がすごく可愛くて可愛くて
美少年~。まつげ長くて青い目で、少年ならではーの、ひょろっと頼りない体
していて。走ってへんな動きしたりして。セリフも演技も凄い。憎まれ口も怖い。
男の子の物語だなあと思う。素敵だったー。

あの最悪の日。祖母がきてくれたり母親が帰ってきたりしても、あれは、ソファ?
カウチ?ベッド?なんかその家具の下に入り込んでて出てこないの。
動物みたい。
猫みたい。
なつく相手はパパだけだった猫みたい。
ちゃんと礼儀正しくもできるしするし、そうそう泣くわけじゃなくて自分の中に
こもる感じ。本当に繊細な男の子。
彼を見に行ってよかった。

9・11がテーマで、家族を亡くした男の子、なんて、もーあざといわ。泣かせる
んでしょ、と最初知ったときは思ったけど、「リトル・ダンサー」の監督と知って、
ちゃんと見に行ってよかった。スティーブン・ダルドリー監督。美少年発掘して
くれてありがとう監督。

私の駄目予想なんかはるかにはるかにふっとばしてめちゃくちゃによかった。
こんなん泣かされるわ。
これみよがしな感動おしつけはないのにぼろっぼろ涙が止まらなかった。
オスカーくんにはやっぱり生きづらい世界だろうけれど、きっと、大丈夫だね。

予告で、U2の音楽が流れていたので、使われてるのかなーと思ったけど、なかった。
そこは騙されたなー。

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『暗礁』上下(黒川博行/幻冬舎文庫)

『暗礁』上下(黒川博行/幻冬舎文庫)

桑原の頼みで、麻雀の代打ちをやった。
接待麻雀なので適当に勝ち適当に負け。気楽な稼ぎになるはずだったが、
そこから途方もないトラブルに巻き込まれる二宮であった。

ってことで今回もめためたにやられる二宮くん(笑)大変(笑。
放火犯の疑いをかけられる罠に嵌り、いろんなヤクザに追い掛け回され。
桑原は相変わらずの一匹狼で二宮くんを使い倒して、それなりに助けて(笑
金をとるべく奔走する。
今回は沖縄に飛びましたねー。沖縄観光案内っぽいのがあったりして。
二宮くんは緊迫感にかける。

急成長の東西急便は警察OBを集め暴力団対策に余念ない。
そこの裏金をなんとか掠め取ろうと、桑原はがんばるんだけど。
相変わらずむちゃくちゃで強引でめっちゃかっこいい!強いっ!
やっぱり喧嘩強いのかっこいいー!でもあちこちで敵作って大変ー(笑)

中川刑事はやっぱりレギュラーな感じで出てきた。
ヤクザよりよっぽど汚いっす。ヤクザの上前はねるんもんなー。
今回も二宮くん桑原さんは満身創痍って感じに体張るのに中川はまったく。

追い込みかけて、あと残りのページがちょっとしかないよ?とハラハラ。
面白かった。
やっぱ敵をつくりすぎるのはよくないよね桑原さん。上に助けてもらう
ことになると稼ぎは半減。気の毒。。。確かに経費がかさんだろう。。。
現場で体張る人間は辛いねえ。

前回の北朝鮮まででばっていってのアクション巨編(?)に比べると
ちょっと劣るかもな、と思うけど、やっぱり二人の会話は凄く可笑しくて
喧嘩シーンはしびれるし、面白かった。満足~。

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『国境』(黒川博行/講談社文庫)

『国境』(黒川博行/講談社文庫)

詐欺師を追って北朝鮮へ。

疫病神コンビの第二作。出版社が違うなー。シリーズっていうほど
のことにはしてなくて、単発で時々書く、って感じなのかな。
舞台は前作から一年後あたりみたい。
年齢がわかった。この中では、桑原39歳、二宮36歳、悠紀ちゃんは
22歳。二十代半ば、後半?くらいに思ってたので、ちょっと若いなー
と思った。

そして北朝鮮か。。すごいところを舞台に選んでやってるなあ、という
のにまず驚いた。動けないでしょ?どうするのどうなるの。
でもちゃんと桑原は無茶してるし二宮はついてってなんとかしてる。
凄いなーと思った。
国境を越えるとか無茶だ。夜にうろうろしまくるのも。あああなんかもう
危ない怖い危ない怖いとひやひやする。
この本が出たのは2001年だそう。この文庫が2003年。北朝鮮の
事情なんかはテレビで見る程度のころしかしらない。著者は北朝鮮行った
のかなあ。行ってはないかな。参考資料いーっぱい。で、もちろんフィクション
なわけだけど。面白かった。こわかった。

