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映画「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」

映画「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」

グレン・グールド。1932年、カナダ、トロントに生まれる。
神童といわれ、14歳でピアニストデビュー。55年にアメリカで
レコードデビュー。『バッハ:ゴールドベルク変奏曲』は話題を呼び
ベストセラーとなる。
コンサートを嫌い、独特なスタイルが評判を呼ぶ。
美しき天才ピアニスト。

この邦題はなんかどうかと思う。
ミーハーなものでうっとりしに見に行ってきた。ドキュメンタリー。
グールドの映像いっぱいあるんだね。写真も。ほんと美少年。美青年。
繊細な。長い指のきれいな手。寒そうに手袋をしてコートにマフラーに
大事な脚を短く切った椅子を抱えて。
んでも、若い頃はふつうに会話も明るいし気さくに話しているようだし
コスプレもしてたり。
交流があった人々のインタビューがたっぷりで、恋人なんかも語ってた。
まあ、結婚向きって感じはしないよね。
でもいいなあグールドの恋人。
でも大変だろうなあグールドの恋人。
仕事で一緒だった人たちも、大変だったろうなあ。完璧に納得いくまで
やるグールドと一緒にやるのは。でも魅せられるんだろうなあ。

写真や映像を撮られることは気にしなかった。
演奏を始めればそれに集中してまわりのことなんかどうでもいいみたい。
鼻歌うたうよりもらくらくとピアノをひきこなす。ぷ、プロのピアニスト
ならああいうもの?それともやっぱりあれは凄いのか?ともあれ音楽に
なんも詳しくない私の目から見るとあの演奏とピアノのひきこなしっぷり
は凄すぎるーと感激。うっとり。うつくしい手。うつくしい音楽。
おっさんになってちょっと髪の毛がさみしくなってきてもやっぱり素晴らしく
かっこいい。そして後姿が多くて。孤独。
誰もに愛されたろうけれど、彼の孤独。彼の天才。特別な存在。
天才はいるんだなと思う。

バーンスタインとの共演、しびれるー。
バーンスタイン、あれはでも賛辞なんじゃないの。新聞だか音楽評では
酷評されたりしたらしいけど。ソリストと音楽の解釈は違います、と演奏の
前にわざわざ断ったバーンスタイン。私の音楽とは違うけれど、特別な
相手、グールドだから自分をまげて彼に従う演奏をする、とコンサートの
前に話す指揮者なんてね。もの凄い。その場で聞いた観客が羨ましい~。

ラジオ番組づくりに熱中したり。テープをきりはりして。
今、グールドがいたら、絶対にコンピューターで音楽つくったよねえ。
録音技術、メディアの発達した時代に生きていてくれてよかった、と思うけど、
今生きていてくれたらどんな音楽をつくりだしてくれたのだろうと思う。

クラッシックの常識破り。斬新な音の解釈。誰かがインタビューで、
グールドは作品をのっとって自分の色に変えてしまう、と言ってた。
解釈をつきぬけて向こう側までいってしまう、というようなことを。
かっこいい。
バッハのよさを台無しにしてしまったかも。でも、バッハが思いもよらなかった
ようなバッハの作品の一面を聴かせてくれるって、それはやっぱりバッハと
対等に向き合うほどの天才だったんじゃないかな。
って、音楽なにもわからない私の勝手な思い込みと印象だけど。

五〇歳で死ぬ、と言っていて。ゴールドベルク変奏曲を再び録音して。
そして間もなく実際なくなる。きれいに。哀しいけれど。特別な存在だった
という証のように、後世の私は思う。天才はやっぱり、たまにいるんだね。
うっとりでした。

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