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東京マッハ vol.2 10月29日 阿佐ヶ谷ロフト

東京マッハ vol.2 10月29日 阿佐ヶ谷ロフト
「あさがや国内ファンタスティック俳句祭」。
出演:池田澄子、堀本裕樹、長嶋有、米光一成
司会:千野帽子

行ってきた。
あくまでも私個人の感想日記です。レポートではありません。
メモとったりしたけど、あくまで個人の主観。事実の間違いがある可能性あり。

池田澄子さんは、俳句のことを全然知らないころにも
なんとなく名前覚えた俳人。今も俳句のことは何も知らないけど。
軽やかな印象。で、どんな素敵な方だろうかと、今回わくわくで
張り切って前の方へ座った。
しかし今回も場所狭いー。丸椅子一個がきゅうきゅうに並べられている会場
に呆然。また1ドリンク制だった。今回はドリンクとれた。でもそのドリンク
も、これどうするの。床に置く?な状態。みなさんどんどん飲んで食べて
くださいね、って壇上から言われたけど、あの状態で何を飲み食いしろと
いうのか。。。ヒドイわーと思う。三時間あまりかな。あの丸椅子では
私にとってはきつかった。。。すごい面白かったーと思うけど凄い疲れた。。。
やはりナウなヤング向けの企画なのか。。。客層わりと若かったですね。

とまあ愚痴はともかく。
面白くて何度も笑ったし楽しかったです。ぐだぐだな仲間内句会を見る感じ。
でもぐだぐだな風でありながら、壇上のみなさんはそれぞれに違う個性を
発揮して話しもすごく面白いし、上手いし、全員がプロ!だと思う。
会場全体をぐだぐだ楽しい句会に巻き込むパワーがあるなー。
ほんとにぐだぐだしてるわけじゃない。
千野さんは司会かつ自分も参加者というのをうまくこなしていたし、
コロコロ態度を変える長嶋さんの話しのタイミングもコメントも絶妙。
凄い面白い。米光さんは自由度がぶっちぎりな気がするし、堀本さんは
控え目でありながら決めてくるー!
池田さんはイメージどおりとってもチャーミング。出演者全員のラブコール
を一身に集め、にっこりしつつも余裕であしらう感じ。余裕!
当然大御所で他の出演者とは俳句歴も全然違うのにそんな風にはしてなくて
その場を楽しんでる感じ。素敵だな~。

最初は壇上でみんなが選を言う。特選2点、並選1点、逆選、で、一番点を
集めたのが5点。あと4点、2点、1点。
4人が点入れたのがあって、自動的に作者わかっちゃったのが、池田さんの句
だった。さすが。
  冷めて色濃い芋の煮っころがし淋し

選んだそれぞれのコメントを言い合う。
俳句のセオリーというか、基本的にはダメ、と言われることをいっぱい
やってるけど(字あまりとか、形容詞多いとか淋しと言ってしまっている
とか句またがりとか)それでもなおこの句はこうでなくちゃと決まってる。
単純においしそうだしというのもね。素敵でした。

もう一つ5点の句は特選入れたのが二人。池田さんと長嶋さん。千野さん
が並でいれてた。
  葡萄棚より一本コードらしきもの

「コード」が題のひとつだったそうです。
私はこの句はとれなかったけど、それぞれのコメントを聞くと、
葡萄棚の漢字から軽い字面になっていく感じも表現になっていて面白いとか、
その現実を平熱ですくいあげた上手さとか、なるほどと思った。米光さんの
句でした。

4点集めたのが一句。
  橋で逢う力士と力士秋うらら

「逢」というのが今回池田さんが出した題だったそう。
それぞれのコメント。米光さんが特選に入れてた。
なんとなくファンタジックなイメージするけど、ありえる景色。
滑稽の句だけれども「秋」であることで妙なさびしさも沁みる。とか。
BLに見えちゃうとか、という長嶋さんの発言。私はそー思ってニヤっと
してとった。「逢」の字使ってるもんね。らぶでしょうらぶ、と思う。
長嶋さんの句でした。
ご本人解説によると、力士の八百長事件があったころ、メールでそういう
うちあわせをしている、という記事かなんかを読んだ。で、つくった句だ
とのこと。時事詠だったのか!という驚き~。面白かった。

休憩を挟んでばらけた句をあけていく。
会場からの選句の集計が出て、その得点多いものから、とか逆選が多いもの、
とか句評が続く。読んでいくうちに読みが広がっていい句だなあって思って
くるのもあるし、かっこよすぎてむしろダメ、みたいなのもあるし。
みなさん、たぶん特に長嶋さん、お酒も入っていい感じに大いに盛り上がる。
ご飯食べてるし。
今回、千野さんネーミングのノリカ役、ということで、出演者以外に脇から
コメント出してくる人が三人。佐藤さん太田さんトヨザキ社長。
佐藤さんからのつっこみコメントにのる長嶋さんとかwプロレス的に対立構造
でやってくぞ!みたいなのも面白かった。
会場からの発言も多々。
それを受けての壇上でのやりとりも。読みはいろいろだなあと思う。
読みが難しい句に、池田さんと長嶋さんが入れてて、池田さんが
「あなた芥川賞とったでしょ」とつっこんでふっていたのがすごい笑った。

あと、堀本さんの挨拶句の仕掛け。句としてもすなおに素敵だけど。
  すこやかに未来あるべし小鳥来る

これは「すみこ」を句のあたまにもってきてるアクロスティック!
マッハの1回目の時に池田さんを熱望していた未来が今ここに、ということで
もあり。そんなこんなの素敵挨拶に参る。すごいな~。
きちきち のほうの句も、池田さんの蛍をふまえて。自分達はバッタです、
というような凝ったつくり。面白かった。

私が選したのは、堀本さんの句を逆選含めて3つとってた。
並に、池田さん、長嶋さんのをそれぞれ2句。米光さんのを1句。
自分の好みってあるんだなあと思う。堀本さんのが好きなんだな。
池田さんのもとれててよかった。

 特選☆ 物憑きて萩真つ白に乱れけり     堀本裕樹
      きちきちを四つ飛ばして逢瀬かな    堀本裕樹
      冷めて色濃い芋の煮っころがし淋し  池田澄子
      ボールペン回す間に恋となる      長嶋有
      死んでいて月下や居なくなれぬ蛇   池田澄子
      逢うという言葉似合わぬ峰不二子   米光一成
      橋で逢う力士と力士秋うらら      長嶋有
 逆選  詩へ螺旋階段のぼりつつ夜寒     堀本裕樹

特選にしたのはやっぱりとてもうつくしいと思ったから。「乱れけり」
というのも色っぽくて素敵だった。出演者の人は誰もとってなくて
コメントなかったけど、私はこれが好きだったなあ。
「死んでいて」の句もすごい素敵。これはいろんなコメント聞けて面白かった。
峰不二子、のは、私はものすごく納得してとったけど、これも出演者誰も
とらず。そっかー。
逆選にしたのは、かっこつけすぎだろう決めすぎだろう詩と寒いとかって
つきすぎだろう、と思った。でもつまり全部凄いかっこいい、と思ったわけで
好きなんだよね。

選をするのはすごく迷う。なにがいいとか悪いとかわからない。
評を聞いていて好きになったりもする。句会は、楽しめる相手がそろえば
とっても楽しい遊びで真剣に遊ぶほどに楽しい。いいなーと思った。
歌会もだけどね。遊びは真剣にやってこそ楽しいです。
次回もあれば行きたいなあと思う。でも正直いろいろツライなーとも思う。
とにかく疲れる。そして挨拶大会になるのも疲れる。ぼっちな自分が
際立つからー。句会で遊ぶの楽しいなあというのは十分満喫できたので
そっからどうかな、というところだなあ。

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『探偵、暁に走る』(東直己/ハヤカワ文庫)

『探偵、暁に走る』(東直己/ハヤカワ文庫)

地下鉄で、だらっとした若いのを怒鳴りつけたおっさんがいた。
たまたま乗り合わせていた<俺>は、騒ぎが大きくなる前に
おっさんを電車から降ろす。それは近藤雅章というイラストレーター。
ローカルなテレビにはよく顔を出す地元の有名人だった。
偶然の出会い。飲み友達が一人増えた、というだけの始まりだった。

