『ライト・グッドバイ』(東直己/ハヤカワ文庫)
『ライト・グッドバイ』(東直己/ハヤカワ文庫)
退職した元刑事、種谷からメールが届いた。
行方不明になった女子高生をおそらく殺したであろう男がいるが、
警察側としては物証なしに身動きとれない。
その男と友達になって、うちに入り込んでみろ、という頼みだった。
ススキノ探偵シリーズの8作目かな。
アンジェラという天使のように可憐な元男、元自衛官。元レンジャー
と知り合うのはここからか。
なんと高田くんと実力を試しあう試合(?)のとき、熱いキスを!
かわしているじゃないですか!きゃ~。嘘~!高田くん~!もえた。
別に恋人同士になるってほどのことはなかったようで。そっかー。
まあとにかくきれいな人なのねというのはよくわかった。
そんなこんなで、この話の中ではそこそこ高田くんの出番もあり満足。
高田くんとかっつっても高田も50のおっさなわけだよなあ。でも
かっこいい。高田くんのお店すごく居心地よさそう。常連になりたい。
松江華さんと出会うのもこの作品からか。
ほんとに一瞬の登場だけど。
その、容疑者である男。小椋、と名乗る男。
普通なら絶対に絶対に<俺>は一緒に酒を飲んだりしない。生理的嫌悪感
を抱くような相手。小心者で嘘つきで下品で相手によって態度をころころ
変えてとにかくイラつく相手。
メールうざいし。親もおかしい感じで。その親子関係も気持ち悪いし。
友達いないんだ。友達友達、と、一方的に盛り上がって不憫だったりする
のもイラつくムカツク。自分ばかり正当化。悪いのは他人。哀れなのも
ムカツクー。
ほんとーにこいつが読んでいてこっちも大嫌いになっちゃう気持ち悪い奴。
変態でも許せるというか、好きになれる変態とひたすら嫌悪な変態と種類
が違うよね、とつくづく思う。
つまりこんなにこいつダメだ。。。気持ち悪い。。。と思わせる東直己の
手腕かなあと思う。とことん厭なやつとか気持ち悪いとか不気味とかの
登場人物出してくるね東直己。人物造形面白い。
どうにもイライラしつつもぐだぐだしつつも、で、決定打のないままに、
罠を仕掛けても空振りになったり。死体愛好マニアのパーティのふり、の
シーンが素敵だった。アンジェラの魅惑のテクニック。
でも結局、檜垣の側が勝手に崩れて事件は解決に。
探偵、何をしたのかよくわからないなあ。
と、このぬるい感じ、が、作者による緻密な計算のたまもの、ということ
らしい。解説によると。
そうだなあ。
すごく面白かった。
ラストの会話も素敵だった。ライト。どっちなんだろうね。
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『パーフェクト・クォーツ 碧き鮫』(五條瑛/小学館文庫)(2020.12.12)
- 『遠い声 遠い部屋』(トルーマン・カポーティ/新潮文庫)(2020.12.08)
- 『四月の雪』(古川順子/砂子屋書房)(2020.12.05)
- 『歳月の庭』(加藤ミユキ/ながらみ書房)(2020.12.04)
- 『亀さんゐない』(池田はるみ/短歌研究社)(2020.12.03)
Comments