桑原のむちゃくちゃっぷりがもうほんっとかっこいー!喧嘩しまくり。
こわい(笑)
今回撃たれたりいろいろ大変。でもやっぱりかっこいいなあ。二宮くんは
そりゃ巻き込まれて酷い目にあってるけどでももうちょっと心配して
あげたほうがいいんじゃないのか。めちゃめちゃ助けられてるじゃないか(笑)
このコンビは腐れ縁でお互いが疫病神扱いだけど、いいなあ。
自分が生きるために相手置いて逃げるっていうのもいいなあ。
共倒れになるほうが駄目だもんね。
二宮くんも一人のときにもがつがつ動き回るのがいい。面白いなー。
二人ともひたすら金、金のために駆けずり回る。命懸け。そこまで命かけなくて
いいんじゃないのかなー。でも男だねー。かっこいい。

話はかなりデカイことになって、金の桁もデカイことになって凄い。
本家筋が出てくるとそうなっちゃうのか。
桑原も二宮も末端、現場で苦労してます、という感じがよかった。
とにかく、生きててよかったよ。ラストもほろっとさせてくれちゃって、
うまい。
中川っつー刑事は今後もかかわってくることがあるかなあ。癖ありそうで
面白い。
やっぱり私は登場人物に惚れる作品がすきだなー。面白いっ。

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「短歌とあそぼう in SPBS」

2月17日金曜日。
「短歌とあそぼう in SPBS」というトークイベントに行ってきました。

『ひとりの夜を短歌とあそぼう』という、角川ソフィア文庫の発売記念
のイベント。穂村弘、東直子、沢田康彦の3名勢ぞろいということで
すごく楽しみに行ってきた。

会場、書店なのかな、ちょっと早めについても本を見てよう~と思ったら、
えーと、書店スペースを片付けて会場にしているようで、中に入れない。
しまった。寒い。雪?小雨?少し歩いてコンビニでホットな紅茶を買って
少し並んだ。

猫又、という、沢田さん主催の短歌サークル、のような感じのものを、
短歌のプロな二人のコメントで紹介。紙上ミニ歌会のような感じ。
『短歌はプロに訊け!』のライブバージョンだ~というのに感激です。

私が初めて短歌に興味もってあれこれ読み漁った最初の頃の本のうちで、
最高に面白かったのが『短歌パラダイス』と、『短歌はプロに訊け!』
だよなあと、やや感慨にふける。
本の中のことだったのに、今、生身の人たちを見てるーというのが
不思議。面白い。

お題「二人称を入れ込んで詠む」。猫又のプリントと、申し込みの時に
参加者からも短歌募集、としたもののプリントが配られていた。
あれ、短歌募集してたのか、というのを私は気づいていなくて、歌出さ
なかったー。しかしきっと出してもだめだったろうな、と思う。。。

で、沢田さん司会。
穂村さん、東さんのそれぞれの歌の読みのお話。
二人の読みの違いがすごく面白い。性差かなあとか好みとか、性格の違い、
みたいなことかなーとお互い話合いながら。そう違う二人の会話、間合いを
眺めるのが感激だった。

お題の「二人称」、あなたとか君とかいうのを入れる、となると、ほぼ100%
に恋の歌になっていて、ずらーっと人それぞれの恋の思いを読むのはなかなか。
すごいかも。
そしてやっぱり短歌として面白い、いい、ってなるのは、ちょっと変態的な(笑
格別な個人的な思い入れが強く出ているようなのがいいんですねえ。
穂村「優先順位がくるってるのがいい」「こんなこと書いたら変かなあ、という
ようなのが歌の種になる」とか、東「こんな素敵じゃない私、が出てきたらいい。
無意識が出ちゃうようなの」とか、うんうんというお話もあり。
何度も聞いてるしそーだと思うのに、なかなかうまくはいかない。
余白、とか。全部言わなきゃ、という気になってしまうんだけど、どこまでで
切るか、っていうことが大事なんだよなあ。むずかしー。
難しいーけど、やっぱりお二人のお話、沢田さんの司会も、親切で面白くて
みなさんプロですね。見に行けてよかったです。

終わってから、お買い上げの方にサイン、というわけでずらーっとみんな並ぶ。
さすが。
東さんのサインは小鳥のミニイラストつきでとても可愛い。
穂村さんが書いてくれた短歌断片は「永遠的なものの例として」で、
ああこれはうなぎのタレ。

楽しかったです。ありがとうございました。

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映画「ドラゴン・タトゥーの女」

*ネタバレしてるかも。

映画「ドラゴン・タトゥーの女」

名誉毀損で有罪になったジャーナリスト、ミカエル。仕事の依頼を受ける。
表向きは、かつての大富豪、ヴァンゲル一族のヘンリックの回想録を書く
という仕事。だが、ヘンリックが本当に依頼したいのは、捜査だった。
40年前消えた、16歳の少女ハリエット。一族の誰かが、彼女を殺した
と疑っている。

リスベット。凄腕のハッカー。調査員として好きな仕事だけをしている。
23歳。だか後見人がついている。精神的に障害があるとされ、財産の
管理が必要とみなされているのだ。
ミカエルの助手として調査をすすめる。二人が見つけた真相は、連続殺人
事件と引き継がれた狂気だった。

原作は読んでない。スウェーデンですでに作られている映画も見てない。
どういう話なのは知らずに見にいけた幸福。
2時間半くらいの上映時間かな。まったく飽きずひきこまれた。すっごい
かっこいい!