ススキノ探偵シリーズ、長編第8作、ですね。
いっこまえのをまだ読んでないな。
最初100ページすぎるくらいまで読んでいて、ふと後ろ見た。
裏表紙のところに紹介のあらすじ書いてあるんだけど、そこに、え、
っと、これはネタバレになるんじゃないのー、ということが書いて
あって、ややショック。うーん。まあ。うーん。どの程度までなら
紹介程度のことなのかはっきり言えないけど。でも100ページ
以上読んでてまだ知らなくて、そこはまだ知りたくなかった、と
いうことは書かないで。。。うーん。どうかなあ。普段だったら最初
から裏のところは読むだろうけど、最初から知ってればショックじゃ
ないかなあ。んー。でもなー。あんまりネタバレは気にするほうじゃ
ないんだけど、(私のこの日記でもネタバレ的なことは気をつけてる
けれども書いてるとは思うけど)なんか今回はヤダと思ったなあ。

で、まあ、いつもの如く事件が起り、<俺>は黙って警察にまかせて
おくなんてできなくてあれこれ動きまわり、なにがしかの動きを待つ。
探偵ってもやっぱり探偵は最後の最後まであんまりなにがどうなのか
よくわからなくて、読んでるこっちもよくわからなくて、あっという間に
最後がくる。
今回のピンチはほんとーにヤバイところだったね。探偵はいつも助けられる。

華さんと、別れるのかな?という危機もあったけど、また仲良しになった。
微妙にどっちもずるい。でも大人だとそういうもんかなー。ま、浮気云々
てな問題じゃないからそういうもんかな。

近藤さんは魅力的だった。もし実際にいたら絶対に私はお近づきになりたく
ないと思うけど、まあ、こういう本で読むぶんには。
田舎もんな馬鹿な若もんが嫌いだ!というのは結構だけどね。いきなり
暴力ー。でも魅力的だった。
探偵もだけど、いつも何かしら飲んでる酔っ払い。
なんでそんなに飲む?
飲まなきゃ正気保てないほど弱い、のか。と思ってみたり。
気持ちよく酔っ払いになっていけるのはいいけどなー。でも何度も
命の危機に陥るってーのに。飲みすぎだみんな。

魂がMの金浜くん、けっこう好きだw
だいぶいろんな人が私にとってもなんだかなじみになってきた。

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『ゴーストの条件』(村上裕一/講談社BOX)

『ゴーストの条件』(村上裕一/講談社BOX)

クラウドを巡礼する想像力

本書の目的は「キャラクターの哲学」の展開であり、その
目標は「ゴースト」という概念のプレゼンテーションにある。

という始まり。「ゴースト」とは何か。
・複数化した集合的無意識
・クラウド化した二次創作(空間)の表象
・自立したキャラクター
・中間的共同体
・神でもなく、人でもなく、単なるキャラクターでもないもの
・創作をエンパワーする神秘的なツール
・新しい現実感の象徴

などと箇条書きでの列挙が序文にあり、さまざまな作品を通して
論が展開していく。
最初始まるまでがちょっとぎくしゃくするかな。具体例からの話は
わかりやすい。キャラクターというこれまでの概念からははみ出す
ような、今までない生まれ方をするもの、「ゴースト」。
初音ミクとかやる夫の話なんかはふむふむーと思う。私はよく知らない
ところだけれども、一応たぶんついていけた、と思う。

んでも次、「水子の倫理」になると、それは生まれなかった子ども、
ここでもあちらでもないところのもの、として。その具体例が
美少女ゲームとかノベルゲーム?メタゲームみたいなところの
作品群、ひぐらしとかですら私は手をつけたことがないので、具体例が
具体に見えなくて、ううーん、となんか私には無理っぽい気がした。
もちろんかなり丁寧にゲームの話を説明してくれているのでまるで
わからないわけじゃない。なんとなくわかる。でもやっぱりその作品を
知ってることは前提、という感じ。ま、そういう作品のことを知らない
人はこの本そのものを読まないだろ、関係ないだろ、という感じかなあ。
そして最後の方、やけに希望のほうへ向かうのがちょっと。
もちろん絶望と希望ということで、本の結末としてはこう締めるのは
まっとうな感じだけど、なんかやけに、若いなあと思ってしまった。
それは私がこのごろやけに自分を年寄りだ、と思いたがっていること
なんだなと思う。

メタメタメタだったり、もの凄く複雑なことになっていってるのね。
東浩紀のをいくつかは読んできてるので、ぼんやりとはわかるけど。
『クォンタム・ファミリーズ』は読んでるので、それ言ってることは
ふむふむと思った。
まどまぎの話とか。

すべての物語を祝福しよう。という「終わりに」は、こんなにも
四苦八苦してあれもこれも考えつくして、そうなるか、というのは
ちょっと感動的かも。がんばれよ、と思う。
たぶん全然理解はできてないだろうけれども、読んだのは面白かった。

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合同歌集『間奏曲』批評会 2011年10月23日(日)

合同歌集『間奏曲』批評会 2011年10月23日(日)於日本出版クラブ会館

『間奏曲』は四人の合同歌集。それぞれ100首とエッセイ。淡くテーマとして
それぞれの住んでいる土地を思わせる歌がまとめられている感じ。
参加しての私個人の覚書なので、発言のメモも私の個人的主観でのメモです。
間違っていることもあるかも。

最初にパネリストの方からの発表。
紺野万里さん。河野泰子「雨・雨」(レイン・レイン)について。
これまでの歌集、歌とは、歌が変わったなあということ。これまでとは
違う生活をしていることが歌にも現れているのか。見ていた、というのが
これまでの歌だとしたら今は自分が動く、という違いがあるようだ。

釜田初音さん。山本照子「羽衣」について。
表現のテクニックの上手さ。歴史や古典文学とのクロス。京都に住むという
ことを歌っている。近藤さんからの影響を思わせる日付のある歌。
京都に住み始めてから、京都に慣れていく作者の姿がよく見える。

中原千絵子さん。寒野紗也「雲を踏む」について。
江戸の小粋さ。「はは」が三人いるということ。幼児の作者が失われた母を
探しているような歌。ここではないどこか、芝居を愛すること。人懐っこい孤独
というような。大切なものに深入りしない照れのある歌。

田中槐さん。糸永知子「草苑」について。
小さいものへの呼びかけ。まなざしのやさしさ。日常の季節感を五感を通して
感じる歌たち。きりっと清浄な歌い口の潔さ。歳月を自然体で受け入れている歌。
さいとうなおこさんもいくつかふれていて、静かだけれど動きのある、
きっぱりとした歌のよさをお話されていた。

『間奏曲』という歌集の成立の成功はメンバーの四人のハーモニー。それぞれ
の歌人の、これまでとこれからの間にある歌として、まとめられた歌集。
パネリストの方は作者の背景にも踏み込んで、この歌集だけでなく、それぞれ
の歌人の流れのようなところも話してくださって、あまりよく知らない私と
しては面白かった。そういうのが少し見えるとまた違う発見もあるなあと。
でも、もちろん作者を知らなくても歌で見えることが十分にあって。
後で作者さんたちが、歌はこわいわ、見抜かれているということをおっしゃったり
したのも印象的。
こう、とばかりでなく、いろんな読み方があるのを聞いて面白かった。

会場からも、と、まずはゲストな日高さんから、小野澤さん、宇田川さんと
話を聞き、次々にみんなの発言。
四人いっぺんの感想は大変だろうということで二人分ずつ、とあるていど
わりふりのお願いをしていて、ずいずいとみんなにマイクが回り、みんなが
話す。それぞれが丁寧に読み込んでいて、とりあげる歌も様々で凄い聞き応え。
ほぼ全員がパネリストなのでは、という感じで凄かった。
なんですかこれ。未来の実力?
面白かったです。
私も発言の機会いただいたのですが、小心者なので緊張してあわあわ。一応
読んで考えていったけどうまくは話せず。嗚呼。精進しなくては。。。

麻生さんからノートを始めたころのお話を聞けたり。
糸永さんが、80になってもまだ自分の歌に自信がなくて、というような
ことおっしゃってた。あーそっか。私なんが自信なくて当たり前だなあと
思った。自信もって努力やめたらオシマイなんだろう。
四人でノートを回して厳しく批評しあう。その姿勢におそれいる。
一人でがんばらなくちゃいけないのはもちろんなんだけど。仲間がいるって
素敵なことね、と素直に感動した。
面白かったなー。
参加できてよかった。ありがとうございました。

