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『象られた力』(飛浩隆/ハヤカワ文庫)

『象られた力』(飛浩隆/ハヤカワ文庫)

中編小説集、かな。四編。

 デュオ
 呪界のほとり
 夜と泥の
 象られた力

「デュオ」は、双子の天才ピアニストと調律師の話。
双子といっても、デネス・グラフェナウアーとクラウス・グラフェナウアーは
腰から下が一つ、の繋がった双子。聴こえず離せない双子。会話は手話。
そして見えない秘密の三人目、が、いる。
双子の求める音をつくりだす調律師、イクオは双子の秘密に気がつき、やがて。
ちょっとミステリめいている感じ。反転。反転。
ピアノ。音楽。双子。テレパス。めくるめく感覚。すごく面白かった。

「呪界のほとり」魔術めいた力があたりまえの呪界からおっこちてしまった
万丈。それを助けた放浪の哲学者パワーズ。竜のファフナー。ドタバタが
あったりして、かなりユーモラス。これはマンガになるなーという感じ。

「夜と泥の」宇宙に進出した人類。さまざまな星を地球化、する協会。
ある星のある場所に見える少女の幻。恐怖と幻想の世界。

「象られた力」開発してゆく星々の話。
たった二日で、原因不明のまま消えた星、百合洋<ユリウミ>。その文化で
あるエンブレム、図形。シジックで流行っている図形の力。見えない図形を
つきとめるよう依頼された圓は、図形の秘密をさぐるうちに隠された力に
気がついてしまう。
図形。力。そのぐるぐるする感覚が凄い。圧倒的なパワー。圧倒的にうつくしい。
くらくらする。世界が反転する感覚。
これは小説だからだなあと思う。どんな映像になったところでこの圧倒的な
イメージの奔流に比べたら陳腐になるだろう。百合洋のエンブレムの力は
こうなのか、と、言葉の力を思う。凄いよなあ。

この著者の言葉やイメージ、つくりあげる世界は圧倒的にうつくしくて
くらくらする。凄い。
この文庫の発行が2004年。発表は85年あたりから90年代初めくらい。
『グラン・ヴァカンス』で復活、とおいう感じみたいで、デビューは83年
だそう。ほんと寡作で、時間かかって、知る人ぞ知る、から、復活!とはいえ
やっぱりまた長い時間待たされて、ということみたい。
でもこの世界だもんなあ。じっくりほんとうに、たっぷり時間かけてくれて
いいよ。と。ファンは納得して待ち焦がれるしかないんだろうなあ。
空の園丁(仮)、が、もうこの時にも楽しみだ、と書かれていて、えっとー、
それから七年すぎてるわけか。すごいなあ。
待ちますよー。書き上げてくださいね。

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