前々から予告見るたびにかっこいいなあ。見たい見たいとわくわくしていた。
今日もOPの音楽映像それだけで死ぬほどかっこよくってうっとり。凄い。
デビッド・フィンチャー監督。ミュージックビデオ出身なんですね。「セブン」
や「ゾディアック」のように、連続猟奇殺人事件みたいなのが監督自身好き
らしい。私も大好きだよ!!

ミカエルがダニエル・クレイグ。監督からまず太れといわれたよ、みたいな
インタビューを見たけど、あれで太ったのかなあ?まあ脱いだときには多少
ゆるんだ身体してる感じではあった。ふつうのおっさんのフリしよーとしてる
けど、かっこいいから!もー!もー!もーっ!すっごくかっこいいから!!!
眼鏡をかけたり外したりへんなとこにひっかけたりしててめちゃめちゃもえる。
なんかこー、普通のおっさんな感じなのにあんなにかっこいい、っていうのが
たまらなく好きなんだな私。ユアンくんが「ゴースト・ライター」で普通な
青年っぽくしてたのもたまんなかったしー。
特別かっこいい格好してるわけじゃなのに、ミカエルやっぱいい身体だしいい
スタイルで、何しててもかっこいい。素敵。素敵すてき。うっとりっ。惚れる。
モテるよそりゃ。惚れられるよそりゃ!ああ~かっこよかったああ~。

リスベットは、ルーニー・マーラ。ホント体当たり演技ってゆーか。ピアスの
あれこれほんとにあけたらしい。さすがにタトゥーはしてないかなあ。でも
脱いでるし、衝撃的レイプシーンも。
あのクソッタレ後見人っ。復讐されてたけどもっともっともっともっともっと
酷い目にあわせてやりたい。ほんと酷い。酷い。でもああいうのがリアル
なのかも、と思うとやりきれない。
虐待、って、あるんだよなあ。。。
リスベットがあのあとタトゥー入れにいってた。
勝手な想像だけど、なんかこう、酷い目にあうたびにタトゥーいれて痛みを
刻んでいるような気がしてたまんなかった。
もの凄いヘアスタイルだしピアスは痛々しい。でもきれいだ。強くてかっこいい。

スウェーデンとかって、性的に比較的なんでもありなんだろうか。
うーん。
北欧ミステリ読んだのは『特捜部Q』だけだけども、福祉大国とかおしゃれ
インテリアとかのこれまでのイメージとは全然違う感じが。まあもちろんどんな
国にも闇も痛みも狂気もあるよな。

原作だとわりと分厚めの文庫上下巻、なところを、ちゃんと映画一本で見せて
くれてて凄い。話の切り方、見せ方が上手いんだと思う。推理とか謎ときとか
私にはわーっとなっちゃって、はっきりよくわかった、とはいえないけど。
そもそも北欧の名前覚えられない。登場人物がわからんー。でも私はあんまり
気にならない。ひきこまれて面白く見た。

猫にゃんこが可愛くて可愛くて。ミカエルが、「猫ーっ!」と呼んでたのが
笑った。あんなに可愛い猫を。うう。すっごい可愛い猫にゃんこ。

ミカエルとリスベットの関係がなかなかきゅんとくるし~。リスベットが
最初は不信感あらわなのにミカエルに接するごとに面白がって好きになって
いくのがステキ。え、いきなりそこで寝る???と思うけど、まー、リスベット
はそういう人なんだなー。一応控え目に断ろうとするミカエルも可愛い。
結局やるくせに!モザイク!(笑)リスベットから見たら、まっとうな大人で、
なおかつかなり優秀、というミカエルみたいな相手っていうのは今まで出会って
なかったのかなあと思う。最初に倒れちゃった後見人おじさんはいい人っぽい
けど。
ミカエルを信頼する。大事な友達と思う、というのは切なかったな。
最後、あれは失恋、なのか。ミカエルのほうとしては、リスベットと恋仲に
なったわけじゃない、ってのは当然なんだろう。大人だし。しかしじゃあ
寝るなよ、と思うけどー。リスベットのほうから勝手にやってるって感じでは
あったけどー。切ないね。でもそうなんだろうなあと、とても納得だった。