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『間奏曲』(糸永知子・河野泰子・寒野紗也・山本照子/六花書房)

『間奏曲』(糸永知子・河野泰子・寒野紗也・山本照子/六花書房)

四人の歌人たち。住んでいるところも選歌欄も違う四人が、ノートを
郵便で回して、それぞれの歌の評をしあったり、文章を書いたりする
のを続けてきたそうです。共通点は「未来」の仲間ということ。
その四人での合同歌集、とのことで。歌100首とエッセイ。面白い
なあとまずその成立が素敵だった。歌もそれぞれの味わい。面白い。

糸永知子さん。「草苑」いくつかすきな歌。
  己が手に酸素マスクを引き放しつと渡りたり夏の朝明を
  ふるさとの小学生は三人とぞ黄色い傘が木下道ゆく
  少女なら絵になるだろう北風に帽子とられて立つ一瞬は
  おおよその行事はわが身過ぎゆきぬ運動会か花火がきこゆ

年を重ねて生きてきたこと、生きていること。それが素敵に歌われて
いると思った。自然詠の目に見えるように歌われている様、それを
見る視線の確かさを感じる。自分のことも、見る視線がとても冷静。
かっこいいなあと思った。

河野泰子さん。「雨・雨」(レイン レイン)いくつか好きな歌。
  此処にかう草引くわが手在りながらこころは日傘のしたを歩めり
  姑と夫とわれと犬と猫それぞれの場にそれぞれの黙(もだ)
  水溶性ならむかわれは月の夜をゆらゆらゆらと佇みをれば
  ああさうなの、さうだつたのか、身にふかく野生のこゑを閉ぢこめてゐた
  階段状にゆくのではないといふことを肝に銘じよ死だつてさう
  普通だつてあなたは言ふけど刃こぼれの包丁のやうな目付きをしてる
  

もっといくらも付箋をつけた。すごく素敵だった。歌に凄みを感じる。
軽やかな乙女のようでもあり、山里に暮らす女でもある。比喩もとても
素敵でうっとりしてしまう。なんだろうこの迫力。少しだけ立場が近い
ところがあって、ああ、と、ぐっさり共感することも多々あった。
凄いです。

寒野紗也さん。「雲を踏む」いくつか好きな歌。
  薄紅の日傘のうちはうすべにとあなたの声の甘やかなりし
  摺足はちちの習いとなりたれば舞いいるごとし日々の歩廊を
  屋上の隅に背中の毛を立てて猫は雀の頭ころがす
  煮崩れてなにがなんだかわからない野菜スープにパプリカをふる

歌をひかなかったけど「草の穂」の一連がかなり好きだった。なんだか
不思議。とてもレトロな、懐かしいような道具立てで一連なしているのに
感傷的になってなくて並べて見せている距離感が素敵だった。こういう
距離感の出し方ってなかなか凄いように思う。面白かった。
あと猫の歌がいくつかあって、猫と一緒にいるのがいいな~と思う。
でもひいた歌のように猫を猫として見て歌っていたり。これも距離感
かなあ。ご家族への距離感も。愛情ありながらも。素敵です。

山本照子さん。「羽衣」いくつか好きな歌。
  「羽衣」を観て帰る街降るとなく雪人々の肩に散りおり
  二〇〇〇年ことは起らず朝明けて古き火鉢に炭火おこしぬ
  春菜の淡きにがさよ暗き顔に子は飯を食む何思いいむ
  練切りが食べたいと思う秋の夜を花を抱えて君帰り来る

平成四年に始まって、長い期間の歌を一度に読ませてもらった。
いろんなところへ行ったりいろんなことを観たり、というのを丁寧に
歌にしている。京都に暮らしている、ということで、時間感覚が素敵。
古代、とか、はるかな時間が自分の時間にふわっと同じに重なってくる。
微細な空気の違いのようなところを歌っていて、全体の印象としては
ひっそり静かだ。その中に、さくっと切り込んでくる強い印象の歌が
あったりして、面白く読ませてもらった。

四人分の歌を堪能~。なんだか読んだだけなのに充実感があるよ。

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『探偵はひとりぼっち』(東直己/ハヤカワ文庫)

『探偵はひとりぼっち』(東直己/ハヤカワ文庫)

トムボーイズ・パーティは盛り上がっていた。マサコちゃんが
アマチュア・マジシャンのテレビショーに出るのだ。
マサコちゃんはオカマさん。46歳、トキタテツノスケ、が本名。
彼女の憧れだったマジックショーで準グランプリを獲得した二日後、
彼女は殺された。

ススキノ探偵シリーズの第四作、と裏表紙には書いてある。
短編集は数に入れないのかな。『消えた少年』の直後。探偵は30
そこそこ。まだ若いねー。春子さんとラブラブいちゃいちゃ中。
高田くんもまだ大学院にかろうじて在籍中といったところ。
だいぶ先のほうをすでに読んじゃったのでなんだかひどく若いねーと
思ってしまいながら読んだ。

みんなに愛されていた気のいいオカマちゃん、マサコちゃんの死。
しかし警察の捜査がどうにもはかどらずおかしい。何かの圧力なのか?
と、事件から数ヶ月後、<俺>は動き出す。
すると、何やらわけのわからない暴力に見舞われるようになり、
どうやら大物政治家が絡んでいるらしいということがわかってくるが。
しかしやっぱり何がどうなってるのかよくわからないままに探偵は
動き回り、つけ狙われ殴られたり大変。とばっちりで高田くんは
入院する羽目になったり。大変だ。
探偵はやっぱりみんなに助けられてるなあ。

そんで、大人の事情的なことに徹底的に従わない。誰もがヤバイこと
になる、と手をひいたことにつっこみ、探偵にも誰も関わりになりたく
ないような態度になってくるのに。落ち込みつつもめげない。
結果的に政治がらみの陰謀的なことはなくて、頭のオカシイ理不尽な
嫉妬野郎だとわかったんだけど。
なんだかやりきれないなあ。。。マサコちゃん可哀相だった。

悪そうな政治家っぽい人、モデルがいるらしいけど(解説によると)
北海道の政治家って私はわかんないなあ。
でも、昔は純粋に愛し合っていたんじゃないのか。
そう思うと切ない。薔薇の花束。どういうつもりだったのか、は、
わからなかったけれど。消そうとした、なんてことはなくて。
若き日を思い出してろまんちっく気分にかられたのだ、と、思いたい。
マサコちゃんに会えたらよかったのに、と思う。
それとも会わないほうがいいのか。ともかくなんだか切ない。
マサコちゃん、可哀相だよ。

春子さんとはらぶらぶ、そして赤ちゃんができた、というところで
ぶつっと終わってる。これは順番に読んでる場合気になるところでーっ
とひっぱられるかなあ。私はもうその後を読んじゃったけど。
春子さんもなんだか可哀相だけどなー。
男が男を通す、って。馬鹿で青臭い。ちょっとかっこいいけどね。

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『熾火』(東直己/ハルキ文庫)

『熾火』(東直己/ハルキ文庫)

私立探偵畝原。仕事の最中、突然現れた小さな子どもにすがりつかれた。
血塗れのシャツの下は裸。傷だらけの子どもに。

畝原のシリーズがあるようで、これはそのシリーズの中では4作目。
解説によると、これまでのクライマックス的、だそうで。
前のほう読んでないけど、『駆けてきた少女』絡みで読んでみた。
探偵<俺>は出てこない。駆けてきた少女よりは時系列的には少し、
数年くらい?後になる。柏木が絡んで猟奇事件になる、みたいな。
彼女、一体なんなんだろう。。。出てきた最初の時から何を考えて
いるかわからず、なんとなく気持ち悪いとか不気味、とかで。ここに
きてもやっぱりまるっきりわけはわからなくて。血が好き。死体が好き。
人を痛めつけ殺さずにはいられない、というような?サイコ。。。
終わってよかった。。。

