« 『ピグマリオンの冷笑』(ステファニー・ピントフ/ハヤカワ文庫) | Main | 『ラーメンと愛国』(速水健朗/講談社現代新書) »

『リトル・ピープルの時代』(宇野常寛/幻冬舎)

『リトル・ピープルの時代』(宇野常寛/幻冬舎)

ビッグ・ブラザーの時代は終わり、今、リトル・ピープルの時代。
偉大な父は居ない。今、我々自身が小さな父として判断する時代。
世界の<外部>はもうない。グローバル化しネットワーク化し、
世界にあるのは<いま、ここ>。
革命ではなく内部に潜ること。ハッキングするように変えていく。
虚構の時代の後の新しい<反現実>は、<拡張現実>だ。
今ここの世界を多重化してゆく拡張現実。リトル・ピープルの時代は
ハッキングすることで世界を変える<拡張現実の時代>だ。

というような感じのこと。前半は村上春樹の作品を元に、その後は
ウルトラマン、仮面ライダーというヒーロー作品を元に。
ビッグブラザーの壊死と、その後の現在、リトル・ピープルの時代を
描き出している。
ウルトラマンがビック・ブラザーの時代で仮面ライダーがリトル・ピープル
の時代、というわけ方とか、すごい分かりやすくて面白かった。
村上春樹の限界と失敗。リトル・ピープルの時代を捉え損ねていること、
それを描き出したのが平成仮面ライダーの作品群。
平成仮面ライダー、大体見てるんだけど、まあ日曜の朝のことではあるし、
ご飯とか作ったり食べたりしながらぼさーっとしか見てないので、
あんまり細々は覚えてなくて。たまに見逃したりもしてて。
平成のライダーたちは何を戦っているのか、何と戦っているのか、なんか
わからん。。。と、ついていけてなかったところが、この本読むと、
へー。なんかなるほどー。と、ちょっと分かった気がした。
な、なんか、そんなにも時代を映す作品だったとはー。

で。だとしたら今のフォーゼはどう読み解くんでしょうね。
懐かしアメリカン青春学園ドラマをなぞっているこのノリの仮面ライダーは。
ということを気にしながら次回からライダー見ようかな。

「父」の物語。父をめぐる物語?
「父」というキーワードの頻出してくる本でもありました。ビッグ・ブラザー
やら春樹やらヒーローやら、なるほど「父」の概念かな。
んでも、最後のあとがきで、個人的思い出の父のことはなんか辟易。いやまあ
著者ご本人にとっては大事なことだというのはよくわかりましたが。
この本は批評つーか評論つーかなんではないのかなあ。そういうのに個人の心情
はいらないよ。と思うのは私の勝手な思い込みだけど。もうちょっとドライに
論じてくれないだろうか。と思っちゃうので、あとがきは読まないほうが私は
よかった。。。

3.11の震災によって書き直しをして書き上げられた本だ、ということだけど、
それもなんか余計なことな気がする。
時代分析とか作品分析とか、それらは震災前のものを書いているのだから。
この本書いた心情として3.11のことが大きかった、というのは著者としては
まあ大事なんですねというのもわかるけど。やっぱり私個人としてはそういうの
いらん。
なんか。若いわね。甘いわね。というのが最後の読後感として残るよ。
震災後の日本。東京。日常と非日常。そのことはよくわかるけど。それまだ
なにひとつ語れてないんだから。

そんなこんなで、ちょっと個人的には辟易してしまう余計なことが気になった
けれども、春樹、ウルトラマン、仮面ライダーの分析、解釈は面白かった。
『ダーク・ナイト』も。
『1Q84』は続編出るのかなあ。村上春樹はどうするのかなあと気になる。
今個人的関心として、ピングドラムが気になるので。かえるくんはどうしてる
かなあ。どうなるのかなあ。

|

« 『ピグマリオンの冷笑』(ステファニー・ピントフ/ハヤカワ文庫) | Main | 『ラーメンと愛国』(速水健朗/講談社現代新書) »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 『ピグマリオンの冷笑』(ステファニー・ピントフ/ハヤカワ文庫) | Main | 『ラーメンと愛国』(速水健朗/講談社現代新書) »