原作でもああいう風なのかな。それとも二人の仲も進展していくのかなあ。
3部作というからには、映画もこの監督キャストでまたぜひぜひぜひぜひ
やってほしい。
なによりダニエル・クレイグのミカエルをもっと見たい。見たい。
銃弾がかすめての流血におたおたしてる、ボンドとかとは全っ然違う普通な感じ
なのがめちゃくちゃかっこいいミカエルをもっと見たい。
捕まってつるされて殺されかけなミカエルに激萌。せくしー。
凄くよかった。大満足。

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『疫病神』(黒川博行/新潮文庫)

『疫病神』(黒川博行/新潮文庫)

建設コンサルタントをしている二宮啓之。
主な仕事としては、建築現場でのヤクザ絡みのもめごとをうまく
サバクべく別のヤクザに解決を依頼する仲介をしている。
ある日頼まれた仕事、産業廃棄物処理場を作るにあたっての地権者
とのトラブル解決のための調査依頼をはじめたところ、襲われる。
何故?何者?裏には何がある?
なりゆきで一緒に行動することになった二蝶会の桑原とともに、
複雑に絡んだ利権の真相にせまる。

ってゆー感じかな。
ヤクザ、ゼネコン、ダミー会社、仲介者、権利者、けっこうあれこれ
あれこれいっぱい絡むので、親切に相関図みたいなのまで出てきたけど
(二宮がわけがわからなくなるのを自分で整理するためにメモする
シーンがあった)めんどくさくて覚えなかった。ま、そんでも最後には
大体はわかったと思う。
土建屋さんは怖いなあタイヘンだなあ。
ゼネコンさんは動かす金が桁違いすぎてくらくらくるわ。でもそれがリアル
なのかなあと思ったり。

で、末端の二宮なんかが割を食って痛い目見て駆けずり回ってわずかばかりの
儲けを得る、と。
すーっごい面白かった!

二宮と桑原、30代って感じでいいんだろうか。そこそこに場数は踏んで、
でもまだそこそこには若いって感じ。
巻き込まれて突っ込んでいってからはとにかく動きまくってて、読んでる
だけなのに、休めばいいじゃん、寝てくれよ、とまってくれ、と願って
しまった。凄い凄い勢い。
博打のシーン、何がどーなってる博打なのか、説明されてるけど私わかんない
けど、ぐわっと興奮する緊張感ある。
二宮はとっつかまってぼっこぼこにされたり、桑原強くてどかどかやったり、
でもがっつりやられたり、もーっそーゆーシーンもたまらん。面白いっ。
痺れるねえ。

なりゆきで相棒になってしまった、という二人の関係もすごくいい。
私はもちろん、もえーな妄想して凄い楽しい。仲間とか仲良しじゃ
ない、ともかく金儲け、っていうドライさと、そーであっても桑原は
二宮気に入っちゃったりして、凄くいい。かっこいいなあ。
強引でむちゃくちゃな桑原に振り回される二宮。とはいえ逃げない二宮。
かっこいいなー。
お互い相手のことを疫病神や、て言ってる。楽しい。
大阪なのも関西弁なのも楽しい。すごくいい~。
疫病神シリーズ、ってことでいくつか出てるみたいなので続けて読むぞ。
楽しいー!

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『半端者』(東直己/ハヤカワ文庫)

『半端者』(東直己/ハヤカワ文庫)

ススキノの夜を飲み歩いているまだ大学生の<俺>。
授業には出ないものの、高田に誘われてゼミには行く。北大学生ブランドを
生かして家庭教師をしている。
トランプ博打で日々の飲み代を稼ぎ、チンピラと揉め事を起こし、何故か
懐かれたフィリピーナとつかの間の恋に落ちる。

ススキノ探偵シリーズの前日譚、ということみたい。シリーズの本として
10作目かな。去年の映画化にあたっての文庫オリジナルみたい。
何故映画化されるからって前日譚が書かれてるのかはよくわからないな。
でも探偵や高田くんの大学時代ってどーなのよ、というのは興味あるし、
桐原とどう知り合ったか、というようなのはちらっと話しに出てきていた
とはいえ、そんなこんなをこうしてお話一冊読めるのはとてもよかった。
面白かったー。

<俺>はまあとにかく飲んでて、ボロかすに殴られて、埋められかけたり
タイヘン。あんたバカなのか、とか高田くんに言われるけど、もうほんと
バカだろ。何故そこで首をつっこむ。そんでやっぱり最初っから高田くん
に心配と世話をかけまくってる。なんなんだよモエるじゃねーか(笑