畝原の目の前で姉川明美が連れ去られ、なんとか彼女を取り戻すべく
奔走する。んだけど、やっぱり最後の最後までどうにかなってるのか
どうにかなるのかわからなくて不安。
実際のところ、正木っていう、元警官の、車椅子の、悪辣な知人、か?
彼が動いてることのほうが結果的には助けになって、畝原さんも
がんばってるけどやっぱりわからなくって、なんとか走り回ってるだけ
なんじゃないのー、と思った。
畝原さん、一人娘がいて男手で育ててきた、ってだけあって、とても
まっとうな感じ。もと記者。で、過去には警察にはめられてとかいろいろ
あったみたいな。その辺はシリーズの前のほう読めばわかるのかなあ。
でもうーん。たぶん読まない。

<俺>探偵よりもずっとずっとハード。キツイ。。。
<俺>探偵のはやっぱりちょっとユーモアあるかな。酷く残虐なことは
これに比べれば控え目な気がした。
女の子、どうなっちゃうんだよ。姉川さんは死ななくてよかったけど、
今後大丈夫になるわけ?と心配。うーん、まあシリーズのこの先とかは
たぶん読まないけど。
居残正一郎の仕事のあれこれのこともこの本で一応は片付いた、のかな。
まだ続くんだろうか。とにかく警察が最悪で酷くて、ずっとイライラするー。
警察がこんなに酷いわけないだろう?と思うし、でもこんなに酷かったり
するんだろうか、と思ったり。まあ小説だけど。でもこんなにも執拗に
繰り返し警察酷いってことを書き連ねて。うーん。
子どもが酷い目にあっていてほんときつい。なんなんだよヤマダ。こわい。
柏木もこわい。終わってくれてよかった。
これで一応、『駆けてきた少女』関係は終わったかな。三冊読んでみて、あー
終わった、と思う。やっぱり柏木がわけがわからなくて、でもわからないこと
なんだよなあと、納得するしかない。
個人一人で語ることとしてはこれが限界かなあ。
警察全体、マスコミ、もろもろ、ものすごく大きいことを相手にしかかって、
でも個人で関わるにはこれが限界、かなあと。
すっきりとはしない。
ひとまず終わってよかった。

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『ススキノ、ハーフボイルド』(東直己/双葉社)

『ススキノ、ハーフボイルド』(東直己/双葉社)

ハードボイルド、の、ハードの「ド」をくしゃっと鉛筆で潰して
「フ」に変えてるようなタイトル。
表紙の見返しには「青春ユーモアハードボイルド」てなことが
書いてある。
主人公は松井省吾。高校三年生。受験生。北大を受験する、というと
北海道じゃ独特の尊敬を集めるみたい。受験勉強をクイズのように
こなしつつ、ススキノを自分の街として飲み歩くことを覚えつつある
途中。素敵なきれいな年上のホステスの恋人、真麻のうちに泊まる
こともしばしば。

進学校の高校生くんでしょ。ススキノ飲み歩いてていいわけ?(笑
ススキノ探偵シリーズ、『駆けてきた少女』と同じ時間を共有してる。
探偵のほうにもちらっと出てきた。こっちにも探偵は、便利屋だよ、
ということで少し登場している。
衝撃なのは、高田くんもいるんだけど、松井くん視点からの描写だと
トドみたいな男、ってことらしい。えええー。私の脳内では高田は
松田龍平なのに~。トドなの~~~。探偵もたしかに太った太った、と
反省はしてるような日々だったわけだけど。そうかー。そーなのかー。
トドねえ。いやあ。まあ、私の脳内では松田龍平でいくから。

話は大部分は『駆けてきた少女』とかぶるのかな。松井くん視点の話
なので、高校生なので、なにがなんだかわからない、というままで。
最後に真麻が話してくれるまで何やってるのか何が起こってるのか
わからない。粋がってなんとかなりたい高校生がススキノをうろうろ
する、という話かなあ。
素敵な年上の恋人、というのがほんとうに好きなんだなあと思う。
探偵の時にもあったね。
探偵はまさに自分の若い頃を見る気分で松井くんを眺めただろうし、
気のいいおっさんが息子のように可愛がる、とかね。
ボコられたりして痛い目にも多少あってるけど、若者よ、可愛がられて
いるなあと、なんか微笑ましく眺める感じ。

東さんの小説って主人公の一人称で一人視点だから、ほんとに最後の
ほうまでなにがなんだかわからないのが面白い。
残りページが減っていくのになんかわかんないままじゃん、と、読んでる
こっちが不安になる。事件、どうなるんだよ。
また事件があんまりすっきりきっぱり終わったりしなかったりもする。
(一応のところは終わる、けど。なんとなくなんかどうにかなったみたい、
という感じだったりする)
個人が絡む出来事って、そういうものかもなあ、と思う。。。

『駆けてきた少女』より出版年は先になるのかな?2003年。
真麻と松井くんの出会いとかわかって面白かった。勝呂さんとか柏木薫織
とか同級生。勝呂、つまり駆けてきた少女の子はこっちにはほとんど出て
こなくて、彼女が麻薬絡みで警察に、退学に、というあたりからの話なの
で、駆けてきた少女より時系列はちょっとだけあと。
これとあわせて読むと、駆けてきた少女ももう少しよくわかる感じだなあ。
旧友は―にもちらっと出てきたっけ、松井くん。北大には行かなかった
のかな??ウィキで見るとハーフボイルドシリーズ、でもう一冊あるみたい。
うーん。
そこまではおいかけないでおくか。

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『旧友は春に帰る』(東直己/早川書房)

『旧友は春に帰る』(東直己/早川書房)

四半世紀前。とびっきりきれいだったデート嬢、モンロー。
彼女から届いた手紙。久しぶりの再会。
助けて、と、頼まれた。

ススキノ探偵シリーズ、10作目だそうで。途中を2つ3つ飛ばし
ちゃって読んだ。恋人ができてるのね探偵。
いろいろみんな老けたわね。でもそういうのもお互い様、みたいな。
私ももう年寄りだな、という方なんで、年をとったなーとか時間が
たつのが早いなー。ええ、もう四半世紀、みたいな気分にはちょっと
同調する。長年このシリーズおっかけて年を重ねた読者ならなおさら、
なんだろうなと思う。

相変らず、モンローが何をしているのか探偵が何に巻き込まれて
いるのか、わからないわからなーい、ままに最後までいく感じ。
モンローねえ。
馬鹿だな。
やるせない。

なんていうかこう、年とっちゃったなあ。というのが強くなって
きちゃって、切ないことになっちゃうな。
高田くんも同じく年とっちゃってるはずだけど、高田くんはやっぱり
強くてかっこいい。ジョーカーな感じの役割で、出番多くないのも
いいなーと思う。

おばーちゃんたちも可愛くて素敵だった。
恋人もいい女そうで。
アンジェラとか気になるキャラも。美形キャラはなんであれ大好き。
ススキノ探偵シリーズはセクシャリティーとかもあれこれ出てくる。
微妙な塩梅で面白い。
でも登場人物のあれこれ、シリーズとばしちゃってるからわかんないこと
なのかも。順番に読んだ方がよかったかなあと今回は思った。
ま、これ読んでも意味がわからなくて困るというほどのことはない。
酒を飲みたくなるねえ。

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『駆けてきた少女』(東直己/ハヤカワ文庫)

『駆けてきた少女』(東直己/ハヤカワ文庫)

スナックから出たところで、廊下の端に男と女が揉めていた。
若い女だ。嫌がっているようだ。ほっとけなくて、軽く声をかけた
俺。いきなり、男がナイフを取り出し刺してくるとは予想外だった。

探偵、今回はイキナリ刺されてる。
でも、腹の脂肪のおかげで傷はたいしたことなくて、というのが
笑い話でススキノに広まって。というところから始まる。
刺してきた相手を探そう、としたのだが、どうやら俺が思う以上に
大きな揉め事に関係し、巻き込まれることになる。
巻き込まれるというか、自分から巻き込まれにいってるよーな。

探偵もそろそろ50が目前、といったところ。
今回、高校生の女の子に絡んでいろいろ動くことになったりして。
んでも、ちょっと説教くささのほうが鼻につき、あんまり今までの
みたいに探偵馬鹿だけど好きだちょとかっこいいじゃん、という
感じがあんまりないように思った。これは私の好みの問題、かなー。
あんまりすっきりもしなかったしね。

