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『わが告白』(岡井隆/新潮社)

『わが告白』(岡井隆/新潮社)

第一部 日記は事実よりもつよい 2009年8月。
第二部 愛の純粋と生活 2009年10月―2010年2月
第三部 <虚栄の市>のなかの生 2010年3月―8月
第四部 運命を抱きしめて 2010年12月―2011年7月

日本を代表する大歌人には語られざる過去があった。
男女の愛とは何なのだろうか―。

という、なんかすごい帯がついててドキドキする。そこに写ってる
岡井隆の影を強調したような顔写真も凄い素敵だし。黒い本銀のタイトル。
ときめくー。

日記めいて日付のある文章。
詩となっている文章。
思考をそのまま書き写しているかのような文章。
日経での「私の履歴書」の連載には書かれなかったような、「私」の
ところのことを書きませんか、というような依頼があったそうだ。
そして過去を思い出し、書こうとし、罪を思い、思い出すのがイヤで
書くのがイヤで、というそのままの言葉が文字になっていてドキドキ
する。そんなにも辛く苦しむのか。
ならばやめてしまえばいいのに。
でも書く。
何度もやめてしまおうとしている。やめてしまおうという心を書いている。
どきどきする。
こんな懊悩を苦しみを思い出したくないとぐずぐずしているところを
覗き見て読んでいるような気がする。

語られざる過去、を、覗き見るというよりは、過去を思って苦しむ今の
岡井隆の姿を見る本だと思う。
どきどきする。

最後は震災時のこと、その後のことの文章で、その立場のあらわしかたや、
考えの変化、変わらないところ、の様子がよくわかる。
すべて機会詩なのだ。
と書いているのが凄い。とりつくろわずむき出しにその時の言葉を出して
きているんだと思う。
あ、もちろん言葉表現修辞日本語の達人なわけで、むき出しに、というのは
ありのままの率直な、ということじゃない。どんなにそんな風に見えても
見せてきていてもほとんど呼吸するように凄い文章を書ける人なわけで
もうほんとうにどきどきして読む。かっこいいなあ。素敵すぎる。

個人的に前々からファンです好きです大好きですせんせい。と思って
いるので、実際のところ何も知らずにフツウにこの本を読んで面白いのか
どうかは私にはわからない。
天皇陛下や美智子妃や、皇室の方々への歌についての話だとか、皇室での
行事ごとなんかのお話は単純にそういうことをやってらっしゃるのか、と
面白かった。美智子妃のことはもう誰もが好きになってしまうんだなあと
思った。そりゃそうか。天皇陛下にしろ美智子妃にしろ、間違いなく日本一
の知識人であり教養人だろう。

医師としてのこと。歌人としてのこと。戦時下の学徒としての工場労働など。
もの凄いエリートなのは間違いないだろうに、ご本人としては落ちこぼれて
失敗も多くダメ人間だ、と思っているようなのも凄い。
これまでいろいろ聞いたことのある話もなんとなく知っている過去のあれこれ
だったりだけれども。
これを書こうとして苦しむ、これを書いている今の岡井隆をリアルに
感じられて凄かった。
どきどきです。
大好きです。

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