前日譚、というのはほんとにそうで、その後のシリーズで出てくる
<俺>の友人知人との出会いみたいなのがいっぱいで、あーなるほどー、と
すごく納得する。うんうん、と、友人の昔話を聞く気分。楽しい。
高田くんすっごいかっこい~。桐原もすごくいい。ケラーオオハタのマスター
が実に渋くさりげなくかっこよくって素敵。

甘く切ない、って文庫後ろ表紙に書かれてる通り、フェ・マリーンとの
ひとときって、ああもう、ため息しか出ない。甘いねえ。切ないねえ。
高田くんも切ないねえ。
アホだねえ。
甘く切ないというか、なんていうか。ほろ苦い。
やっぱり<俺>はなんにもできなくていつの間にか知らないところで
あれやこれや進んでいて、若くて勢いだけはあるけど何にもできない俺って
いうのはもうどうしようもない。
周りの大人がいいねえ。
愛されキャラだな、<俺>。
テンポよくて読みやすくて、説教もバカさも笑いも切なさも、泣いちゃう
感じもすごくよくて、堪能しました。

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映画「J・エドガー」(二回目)

ドラゴンタトゥーの女 を見に行きたいのに。早く見に行きたいのに。
今日が初日なのに。って自分でも思いつつ、水曜日からのドキドキときめき
がどうしても収まらず熱が冷めず頭から離れず。もう一回やっぱり見る、
と決めて行ってきた。

*具体的内容に触れてます。感想と言うか個人的妄想です。


「J・エドガー」

二回目なんだから少しは落ち着いて、細部までじっくりとー。
というつもりだったんだけどももうどうにもこうにも、クライドくんが
健気すぎて切なくて二回目でもきゅんきゅんで死にそうだった。素敵。

脚本家的には、絶対にカミングアウトなんかできなかった、自分自身にも
自分の気持ちを認められなかったエドガー、ということなのでは、と思う。
私はそれに反応しまくってしまったんだと思う。過剰に。

二回目なので少しは冷静に。
監督的には、やっぱり、老い、ということの映画なのかなと思う。
晩年のエドガーの口述によっての回想。
若き日と、老人の日と、めまぐるしく時間は行き来する。くっきりと見える
のは、老いた彼の痛々しさ。醜い。独断。傲岸不遜。自分だけが正しい。自分
だけが国家を守る英雄になろうとする。
確かに彼がつくり上げたFBIは必要なものだし、科学捜査の先鞭をつけた
行動力は素晴らしい。
独断も横暴も、実際国家安全のために必要だったこともあっただろう。
しかし時代の変化や、自分自身の衰えをかたくなに認めないエドガーは
あまりにも痛々しい。

エドガーはもちろんながら、ヘレンも、クライドも、メイン三人の老けっぷり
素晴らしい。
ヘレン、老人になってもうつくしかった。きりっとしてて。
エドガーのプロポーズ断ったあと、よくまああんなに長く忠実な秘書でいられ
たなあと、それも不思議だった。彼女も実は同性愛?と勝手に邪推。
秘密を守れますか?結婚に興味はなくて仕事第一なんです、って。それは
秘密にしなきゃいけないようなことなのかな。時代的には女性の自立って
まだ変人扱いってこと?うーんでも。結婚しない、とあの若さにして断言
してたりするのって、何かあったのかなあ、と、思う。全然わかんないけどね。
彼女の私生活はまったく出てこなかった。女性を排除した映画だったなあと思う。

そして誰も信じられないでいるエドガー。あまりにも孤独。
だれよりも忠実なクライドにさえ悪態をつく。ヘレンにさえ試すようなことを言う。
なんて酷い男。なんて酷い老人。
それなのに、なんて切ない男。

幼いエドガーに、母は特別よ、と囁く。あなたが一族の繁栄を導く。
母親は、えっとー、あれは厳格なクリスチャンってことなのかな。宗教的な
ことが私にはあんまりわかんないんだけれど。
ともかく厳格に、男らしく、立派に、自慢の息子になるべく育てあげたのね。
吃音を治すよう強制。まあ、それはそれでいいのかもだけれど。
たぶん女装にひかれるような傾向が見えたことが幼少期にあったのかな。
それを絶対にダメ、そんなやつは死ね、と、決して認めない。
エドガーのほうも母の期待に応えることを何よりの目的にして育ったみたい。
自分でもそれが誇らしいのだ、と、自分に思い込ませ立派に強く、強くあれ、
とひたすら言い聞かせながら。
なんて苦しい。
あるべき自画像を自分で描き、英雄になりたがり、ほんとうはそうじゃない
自分を感じながらも自分で決して認めない。
なんて哀しい男。

ディカプリオはさすが上手くて、喋り方とか母が亡くなったあととか、ほんと
熱演だったと思う。
虚勢はりまくりの厭なひどい怖い長官なところと、母の息子である小さい子ども
みたいなところと、クライドの前で思わず脆くなってしまうところと、たくさん
ギャップありまくりで私もえ死んだ。