探偵が、ふらふらしてて。金のためにあくせくしなくちゃいけない
凡人を微妙に馬鹿にしてるのが、なんかうるせー、と思ったりした
からかな。私も金にあくせくしながら上司の愚痴や悪口言ったり
する凡人のほうだからね。自分で選んだ仕事だろ。という探偵の正論
もかっこいいというかいいよねーとは思うけど、そうはいかねーこと
のほうが多いさ、と、思っちゃう方にいるからなー。
今までの話だと、探偵かっこいいじゃん、と思ったんだけど、なんだ
か今回は、あんまりかっこよくもなかった。。。余計なお世話なのでは?
という気持ちのほうが大きくなっちゃったなー。

高田はやっぱ素敵だけど。高田も探偵と同い年なわけだけど、相変らず
すっげー強いみたいではあるし。なんか恋なのか!?みたいなのもちらっと
あって、そんなのやだー、と、勝手にきゃあきゃあ思う。

格闘のあれこれ、なんかこういうのって、と思ったけど、獏さんを
読み続けてきてるから、あ、と、ちょっと思ったんだ。丁寧に動き書く
よねー。こういうの好きなんだな私。面白い。

そして、解説、関口苑生。シリーズの全体がちょっとわかった。
突然年齢が飛んだりしたのも。そんで、この話は、どうやら他にも
合わせ読んだほうがいいのがあって、3部作みたいになってる、って。
えええー。
今回もね、残りのページが少なくなってきたのにまだ話がよくわからない?
と思っていたの。一応は終わったけど。まあでもすっきりはしなくて、と
いうのがー。3部作と思って読んだ方がいい、みたいなオススメがあり、
なんとなく納得。でもなんかヤメテよねーとも思いつつ。図書館にさらに
予約。『ススキノ、ハーフボイルド』と『熾火』を。
他のシリーズや作品に手を出す気はないんだけど、さてどうしよっかな。
『残光』は読もうかと思う。『フリージア』はどうしようか。うーん。
まあしばらくは、ススキノ探偵シリーズ読む。早くくるといいな。

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平岡あみ×宇野亜喜良×穂村弘 トークセッション

『ともだちは実はひとりだけなんです』(ビリケン出版)発売記念
平岡あみ×宇野亜喜良×穂村弘 トークセッション
■2011年10月14日(金)18:30~(開場18:00)

新宿ジュンク堂行ってきた。
この三人での対談、一年半くらい前から二回目、だそうで。
前のも行った。その時にも思ったけれども相変らず、素敵おじさま
二人が高校生の女の子に惚れこんでいる、すごいね、というのが
ありありとわかるトークでした。才能ある若者、しかも可愛い女の子
だなんて素晴らしい。というかできすぎ。ほんと神様は不公平(笑
平岡さんご自身はあんまり国語とか文学とか興味ないし本読まない
そうです。なのにすでに本を出すのはこれで4冊目。詩とか短歌とか、か。
ほんと神様は不公平(笑
その彼女になんとか三島由紀夫を読ませたい宇野さんの図、
たいへん素敵でした。

穂村さんは前々からの通り、今回も宇野さんのファンだからこの際
いろいろ聞こう、という、ファン的なお話がいっぱいで、それを聞けて
私も嬉しくて面白かった。
女の子の好みありますか。とか。どうやって描くのですか、とか。

宇野さんは、データとか集めたり時代の記録的なこととか分析的に
考えて描くのはさもしいような気がしてそういうことはやりたくない、
みたいな。
挿絵は作品まかせ。自分でも思いがけないようなのが描けたときが嬉しい。
とにかくあんまり考えないで手にまかせて描くようなのがいい、みたいな。
素敵だなあ。
かっこいいなあ。
色気ある~。ご本人的には無自覚でいらっしゃるようなのが素敵だ。

穂村さんは必然的に司会的立場で、穂村さんのことについてはあまり
お話なしだった。
平岡さんの短歌の紹介、それについた宇野さんの絵の紹介。その読み解き
がとても面白くて、作品がいっそう素敵になる感じ。さすが上手い。
平岡さんは十代にして峰不二子だ、とか。社会的善悪を自分のなかで
判断しなおしている感じ、だとか。天性のリズム感が凄いとか。

平岡さんはダンスが好きとか、舞台つくるようになりたい、とか
新しいエンタテイメントを作りたい、とか。行動派なんだなあという感じ。
あんな作品を書いてあんまりおしゃべりでもないタイプに見えるのに
そういうのも魅力なんだなあ。すでにギャップの魅力。凄いなあ。

三人ともおしゃべりな方ではなくて、時々沈黙がありつつ。そういうのが
リアルで面白かったです。

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『愛犬家連続殺人』(志麻永幸/角川文庫)

『愛犬家連続殺人』(志麻永幸/角川文庫)

阪神大震災、オウム事件、の陰で注目度が低かった埼玉愛犬家連続殺人事件。
その共犯者が自ら綴る驚愕の書。

だそうです。
映画、「冷たい熱帯魚」の元ネタらしいというわけで、あの強烈キャラ、
「ボディーを透明にしてやる」の話がどういうものか見てみたくて読んだ。
運転手をしただけだ。脅されて怖くてなすがままになっただけだ、という
共犯者、山崎。映画では社本になってた人のモデル、か。
これ、本人によるノンフィクションノベル?ということらしいけれども、
ほんとにほんとはどのくらいなんだろう。それこそゴーストライターが
いるのかなあと思う。こんなに書ける?

映画の映像を思い浮かべながら読んだ。映画と違うのももちろんあり。
でもこれが真実、という感じでもない。。。やっぱりちょっとリアルには
思えない。想像力を超える、というか。あー映画で見るならいいけど、
こういうのその辺の人が本当にやったんだよ、というの、信じられる幅が
私にはないというか。うんうんわかるーって思ってもそれはそれでヤバイ
と思うけど。著者が本当に共犯者本人というなら、当事者なりのそれなりの
脚色はあるだろうし。
真実なんて、わかるわけないか。

共犯者さん。いくら脅され仕方なく。ただの運転手だった、という主張
とはいえ、警察や検察に対しての保釈つけろ執行猶予つけろ女抱かせろ
あれこれあれこれ。自分がやったことへの反省ゼロというか、一切悪びれない
この書きっぷりは一体なんだろう。。。
やっぱ映画の社本とは全然違う。。。
うーん。
面白かった、というような内容じゃないけれど、これがノンフィクション
ノベル?というのがなんだか凄かった。映画よりも無茶苦茶やってる。
人間てコワイ。

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『探偵は吹雪の果てに』(東直己/ハヤカワ文庫)

『探偵は吹雪の果てに』(東直己/ハヤカワ文庫)

小さな揉め事を片づけたあと、待ち伏せにあい袋叩きにされた俺。
入院した先で、昔、20年以上も昔に、惚れていた女に出会う。
45歳になった俺。15歳年上の、かつて世界一美しいと俺が恋
していた女性。死んだと思っていた人。
再会を喜ぶ前に、昔みたいに説教くらい、それから一つ頼みごと
をされた。斗己誕町へ封筒を届けて欲しい、と。

図書館での順番待ちできたものから読んでいる。ので、ススキノ探偵
シリーズ、これは6作目かな。これの一つ前のを読んでない。まいいか、
と読み始めたら、探偵が45歳になっていた。『消えた少年』の時に
30そこそこだったから、お、っとびっくりした。けっこう間が開いて
ぽんぽん年齢が飛ぶのか。文庫刊行は2004年。単行本は2001年。
携帯電話、探偵以外は持ってる。公衆電話が減った、なんて愚痴ありw
高田くんはこれでは出番はほんの一瞬程度。しかしなんか店を持ってる
みたい。ミニFMみたいなのやってるみたい。この前の時にどうなった
んだろう。妄想ふくらむー。シリーズの中を飛ばして読むっていうのも
面白いかも、と思った。これからもそうしようとは思わないけど。

中年のおっさんになった探偵。でもやっぱり馬鹿で無茶で。でも、
若い、ほんとに若い頃に恋した相手との再会で子どもになっちゃう感じ、
ムキになっちゃう感じ。ああもう。バカ。
すごく面白かった。

探偵がかっこつけて何も聞かずに頼みを引き受けたもんだからずっと
何がどうなってるのかよくわからない。やっぱりなんだか巻き込まれ
酷い目にあい、痛い目にあう。ああああ危ないっ。最後のほうすごい
緊張感。ハラハラしたー!残りページ少なくなってるのにこれ、どう
なるのどうするのどういうことー?とドッキドキ。