クライドくんは、自分はゲイってことを自分でも認めてる男。でもどうして、
あんなに酷いエドガーを愛しつづけられるんだろう。あんなにそばにいられ
たんだろう。
健気すぎる。切ない。可愛い。かっこいい。
紳士だよなー。
ブチ切れて押し倒してキスしたら、もうちょっとやっちゃわないか?
んーでも怒ってるから離れるか。でもあの時エドガーも脆くなってて、
でも怒ってたから、うーん。
いいスーツ着て、すらっと見栄えよくて、もの静かで落ち着いていて。
エドガーのむちゃくちゃをなんとか多少中和するように苦労しまくった
だろーに。彼なりのプライド。エドガーのパートナー。凄いなあ。
どうしてあんなについていけたんだろう。やっぱり愛かな。愛だろうな。
なのに悪態ばっか言うエドガー。それでも、卵割ってあげるエドガー。
じーさんな二人のよりそい方はじーんとくる。
あんな長い時間、一緒にいたんだなあ。クライドくん健気。
僕にだけは嘘をつくな、と言える強さ。
自分の愛を自分の中の脆さを認めないエドガーを、クライドは認めて
許して愛していたのかなあ。強いな。
二人のときには親密に穏やかに、愛する時間があったのかなあ。あったら
いいなあ。切なすぎるよ。

私、なんでこんなにもひきつけられたんだろう。
同性愛的シーンあるらしい、とは知ってたけど、前宣伝的には、フーバー長官を
描く、みたいなことでそういうシーンのことは触れられてなくて、まー同性愛的な
ことってほのめかし程度なのかな、と思ってたのに、どっぷりがっつりJuneな味わい
でびっくりしてしまったこと。
それがほんとうに、「アナザー・カントリー」以来か、ってゆーくらい、苦悩と
切なさいっぱいなのに参ってしまったこと。
ディカプリオはやっぱかっこいーし。
そしてやっぱり映画づくりとしてとても淡々と突き放しているので、私のほうが
ぐっとのめりこんでいってしまった。
そしてさらに、人が老いていくこと、というずっしりくるところを見せつけられて
老いとかのテーマを他人事じゃないほどずっしり感じるほどに自分も年をとって
いて。単純にもえたーかっこいー♪じゃすまない作品だと思うからかなあ。

二回目なんだから少しは冷静に。と、じっくり見たんだけど、最後には本当に
泣けて泣けて涙がとまらなくて、エンドロールが終わってもまだとまらなくて。
でもいっぱい泣いたので、少しは熱も流れた気がする。落ち着け私。
はまったなあ。
いい映画だった。

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映画「J・エドガー」

ネタバレっていうのかな?具体的中身について触れます。
私個人の妄想爆発の感想です。

映画「J・エドガー」

FBIをつくり上げ、48年間その長官として君臨した男。
大統領にも怖れられた男。自らの思う「正義」のために法さえも捻じ曲げる男。

クリント・イーストウッド監督、レオナルド・ディカプリオ主演。

脚本がダスティン・ランス・ブラック、という人。ぐぐってみてたら
映画「ミルク」の本書いた人でもあるみたい。なるほど納得。ウィキに
よるとそっち方面の活動なんかもしてるみたい。もの凄く納得。

映画の評判としてはあんまりはよくなさそうな感じ。結局アカデミー賞に
ノミネートすらなかったねえ。ディカプリオ残念。。。すごい演技してると
思うのに、何がダメでノミネートすらなしなんだろ?まだこういうのタブー
なの?赤狩りみたいなこととか?事情は全然わかんないし、単純に映画として
デキが悪いみたいなことなのかもしれないけどな。

私にとっては、素晴らしく極上のJune映画を見た!という満足感いっぱい!
BLじゃないよ。古典的ジュネテイストって思った。

晩年のエドガーが、自伝を書かせるべく口述する。そこで、時間は過去に。
そう、時間がいったりきたり、あっちこち飛んで、エピソードは断片的。24歳
くらいから、70代?その死までの長期間を一本の映画にしてるんだからそれぞれ
の事件を詳しく描いてはいない。
キング牧師を脅そうとしてたり、ケネディ暗殺に絡んでるのか?とか、リンドバーグ
幼児誘拐事件だとか、まーもの凄い事件の数々が、ごく断片的に語られる。
エドガーの主観で。
エドガーは口調は激しくもなるし、傲慢で強引で不遜ですごい厭な奴で怖い奴。
だけども映画全体の調子はとても淡々としていて突き放している感じだった。