探偵と、トコタン町の人とのずれまくりの会話、面白かった。
これはすごい。
くらくらきた。

北海道って。というか、田舎って。
でもこれはやっぱりなんだかドラマみたいで。ツインピークスを連想して
しまった。私が一番はまりまくって熱心に見たドラマだから。小さな町
に事件があり、よそ者が現れて、という感じがちょっと。
そして高校生なんかがやっぱりなんだかたまらない感じに描かれていて、
胸をえぐられる気分。
私も田舎、というかまあ、地方の小さなとこの生まれ育ちだからなあ。

そして締めはなんだかしみじみ切なかった。
そういう年に私もなってるからなあ。もちろんこんな出来事とはほど遠い、
平々凡々な我が人生ではあるけれども。
探偵、馬鹿。で、ちょっとかっこいい。そんないい女いるかよ。
たいへん素敵でした。

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「ことばのポトラック vol.5」短歌朗読&トーク「声がつなぐ短歌」

「ことばのポトラック vol.5」
2011年10月9日(日)@SARAVAH東京

短歌朗読&トーク「声がつなぐ短歌」

というのに行ってきた。レポートというわけじゃなくてあくまで
ただの観客私個人の主観的感想をメモとして書きます。

「ことばのポトラック」というのは、ポトラック=持ち寄り、と
いうことだそう。声に出す言葉のあつまり。
早稲田短歌会の十代の若者から齢80を超える岡井隆、いろいろな
年代の歌人+、が集まっての企画。企画人は東直子さん。東さんが
声をかけてまわったとのことで、さすがの出演者がそろってる~と
いうのにつられて行きました。

第一部、挨拶のあと、早稲田短歌会の有志?7人。それぞれに個性的。

山中千瀬さん。さらりとかつ丁寧に朗読。小鳥とか魚の歌だったかな。
吉田恭大さん。マイク握ったぞ。かっこよかった。
綾門優季さん。囁く。ちょっとサイコな。キモくて素晴らしい。
山階基さん。BGM入った。おだやか青年、だけどちょっと不思議。
狩野悠佳子さん。理科室とかの歌。自分の世界に入りこんで読む感じ。
久石ソナさん。眼鏡帽子男子。読み上げて最後に紙破ったよ。
井上法子さん。呟くように朗読。繊細そう。震災の歌。故郷なんだ。

一人一人読み方は違って、一人一人自分の世界をつくってみせる。
詞書きなのか、モノローグ的な?文章と短歌と一緒になってるような
のが多くて、ステージで見せるにはこういうものなのかなあと思う。
でもみんなしっかり堂々としてて素晴らしい。声もいいですね。
あとのトークによると、演劇もやってるらしい人が二名、他の人も
演劇経験者、らしい。部活とか。舞台に上がるってことに物怖じしない
人がやるのねやっぱり、となんとなく納得。

石川美南さん。朗読で聞かせる、そのことを十分に意識して作った
のだろうなあという構成がお見事。姉。耳?インド?え?そうなんだ!
と、聞いてる方の意識をまんまと操られました。上手いですね。

一部終わりのトークはみんなで。早稲田短歌会の顧問?なのかな。
堀江敏幸さんが登場。客席から呼ばれてました。早稲田のみなさん、
朗読中とはまるで違う表情で面白い。そーしてると普通に学生さん
という感じでした。

休憩のあと第二部。

東直子+ひらたよーこ+矢野誠
「銀の妹」という短歌連作。それにひらたさんと矢野さんで曲をつけた
というコラボ。ピアノと、ひらたさんは、太鼓?民族楽器なのかな、
えーと名前わかんないけど、足元にはさんでリズム叩きながらの歌。
東さんの朗読もふわっと優しく素敵。それがさらにメロディにのって
歌になって音楽になるの面白かった。

穂村弘
黒い鞄を持って登場。いろんな本を出して朗読。ユーモラス路線。
えっとー、にょっ記、とか、求愛瞳孔反射?とか、エッセイかなあ。
本の確認はできなかったけど。「奈良と鹿」「しらたき」「清潔人」
新作短歌は「チェルシー 2」かな。ちょっとわかんない。
好きだった歌。
「助さんや角さんや愛しあいなさい コバルト色の日本の夜明け」
もちろん表記はわかんないけど。聞き間違いあるかもだけど。
聞いてニヤッとするワタシ。それもいいけど、ご隠居総受、とか思う
ワタシのダメ脳髄。
穂村さんも相変らずお忙しそうで、北海道にいたとか。ゆうべ新作
短歌がんばろうとしたけどできなかった、とか。
15分の持ち時間を埋められるか気にしながら(まだ5分しかたって
ない、とか)どんどん読んで面白かった。

栗木京子
「水仙そえて」
このタイトルでいいのかよくわからないけれど。穂村さんのあとは
やりにくい、と、きみまろネタトークで笑わせてくれながら。歌は
震災ののちの歌、25首。外連のない丁寧な朗読。歌をしっかり
聞かせてくれる。後のトークで、震災のあと、万葉集、人麻呂を
に戻って57調のリズムがいいという感じのことをおっしゃっていた。
短歌のリズム。調子、というのを意識する朗読。

岡井隆
岡井先生も黒い鞄をもって登場。いつものごとくゆったりと話始め、
3日後にドイツへ行くのですよ、仕事ですよ。というようなことから。
忙しくて大変みたいだけど、忙しくするのが好き。苦しいのが好き。
いじめられるのが好きだという告白を聞かせてくれた(笑)
「ミュンヘンに発つ三日前に読む歌として」
短歌を読む。合間に語りというか、おしゃべりも入る。「おれっち」
なんて歌ったりして。あー「おれっち」!この前いしいさんも言った
なあ。それかわいい。
辺見じゅんさんへの追悼の散文詩も。
「中高年の恋ってありますか岡井さん」というフレーズ印象的。
素敵だったなあ。
ゆったりと、さらりと、力強くやさしく厳しくもあるやっぱり素敵な
朗読でした。かっこいい。。。

終わってのトーク。
栗木、朗読は此岸彼岸を超えて声を、詩を届ける、とか。
穂村、岡井さんの次の声を待たせる感じって真似できないなあ、とか。
岡井、落ち着いて、一語、一語慌てないで。間違っても、しまった、
なんて顔しないで、繰り返して読む。読む、というより、聞く人との
対話だからね、でも緊張しますね、とか。
いや緊張してるようには見えない、と、笑いも起こる。うん。見えない
です。でも緊張してるのかなあ。緊張というか。ビシっとしてるから。
ふわっとやわらかくなったりするその呼吸とかあって、凄い素敵。
最後に岡井先生、早稲田のみなさんへ、というかみんなにだと思うけど。
若いっていいことだなあ、なんて言いません。がんばってくださいね、
なんて言いません。苦しいことばっかりですよ、でもいいこともある
ので。一緒にやっていきましょう、という風におっしゃった。
さすが。
さすが。
さすが。
岡井隆はやっぱりすっごくすっごく最高にかっこいい。
うっとりでした。

終わって、出演者のみなさま記念集合写真ーとやっていた。
ああ素敵豪華メンバ、と思う。ずーっと眺めていた。
なんか会場で、観客の人たちも写真とってたらしい。
ええええ!?
私も撮ればよかった。。。ああ。でもなんかああいう場所って写真禁止
じゃないの??今日はとってもよかったの??あーとればよかった。。。
でも私、一列目で見たから。心の目に焼き付けたから!(クヤシイー)

短歌の朗読、といっても、ほんとうにそれぞれで、バラエティに富んで
いて、飽きる間のない面白さだった。
「ことばのポトラック」呼びかけ人、大竹昭子さん、企画東直子さん
出演のみなさま。素敵な時間をありがとうございました。

ラジオ放送されるようです、が。早朝5時らしい。何日だったかは
忘れた。んーーー。聞ける、だろうか。。。(録音は私できないなあ)
このことばたちが、電波にのって、またどこかの誰かに届くといいね。

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りんご

昨日ニュース速報を見た。
昨日は一日遊んでいたけど、なんだろう。なんとなくのショックがぼんやりと
続いていた。

私が初めてパソコンを買ったのは、えーと、たぶん、14年くらい前のことかなあ。
ウィンドウズ95が出るーという騒ぎの時よりはちょっと後。FMVだった。
Macってなんかかっこいいとは思ったけど、それはやっぱりデザイン系とかいう
感じだった。自分はそーゆーことをしたいわけじゃなく、ほんと単純に、当時、
パソコン通信、というのをやってみたかった。

iMacが出たときにびっくりして。
おにぎりみたい。ドクロか。ごろん。コロン。スケルトンて!?
これ欲しい!と思った。
買ったよ。使ったよ。でも相変らずネット程度。
今はウィンのノートを使っているけど、そこそこ長い間、職場はウィン、
自宅はiMacだった。
全然使いこなすとかではなくて自分ちにおいてあるのがiMacであることが
嬉しかった。
完全に見た目だけ。ただのミーハー。あっぷる信者になるほどパソコンを
使いこなしたことはない。

それでもなんだか、ジョブズ氏死去のニュースはびっくりしてショックだったなあ。
iMacが出たときの衝撃が自分の中ではすごく大きいんだな、と思う。
これが欲しい!と強烈に思ったパソコンってあれだけだ。
iMacの上に猫がのっかって丸くなったりしてたもんだ。

今使っているあっぷるのは、ipod nano。6世代、ってのか。
これもね、やっぱりね、見たときこれが欲しい!と強烈に思った。
のーみゅーじっくのーらいふ、では全然ない私だけどこれが欲しい、と、
思ったのだった。

ご冥福をお祈りします。

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映画『モテキ』

映画『モテキ』

藤本幸世。30そこそこ?セカンド童貞中。サブカルオタ。
ツイッターで知り合った、趣味のあう相手、男だと思っていた相手は
めちゃくちゃ可愛い女の子だった。仕事の話も趣味もあう。盛り上がる。
しかし、相手は当然のごとく年上の彼氏がいるのだった。

テレビ見てないし、原作も読んでないけど、モテナイ男に訪れたモテキの話、
ということは知っている。森山未来くんわりと好きだし、使われている音楽
がたぶんかなり好きなところ、で、カラオケムービーだという噂を聞いて
見に行ってみた。

ぱふゅーむと一緒に踊る森山くん素晴らしい!もちろんぱふゅーむ可愛い!
ダンサーズも素敵!
岡村ちゃんの曲は、「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」
と、「カルアミルク」の2曲だったかな。小道具にシングルがwきゃー。
と、そんなこんなですごく楽しかった。エンドロールは「今夜ばブギーバック」。
ああ~カラオケ歌いまくった思い出、とか。
一人カラオケしますよ。スタバ行くよ。ついったーも呟くよ。一人になると
即効でi podのイヤホン耳につっこむよ。弱っている時のアイドル音楽は麻薬です、
好きという気持ちを伝えたい主義、とか。幸世の心の声、一人突っ込み、細々と
すごくわかるー、という気にさせてくる映画だった。カラオケムービーだった(笑

長澤まさみがめちゃくちゃ可愛かった!今までもちろん可愛いことは知ってた
けれども、この映画見てみゆきちゃんの可愛さにくらくらこないとか惚れないとか
ありえない!と思った。あれはー。可愛いわー。いいなー。あんな女の子だったら
人生全然違うよなー。あーもちろん可愛いからって悩みないわけじゃないのは
わかるけど。
友達、るみ子が麻生久美子で、見事に!重い女!あの女!あんた重いのよっ!
ゲラ!という役で笑ってしまった。痛い。でもあの中で自分が比較的近い、のは
るみ子で、あああああ、と自分がイタイ。私も今度一人カラオケいったらB’zを
歌うよ。それダメだけど。

藤本くんはなんとかがんばって、最後はよかったね、だけど。
でもあれ、森山未来だからいいんであって。
どうせ、っていうのはダメだなーとか。調子こいちゃったりはダメだなーとか。
藤本くんはダメだろー。うーん。いやほんと、森山未来くんがおっかけてくる
からいいけど、そうじゃなかったら恐怖だな。うーん。
森山くんを見られたのは楽しかった。
音楽も楽しかった。
エンドロールのつくり凝ってて楽しかった。
がんばるときにはがんばらないと、ね。


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映画『アジョシ』

 ※最後のシーンまで書くと思う。ネタバレ注意になると思う。


映画『アジョシ』

少女、ソミ。隣の質屋のおじさん(アジョシ、というのは韓国語でおじさん
のことだそう)に一方的に懐いているが、おじさんのほうはそっけない。
それでも、ソミが好きな人、というのはおじさんだけだった。
麻薬中毒の母が組織から麻薬を盗み、バレて捕まる。ソミもさらわれ、
質にあずけたカバンに薬を隠していたことから、質屋も巻き込まれた。
ソミを返せ、という質屋に組織はさらに運び屋を命じ、罠にかけて敵もろとも
警察に売ろうとする。
ソミを助ける。
かつて軍の特殊部隊にいた質屋、テシクは一人、少女を救うために動き出した。

基本、『レオン』だねーと思って見に行った。
テシクやるウォンビンがとにかくめちゃめちゃかっこいと評判で、そんなに
かっこいいのかなーと思って。
はい。ほんっとにほんっとにすごくすごくすごくすっごく、かっこいい!
なにあれかっこいいかっこいいかっこいいーっ!!!たまらないかっこいい!
ストーリーはほんとに基本レオンで、とてもシンプル。悪いやつにつかまった
女の子を、隣のおじさんが助ける。それだけ。こまけえことはいいんだよ。
ウォンビンがかっこいいんだから!

とても無口。喋らない。喋ってもなんか単語みたいなことしか言わない。
目で見せるんだよお。たまりません。なんて素敵なんだ。んでたまに喋ると
ぐさっとくること言う。
あのラストの、防弾ガラスだ!と強がる悪の親玉に、ガンガンガンガンっと
ガラスに銃つけて撃ち込み、防弾ガラスに穴あけたところで、「あと一発ある」
と言ったとき時にはもうぞくっときて私が死ぬ!と思う。かっこいいいいいーっ。

ソミの女の子、レオンのナタリー・ポートマンみたいにきれい可愛いセクシーな
少女、ってわけじゃなくて、貧しく辛くでも強く生きている図々しさとかちょっと
最初ヤな子だーって思わせるけれど、でも素直ないい子でちゃんと愛されることを
知らないんだ、と、胸を突かれるようなところをすっと見せてくれて、よかった。
女の子なんだよねえ。おじさんキラーだ。
一匹狼な殺し屋くんの胸にもすっとはいっちゃう。
絆創膏はってあげただけで命助ける気にさせちゃう。
でもあの一匹狼殺し屋くんは、テシクに惚れたから、その大事な女の子をやっぱり
守ってやらなくちゃと思ったんだろうなあ、と、想像。
惚れた、っていうのはあいつを俺が殺す、とかいうような。あいつと戦うのは俺だ、
というような。強い男が求める強い相手、というような。ああえろいわ。素敵だ。

テシクの辛い過去というのは、目の前で妊娠してた妻が死ぬというもので。
ベタっちゃベタなんだけど。あのトラックの激突!自分も撃たれるんだけど、あの
衝撃は凄かった。あれはトラウマになって当然だよ。テシクは助かったけれど
あの時心は死んだ、というのがとても納得。
その死んだ心が。ソミを助ける。あの時どうにもできなかった好きな相手を守ると
いうことを。今度こそは。とスイッチ入る感じも納得。
鬼太郎ヘアのもさもさ片目隠れてる長髪もかっこよかったけど、それをざくざく
切って、短髪になったらまたもうすーっごいかっこいい~。きゃあああ~~~。
黒いシャツ。黒いスーツ姿がたまらなく似合ってる。かっこいい。
銃を用意してもらって、その感触、音とかを確かめてるのがまたかっこいい。
クール!

そしてアクション。
超人的、というか、ターミネーターだろ、っていう強さで、早いっ。容赦ないっ!
容赦されるようなところのないバリバリの悪いやつ相手だからいいんだけど、
ざっくざっく殺すー!どんどん撃つし。
あの弟にじっくり恐怖も味あわせつつ殺す爆発のやり方の躊躇のなさとか。
最後のほう、ナイフでざくざく、囲まれた相手に切りつけるところを見せつつ
ざくざく殺すところとか。痺れる。たまりません。血塗れー。血塗れなのも
たまんなくセクシーでかっこいいよテシク。強いー。痛いー。かっこいー!