FBI長官としては自分をよく見せようと嘘に近いほどの誇張を言い、手段を
問わず捜査を推し進め、国家の安全のためだ!という主張をふりかざす。
しかし個人としてのエドガーは、母の自慢の息子でいたい。吃音を必至で克服し、
女々しいなんて絶対ダメ、と母の禁止のもとに育ち、母の期待に応えようと懸命だ。
3回のデートでいきなり結婚を申し込むものの、断られる。彼女は忠実な秘書に
なるけれど。女性とダンスなんてできないしたくない、と傷つくナイーブな男。

大学の後輩にあたるクライド・トルソン。
お互いに一目惚れだったのかなあ。クライドのほうとしては憧れの有名人な先輩?
エドガーは、一目惚れかなあ。
じーさんになったとき、面接にきたきみが必要だと思った、というような告白に
うるうる泣いてしまった。

休暇を一緒にすごそう、と、競馬を見に行って、スイートに一緒に泊まって。
キラキラおめめのクライドくんに、愛してる、と言われたくせに、下品な女優に
プロポーズしようかと思う、半人前扱いされるのはごめんだ!みたいな話をする
エドガー。
そりゃあクライドもキレるよ!
殴りあい!そしてキス!
きゃ~~~~!!!
あのシーンには心臓うちぬかれた。キュンとしすぎて失神しそう。極上のキスシーン。
名シーン。素晴らしいっ。
その後のエドガーがまた可愛らしくてワタシもえ死にしそうだった。
離れたクライドに二度とするな、って言って。
でも出て行こうとするクライドに行くな、っていって。だって、まだ競馬があと一日
あるし、ってぼそぼそ言って。
クライドは二度と僕に女友達の話をするな、っつって出ていくんだけど、彼がいなく
なってから、愛してるクライド、あいしてる、ってつぶやくエドガー。
そのディカプリオがたまらない。
ああディカプリオはやっぱり美少年で美青年で美中年美老年になるよねえ。
あんな顔ができるんだもん。
もしクライドがそこにいたら、うむをいわさず抱きしめ押し倒してやっちまうぞ。
絶対。

母の自慢の息子でいたい。
時代的にも同性愛であることなんて認められない。あの権力の場にいるんだから
バレたら絶対に終わり。
自分の愛を、絶対に自分で認められないエドガー。
そんな彼を愛しつづけるクライド。
クライド、なんでそんなに愛しつづけられたんだろう。ふたりっきりのときには
親密ないろんなことがあったのかなあ。晩年、老人の二人は二人でいることが
とても自然な風になっていて素敵だったものね。

この映画は、FBI長官を描いたのではなく、同性愛がタブーであった時代に、
深く愛し合あう相手とめぐりあいながらもその愛を自分で認められない、どうしようも
ない男を描いた映画だと思う。
なんて切ないラブストーリー。
ありがとうディカプリオ。素晴らしかったよ。

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『スティーブ・ジョブズ』1、2(ウォルター・アイザックソン/講談社)

『スティーブ・ジョブズ』1、2(ウォルター・アイザックソン/講談社)

体験談を一つ。
私がMacに触れたのは、iMacが出た時です。
最初のiMac。ころんとしたおにぎりみたいな。スケルトンな。骸骨みたい、
と思った形。何これ!?欲しい!と、飛びつきました。喜んで踊らされた
消費者のひとりでした。
パソコンを初めて買ったのはウィンドウズ95だったけれど、iMacを見た
時の鮮烈な感動を今もはっきり覚えてます。

って、ちょっと真似っこ風に書いてみたけど。
その後それほどマック信者になるってほどのことはなく、それでも
長いこと自分で使うのはマック、会社ではウィン、みたいな感じでいて、
今はウィンドウズのを使ってて、マックのものってipodしか持ってない。
それでも、マックの製品ってすっごいなーきれいだーかっこいい!という
思いはずっとある。でも最近は使える気がしない。iクラウドとかえーと
えーと、アップルの出してくる概念に私が全然ついていけなくなってる。
頭が錆付いてるー。凡庸な消費者としてもダメになりつつあるかと焦る(^^;

ジョブズのことについて何も知らなかったので、この伝記を、とても
面白く読んだ。ジョブズのことを知らなくても、アップルの動向、製品、
ピクサーがトイ・ストーリーを、とか、ジョブズが生み出してきた製品、
仕事については何も知らない私でも知ってる、ということが多い。
読みながら、あの製品が生まれるまでにこんなことがあんなことがあった
のか!大変!凄い!怖い!と、かなりリアルタイム気分でドキドキした。

ジョブズがもの凄い人だというのがよくわかる。
もの凄い天才。
独裁者ー。苛烈ー。怖いー。
それでも、彼でなくてはなしとげられなかった、もの凄い製品の数々。
世界を変えないか、という誘惑。それをほんとうに成し遂げちゃう力。

現実歪曲フィールドとか面白い。
ジョブズの魅力であり魔力。どんなマンガのキャラ設定なんだ、と、
ただただ圧倒されるしかない。
もの凄くつきあいづらくて、意地悪で嫌味で人の気持ちがわからないわけ
じゃないのに容赦なくて。そのへんたまんない。その気になればとても
魅力的になれる、っていうことが書かれていて、あー悪魔ーと思う。
魅力的になれるときに誰も逆らえないとかね。ステキすぎる。。。
あっちこっちと喧嘩しまくったりとか、面白いけど、周りの人間はどんだけ
振り回されて大変なんだろうとか思うと、関係ないのに私の胃が痛む思い。
こわい。。。

ソニーだって、コンテンツを持ち、メーカーであったのに、何故失敗して
しまったんだろう。
この本の感触でいう限りでは、そこにジョブズがいなかったからだ、と思う。
残念だな日本。。。

アップルはモノを売る会社じゃない。体験を売る。
もの凄いモノを作り出し、それを使い楽しむ人生の時間を売る会社。
ガレージから生まれた時のままの精神を、ジョブズは奇跡的に維持してる。
世界企業のアップルがガレージで動き出した時の身軽さを維持してる。
凄い。
ジョブズはアップルが大好きで、アップルに凄いものを作らせたくて、その
モノを自分で大好きでいる。
やっぱり大好きじゃなくちゃ、大好きなことをやらなくちゃ、本物には
なれないのね。
ビル・ゲイツとのかかわりとか、最後には少し穏やかになって、という辺り
じーんときた。本当に本当に本当に、彼らにしかわかりあえない思いがある
のだろうなあと思う。反発、戦い、喧嘩も理解も、文字通り世界を変えてきた
時のトップの思いってどんななんだろうなあ。全然タイプは違うけれどだから
世界に多様性がある、と思ってみたり。憧れる~。

間違いなく世界に天才という人間がいる。
それは素晴らしい人間じゃないなあ。天才は天才。凄いんだな。

CEOをやめる、というニュースが出た時のことも覚えてる。2011年8月。
死のニュースが流れた時のことも覚えてる。2011年10月。
私はてっきり、引退してから病気治療に専念、ということなのかなあと思って
いて、死が、そんなに早いなんてまったく思ってなかった。本当に驚いた。
この本はその死の直前で終わっているけれど、死、のことを知っている。
アップルとともにあった人生、か。
最後の方を読んでいるときにはぽろぽろ泣いた。読み終わっても泣いた。
天才って、凄いね。

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『特捜部Q―キジ殺し―』(ユッシ・エーズラ・オールスン/ハヤカワポケットミステリブック)

『特捜部Q―キジ殺し―』(ユッシ・エーズラ・オールスン/ハヤカワポケットミステリブック)

コペンハーゲン警察本部の地下。
夏の休暇が終わったカール・マーク警部補は、積み上げられた書類に向き合った。
アサドが次に興味深い事件だ、と渡してきたファイル。二〇年ほども昔の事件。
十代の兄妹が殴り殺された事件。
犯人として自供してきて捕まった男はいるが、他にも犯人がいる。そしてもっと
何人もの被害者が、いる。

今はエリートとして成長したかつての寄宿学校での仲間たち。
仲間割れして復讐者となった紅一点、キミー。
カールが彼らを追い詰めていこうとする地道な捜査と、復讐に燃えるキミー
の動きと、エリートとして狂気を秘めたままうろたえる男たちと。

最初の方はなにがどうなんだかわからず読むのがもたもたしてしまうんだけど
終盤、最後には息をつめてハラハラドキドキ。怖い痛い怖い怖い。カールも
アサドも大変な目にあって、キミーも凄くて、読み終わった時にはため息。
ぐったり。
話の加速度具合がすごい上手い作家さんなんだなと思う。

アサドには秘密があるみたいなのがちらちらされるけどまだわかんないし。
ハーディをどうするんだろうとか、カウンセラーのモーナとカールはなんとか
なるのかならないのかどーなの、とか。新しくきた秘書のローセもいいキャラ
してるなーとか、登場人物の魅力も十分。続きも読みたいなあ。
カールのそもそもの事件、アマー島での襲撃のこともいずれなんとかなるの
だろうなーと、期待。

キミーが、めちゃくちゃ酷いと思うのに、最後の最後には泣かされちゃって
そういうのも上手いなあと思う。キミーなんて最低最悪なのに。酷いのに。
復讐される側も十分酷い最低最悪なやつらだからなあ。
そんでやっぱり、名前がピンとこない。どの名前が女性なのかもよくわらかん。
デンマークかあ。地理的なことも全然ピンとこない。なんとなく北欧って
素敵家具とか素敵イメージだけど、ま、犯罪だってあるよね。
次も早く翻訳、出版お待ちしてます。

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