殺し屋との一騎打ちもかっこよかったなあ。
初めてまともにやりあったりもしつつ。でも強いテシク。噛み付いたりもしてた。
なんかリアルと思う。スマートに見せるアクションじゃなくて、ガツガツと命を
ぶつけるやりとりのシーンなんだと思った。

全部終わって、自分の力も全部なくして、自分の頭に銃をつける。その目。ああ。
その時聞こえたソミの声。
やっと、なのに、近寄るな、って言う。血がつくから。銃を後ろに隠す。子どもに
見せちゃいけないから。ああもう。切ないっ。
抱きついてきて、助けにきてくれたんでしょう、と言うソミを、血塗れのその手
では抱きしめられない。ああもうっ切ないーっ。

警察に連衡されている途中、最後に頼みがある、といって、雑貨屋?駄菓子屋?の
おじちゃんのところへ。
ソミをあずけるのかな、と思ったけど、なんかリュックにがんがん玩具だかお菓子
だかをぐいぐいつめてソミに持たせた。
一度だけ、抱きしめたい。って。あー。一度だけ見せた笑顔もたまりません。

一人で生きていけ。というのもすごくよかった。
それは簡単なことじゃない。とても辛い。ソミにもテシクにもわかってる。
それでも、本当に死ぬ目にあったあと、ソミはそれでも強く生きられる、という
テシクの信頼だなあ。あの駄菓子屋のおじちゃんも頼まれなくても必要な助けは
くれるだろうな、と思う。
よかった。
生きるんだ。ソミも。テシクも。

すっばらしいアクションを堪能。すっばらしい銃撃戦も堪能。
警察チームのほうもなんかけっこうよかったしなー。チーム長、かっこよかった。
とにかくなによりもウォンビンがほんっとーーーーにっすーーーーーーっごく
すごくかっこいいのを堪能!
いいものを見たよ。

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『消えた少年』(東直己/ハヤカワ文庫)

『消えた少年』(東直己/ハヤカワ文庫)

困った時に、電話できる相手がいるっていいな。

 ※私がすごく好きだったシーンのことを書くので、そういうの
  ネタバレかもしれない、です。

ススキノ探偵シリーズ、4作目?本としては4冊目なのかも。
長編第三作、ということみたい。
バー、ケラー・オオハタで楽しく飲んでいたところに、安西春子
という女性が訪ねてくる。中学の先生である彼女。生徒を助けに行く
手助けをしてほしい、という頼みだった。

中島翔一くん。その後たまたま映画館で再会。話をしたら結構趣味が
あう。探偵は彼を気に入る。その彼が、消えてしまった。

何度もたまんない気持ちになった。
読んで、私も中島少年のことを大好きになっちゃったから。
中島くんは中学生なりに精一杯でもの凄いことに巻き込まれちゃって
どうしようもなくなってて。助けてやらなくちゃ。と、完全に探偵と
同化して読んじゃった。だから一緒に走り回って希望もって、なのに
突き落とされて殴られて殴って走りまわって走り回って限界を超えて
がんばってなんとか、中島くんを助けたかった。
はー。
読み終わって呆然。凄いわ。

中島くんが映画好きな子で、その年頃なりに冷めてたり粋がったりして
まさに中二病全開なんだけど、実際中二なんだから当然だ。

 「ところでキミは何年生なの?」
 「二年」
 「中学二年か。俺も、昔は中学二年だったよ」
 「そりゃ、そうでしょ」

昔は中学二年だったよ。私も昔は、中学二年だったよ。

映画が好きだったり、本が好きでも音楽が好きでも、鉄道が好きでも
サッカーが好きでも、なんでもいい。昔中学二年だった、好きなものが
ある人だったら、たぶんつまり多くの人だったら、中島くんを気に入る
探偵に同化できると思う。
そして、消えた少年のために捜査を始めて、中島くんのうちに行く。
父子家庭。父親はちょっと問題を抱えてる。外見にはごく普通の家が、
中はゴミ屋敷だった。靴のままどうぞ、と、いう家。床にはゴミが散乱
しているから。
中島くんの部屋を見せてください、といって、彼の部屋のドアをあけた
時、少年の部屋は驚くほどきれいで掃除が行き届き、整理整頓されていた。
そのシーン読んだ時、私はぼろぼろ泣いた。
彼を助けてあげなくちゃ。
彼を助けてあげなくちゃ。
彼は中学二年なんだ。

それからもうずーっと泣きそうな気分で読んだ。早く彼を助けたくて。
生きてると信じて。
探偵、頼むよ。探偵、なんとかして。助けて。見つけて。

なんかいろいろ凄いことになって、変態でサイコで、探偵もボロボロに
なって痛かった。
でもよかった。
すごくひきこまれた。面白かったー。

高田くんの出番はそこそこ。やっぱすっごいかっこいい~。惚れる。
強いー!頼りになる~!
でも高田くんはあくまで助っ人。単純に相棒っていうような関係でも
ないね。でもそれもまたすごいいい。惚れる~。大好き!高田くんが
話してくれるんだったら、日帝戦時統制経済下の農業政策の話でも聴くから!
すげーつまんなさそう!でも面白そう!高田くんから聞きたい(^^)

図書館で借りたけど買おうと思った。私にとっては大傑作。読んでよかった。
ほんと映画化ありがとう。知ることができてよかったー。

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『向こう端にすわった男』(東直己/ハヤカワ文庫)

『向こう端にすわった男』(東直己/ハヤカワ文庫)

ススキノのバー、<ケラー・オオハタ>は静かな老舗バーだ。
俺はそこにいる。

『探偵はBARにいる』の映画にはまったので、本を読もう~と、
図書館でざくざく予約入れてみた。さすがに最初のと、映画原作のは
なかなか借りられなさそう。シリーズの順番気にしないでまずはこれ
がきたので読む。
短編集だった。ススキノ探偵シリーズとしては4作目になるのかな?
短編集としては初かな。雑誌初出は92年~95年あたり。シリーズの
最初の方と時期としては同じだろうか。

「向こう端にすわった男」
「調子のいい奴」
「秋の終わり」
「自慢の息子」
「消える男」

探偵、二十代だ。探偵というよりはなんでも屋。二十代の終わりのほう
とはいえ、まだ若造じゃん。でも若いわりにはうまいことススキノを
渡り歩いてる、のかな。金をかせぐ手段しては博打と大麻って。そう
なんだー。そりゃなんでも屋でろくろく稼げるわけじゃないか。でも
なんかそこはイメージしてなかったので、わりとびっくり。
でもまあ、やせ我慢などっかいい人になっちゃう感じとかは映画のまま
であり、酒の飲み方にこだわりたい、とか、まだ若い感じなのもいい。
大泉洋というよりもうちょっとだらしなくかっこいいかも、という感じ
だなあ。でももう少し年とっていけばいいかなあ。

高田くんが出てきたのは一つだけだった。もっと見たいぞ。高田くんは
映画のまんまな感じ。年齢的にも。北大のオーバードクターで。強い。
探偵と同級生か~。でもそれもいい。探偵と話すときはぶっきらぼうな
そっけないタメ口で、あー友達同士、って感じだけど、他の人と話す
時には普通に丁寧語だったりして、まっとうな人っぽさが素敵だ。
もっと高田くんが読みたいよー。

その高田くんが出てくる「秋の終わり」。
客引きしてる顔なじみのノブが、ある女を助けたい、と言う。
小学生のころの同級生で、少し知能障害がある感じの女の子。でも、
という話で。けっこうきた。ため息。うーん。やるせなかった。
彼女なりの幸せの中にいるのだ、ということはわかったけどね。
ノブあんたも何やってんだか。

最後「消える男」は書下ろし。
なんだか訳ありの過去ありの男。全共闘?学生運動?のなにか過去の
いわくありげな男。今はいい仕事をしている企画会社の男、なのに。
人殺しがあるのはこれだけだなあ。
そして、探偵にもその過去に、その相手に、踏み込めなかった。読者
である私にも何かあったんだなあ、ということしかわからない。
でも、短編、探偵一人称としてはこの感じかな。
桑田さん、どうなったの。何が。
まったくおっさんどもは。
でもとてもよかったなあ。

映画化ありがとう、だ。見に行かなかったら読んでなかったし。今まで
知らなかったし。他のも読むの楽しみ。

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